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同意無き買収

さて、先週末の日経紙には「HOYA、東芝と買収合戦」と題し、東芝が5割の株式を持ち現在完全子会社化に向けて株式の買い増し手続き中の半導体製造装置子会社であるニューフレアテクノロジーに対しHOYAがTOBの実施を発表、大手企業同士が公開市場でTOBを仕掛ける異例の展開となった旨が出ていた。

TOBに絡んで直近で取り上げたのは先に書いたぺんてる株を巡るコクヨとホワイトナイト的存在の同業プラスであったが、こちらは公表されているところでコクヨは売買契約が済んでいない0.6%を加えても目標の過半数に達しない事が判明しているが、プラス側と双方で拒否権を持つ長期戦入りが囁かれている。

その辺は兎も角も上場企業同士の争奪戦といえば、この記事に出ていたオリジン東秀を巡るイオンとドンキのTOB合戦の他に記憶に残るモノに北越製紙を巡る王子製紙と日本製紙等のTOB合戦か。この時もまたホワイトナイト的存在の三菱商事が事を収める事となったが、いずれのケースも今後が注目される。

当欄で前回ぺんてる株を巡るTOBに触れた際の末尾では、「〜水面下で敵対的買収案として噂に挙がっているところが複数耳に入って来ており〜」と書いておいたが先ずは早速冒頭の案件が出た。相手側の同意の有無如何に拘ることなく実施が躊躇無く行えるようになったのはコーポレートガバナンス改革等の環境変化に因るところが大きいがさて次は・・


今年の一皿2019

さて、今年も食を巡る調査・研究を行っている「ぐるなび総研」が2019年の世相を最も反映したという今年の一皿を選んでいるが、今年は「タピオカ」が選出されることとなった。去年は選ばれたサバ以外にいろいろと競る候補があったが、今年はそういったモノも思いつかず果たしてといった感じであった。

ここ数年は少子高齢化や健康志向の高まりを背景に一昨年の「鶏ムネ肉」、そして上記の通り昨年は「サバ」という流れが続いていたが今年は一転して高カロリーの炭水化物と不健康?路線になったものだが、準大賞には「発酵食メニュー」が選ばれ曲がりなりにも健康志向のトレンドはカバーされた格好か。

いずれにしても今年で6回目を迎えた今年の一皿、タピ活やタピる等の造語を多用しているSNS世代には第一次タピオカブームなど知る由も無かろうが、日本の食文化の歴史に次も何かのブーム再来があるや否や、ブームを超えて社会現象化する可能性のあるモノの発掘が今も各所で血眼になって行われている。


バイプロ下剋上

さて、本日の日経紙商品面には「パラジウム増産合戦」と題し南アやロシアの主要鉱山会社が、インドや中国で一段と排ガス規制が強化される事などを背景に自動車の排ガス用触媒に使用されるパラジウム需要の伸びに対応すべく他社の買収や新鉱区の開発等で生産能力の増強に動いている旨が書かれていた。

これらの効果が出て供給が増えるのは20年代中盤になるともいわれ当面高値が続く見通しとされるが、国内のETFなども前回触れたのが2月でこの時は三菱UFJ信託の純パラジウム上場信託が50,000円大台に乗せ年初来高値を更新した旨を書いていたが、今月に入ってから同ETFは60,000円大台の乗せての推移となり本日も年初来高値を更新している。

ここ数年のPGM系の推移はまさにバイプロものの下剋上と言っても過言ではない状況であり、スポット市場とは真逆な様相を呈する宝飾市場などはさながらトコロ相場?のような感覚を覚えるものだが、特有の供給制約等も背景に各鉱山会社も生き残りを賭けるなか各々の舵取りが今後も注目されようか。


遺伝資源保護

時節柄お歳暮関係の案内が頻繁に来るようになったが、和牛関係の品は相変わらずバリエーションが豊富だ。ところで和牛といえば一昨日の日経紙一面には「和牛保護へ法整備」と題し、農林水産省が和牛