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解消加速の波

本日の日経紙一面には「親子上場解消が加速」と題し、親会社が上場する上場企業が先週段階で288社となり1年で15社減少と過去3年平均の6社減からその解消ペースが加速している旨が出ていた。事業の取捨選択のなかで資本関係を見直す例が増加、株主の目も厳しくなっている事もその背景にあるという。

親子上場に関しては当欄でも度々触れてきたが、今年記憶に残るのはやはりヤフーとアスクルの社長人事を巡るゴタゴタ劇だっただろうか。この辺に絡んで親子上場の弊害が看過出来なくなってきたと否定的報道が増えたが、確かに少数株主の利益が親会社の様々な意向一つで脅かされる構図は物議を醸すのには十分だろう。

そんな気運から社外取締役の比率を高めるなどの動きも盛り上がって来たものの未だそれが3分の1にも満たない企業があるなど課題は残るが、ガラパゴス化した斯様な商慣習も同記事の末尾にあったトヨタ自動車に見られるように上手く回して来た例も一方では存在するなどこの辺が一括りに出来ぬ難しいところでもあるか。


JPX・TOCOM経営統合での対応掲載、エネルギー市場は取扱い終了へ

2020年7月27日(予定)を目途に東京商品取引所(以下、TOCOM)に上場する一部商品を日本取引所グループの子会社である大阪取引所(以下、OSE)に移管することが決定しています。

楽天証券ではこれを受けて、 2020年7月27日(月)以降は、先物・オプション取引口座で提供している株価指数先物・オプション取引銘柄(日経225先物など)に加え、TOCOMから商品移管される金(GOLD)をはじめとした貴金属やゴム、 農産物などのコモディティ銘柄までを「マーケットスピード2」、スマホアプリ「iSPEED先物OP」によりワンストップでサービス提供できるよう準備を進めていくとのこと。

▼日本取引所グループと東京商品取引所の経営統合にかかる当社対応について



●2020年7月27日(月)から先物・オプション取引口座で商品先物も取引できるようになり、商品先物取引口座でのサービスは2020年10月(予定)に終了いたしまします。

●商品先物取引口座で建玉をお持ちのお客様はご申請により先物・オプション取引口座へ建玉移管が可能です。(申請方法は2020年2月以降、別途ご案内いたします。)

●建玉を移管ご希望のお客様は、総合口座と先物・オプション口座が必要です。口座をお持ちでないお客様はお早めに開設手続きをお願いします。

●エネルギー市場(原油・ガソリン・灯油)は大阪取引所へ移管されないため、2020年7月15日(水)(予定)に取扱いを終了いたします。

●充用有価証券(倉荷証券を含む)による証拠金充当は一時停止いたします。

▼商品先物取引口座と先物・オプション取引口座のサービス統合について


クラウドファンディング彼是

さて、先週の日経紙には「事業資金 クラウド調達」と題し、インターネットを通じて小口の資金を集めるCF(クラウドファンディング)が、個人やベンチャーだけでなく市場での調達が難しい上場企業も事業資金をこのCFで集めるなど急拡大している旨の記事があった。

この辺を裏付けるかのように11日に上場したクラウドファンディング事業のマクアケは公開価格を実に74.8%上回るロケットスタートとなった後も先週はストップ高を交えながら急伸し上場来高値を更新、本日も急騰しストップ高のまま引けていたが、当欄でも今年の春先に一度触れたようにふるさと納税でもガバメントクラウドファンディングが急増している。

直近では火災に遭った首里城再建の為ここ約2ヵ月弱で集まった寄付金は約17億円、そのうち実に約7億円はガバメントクラウドファンディングのふるさと納税だった。斯様にそのプロジェクト数は数年前から倍々ゲームとなっており、2015年の28から2016年は66、2017年は111、2018年は226で今年は240に達する見込みで寄付金総額も120億円を突破している。

この手は目標金額の倍を集めるモノあれば未達モノもあるが、国の予算とは違って早くて1ヵ月で寄付金が自治体に入るスピード感が魅力で、寄付募集期間の終了を待つことなく更に目標金額に達しなくても寄附金を受け取れるというところがポイントであり、今後の枝葉にまた注目しておきたい。


国税庁包囲網

さて先週末の日経紙社会面には「海外口座情報189万件入手」と題し、富裕層や企業による国際的な税逃れの監視に力を入れる国税庁が、海外の税務当局と金融口座情報を交換するCRS(共通報告基準)により2019年分として日本の個人や法人が85ヵ国・地域に保有する口座情報約189万件を入手したと先週に発表した旨が出ていた。

先に国税庁は昨年6月までの1年間に実施した所得税の調査結果を発表しているが、株や不動産などの大口所有者である富裕層に対する調査では85%にあたる4517件で申告漏れ等があり、その申告漏れ所得総額は763億円、追徴税額は203億円と前年度から15%増加している旨が発表されている。

脱税といえばチュートリアルの片割れ芸人も設立した会社が東京国税局から2018年まで約1億2000万円を所得隠しと申告漏れを指摘されまたも吉本がザワつく事態となったが、冒頭の件に絡んでは政府・与党が富裕層の海外に持つ資産について税逃れ対策を強化、今月纏めた税制改正大綱に盛り込み2020年度税制改正に反映する模様。

いずれにしろ昨年に当欄でこのCRSに触れた時点での口座情報が約55万件だったことを考えれば格段に情報増加が著しく、タワマンから高級外車をフィルターとしたモノからインサイダーや仮想通貨の金融モノまで容易に暴かれる時代になってきており当人が思っている以上に富裕層包囲網の世界は日進月歩となっているようだ。


IPOも暖冬

本日も日中はコート要らずの暖かさであったが、予てより暖冬といわれているだけに師走とは思えない暖かい日が多い。この辺に絡んでは本日の日経紙市場点描でも「暖冬予報 お寒い冬関連株」と題し、日経平均に対して冬消費関連株群は軒並みアンダーパフォームとなっている旨が書いてあった。

そんなワケで個人のホットマネーは自ずとIPOなどに向うこととなるが、昨日公開の株主管理プラットフォーム事業のウイルズは初日が買い気配のまま値付かず、上場2日目の本日に公開価格960に対し実に5倍近い4535円で初値を付けている。また同じ日に上場した中小企業向けクラウド会計ソフトのフリーも赤字新興企業ながら公開価格を25%上回る初値を付けるなどそれらを裏付けている。

生き馬の目を抜くソフトバンクが煮え湯を飲まされた米ウィーカンパニーの例もあって赤字新興企業への評価の厳しさは増す一方だが、カネ余りの環境もあってユニコーンも玉石混交の様相となっている。上記のフリーもその規模は今年のIPO市場で2番目の規模となるが、旺盛だった海外投資家需要が今後奏功するのか否かいろいろな側面で試金石となろうか。


商品先物ネット取引取扱い12社最新ランキングを更新

11月28日(木)から12月11日(水)の期間で実施した「商品先物ネット取引データ&サービス内容アンケート調査」の結果を元に、各社のネット取引最新サービス内容を更新、ポイント評価基準に従い全12社のレーティング&ランキングを更新しました。

▼商品先物ネット取引総合レーティング・ランキング(12/17現在)



尚、これまで通り各社のサービス内容・レーティングについては随時更新を行い、同時にランキングにも反映していきます。

ぜひ各社の最新サービス内容をチェックしてみてください。


逆行と大義名分

昨日取り上げた通りニューフレアテクノロジー社を巡ってHOYAと争奪戦を繰り広げているのが同社親会社の東芝だが、この東芝といえば2020年の2月から東証が2部から1部への移行基準を緩和するのを背景に、現在の2部ポストから東証1部への復帰に向けた社内組織を立ち上げ準備を進める模様だ。

世には今なお数十年前の法が旧態依然のまま罷り通っているモノは何も株式に限ったことでは無く数多あるが、この2部市場も1部移行に必要な監査法人の適正意見が付いた有報が5年分と50年前から変っておらず現行の新興市場の2年分と比較し乖離しているところが大義名分としてその背景にある模様だ。

当の東芝にとってはこの基準緩和の機にまさに渡りに船の構図だが、もともと諸々の不祥事が次々と露呈されたにもかかわらず日興コーディアルやオリンパス同様に上場廃止を免れた事も西武やカネボウのそれとは何が違ったのか?とかつて物議を醸し出したものだが、今回の件も大義名分があるものの其れなりの物議を醸し出しそうだ。


同意無き買収

さて、先週末の日経紙には「HOYA、東芝と買収合戦」と題し、東芝が5割の株式を持ち現在完全子会社化に向けて株式の買い増し手続き中の半導体製造装置子会社であるニューフレアテクノロジーに対しHOYAがTOBの実施を発表、大手企業同士が公開市場でTOBを仕掛ける異例の展開となった旨が出ていた。

TOBに絡んで直近で取り上げたのは先に書いたぺんてる株を巡るコクヨとホワイトナイト的存在の同業プラスであったが、こちらは公表されているところでコクヨは売買契約が済んでいない0.6%を加えても目標の過半数に達しない事が判明しているが、プラス側と双方で拒否権を持つ長期戦入りが囁かれている。

その辺は兎も角も上場企業同士の争奪戦といえば、この記事に出ていたオリジン東秀を巡るイオンとドンキのTOB合戦の他に記憶に残るモノに北越製紙を巡る王子製紙と日本製紙等のTOB合戦か。この時もまたホワイトナイト的存在の三菱商事が事を収める事となったが、いずれのケースも今後が注目される。

当欄で前回ぺんてる株を巡るTOBに触れた際の末尾では、「〜水面下で敵対的買収案として噂に挙がっているところが複数耳に入って来ており〜」と書いておいたが先ずは早速冒頭の案件が出た。相手側の同意の有無如何に拘ることなく実施が躊躇無く行えるようになったのはコーポレートガバナンス改革等の環境変化に因るところが大きいがさて次は・・


今年の一皿2019

さて、今年も食を巡る調査・研究を行っている「ぐるなび総研」が2019年の世相を最も反映したという今年の一皿を選んでいるが、今年は「タピオカ」が選出されることとなった。去年は選ばれたサバ以外にいろいろと競る候補があったが、今年はそういったモノも思いつかず果たしてといった感じであった。

ここ数年は少子高齢化や健康志向の高まりを背景に一昨年の「鶏ムネ肉」、そして上記の通り昨年は「サバ」という流れが続いていたが今年は一転して高カロリーの炭水化物と不健康?路線になったものだが、準大賞には「発酵食メニュー」が選ばれ曲がりなりにも健康志向のトレンドはカバーされた格好か。

いずれにしても今年で6回目を迎えた今年の一皿、タピ活やタピる等の造語を多用しているSNS世代には第一次タピオカブームなど知る由も無かろうが、日本の食文化の歴史に次も何かのブーム再来があるや否や、ブームを超えて社会現象化する可能性のあるモノの発掘が今も各所で血眼になって行われている。


バイプロ下剋上

さて、本日の日経紙商品面には「パラジウム増産合戦」と題し南アやロシアの主要鉱山会社が、インドや中国で一段と排ガス規制が強化される事などを背景に自動車の排ガス用触媒に使用されるパラジウム需要の伸びに対応すべく他社の買収や新鉱区の開発等で生産能力の増強に動いている旨が書かれていた。

これらの効果が出て供給が増えるのは20年代中盤になるともいわれ当面高値が続く見通しとされるが、国内のETFなども前回触れたのが2月でこの時は三菱UFJ信託の純パラジウム上場信託が50,000円大台に乗せ年初来高値を更新した旨を書いていたが、今月に入ってから同ETFは60,000円大台の乗せての推移となり本日も年初来高値を更新している。

ここ数年のPGM系の推移はまさにバイプロものの下剋上と言っても過言ではない状況であり、スポット市場とは真逆な様相を呈する宝飾市場などはさながらトコロ相場?のような感覚を覚えるものだが、特有の供給制約等も背景に各鉱山会社も生き残りを賭けるなか各々の舵取りが今後も注目されようか。


遺伝資源保護

時節柄お歳暮関係の案内が頻繁に来るようになったが、和牛関係の品は相変わらずバリエーションが豊富だ。ところで和牛といえば一昨日の日経紙一面には「和牛保護へ法整備」と題し、農林水産省が和牛の海外への流出を防ぐために交配に使われる精液や受精卵の転売などを規制する方針の記事が載っていた。

これに関しては当欄でも今年に入ってから取り上げた事があるが、遺伝的な特徴などを知的財産権として守る枠組みは従来無い上にアジアでは和牛人気の高さから前回も書いたようにブランド化が進むフルーツ等と共に和牛受精卵の中国等への流出事件も幾度となく表面化している。

ブランド化の背景にはTPP発効で安価な輸入牛肉が幅広く流通する事に対する生産側の警戒感もあるが、斯様に日本が総力をあげた成果であるブランドが侵害される経済損失など勘案するにその保護委対策は急務の課題だっただけに今回の新法提出は先ず一歩踏み出したという感じか。


逡巡と駆け込み

さて、金融庁の金融審議会は今月中に東証の市場改革を巡る提言を纏める方針となっているが、当欄でも今年の春先に「肥大化に歯止め」として触れた通り東証1・2部・新興市場の4市場体制を3市場体制に再編、TOPIX(東証株価指数)も銘柄を絞り込む事などが盛り込まれる可能性がある。

この再編話が出始めてからの1年間で他市場から東証一部に移行する企業がその前の1年間と比較し3割急減している旨の記事も過日の日経紙にて見掛けだが、背景には改革後の上場基準が不透明な事も影響している模様だ。一方でこれに適わずともプライム市場で上場維持が叶うとの思惑で駆け込みを目論む動きもあるという。

プライム市場創設について前回も一寸触れておりどういった結論になるのか注目だが、上記の通りTOPIXなどにも着手となればそれこそこれを信奉してきた公的年金のスタンスにも変化が現れるや否や、日銀も日経平均型を減らしてまでTOPIX型を増額し買い進めてきたETFの去就にも今後は関心が向かおうか。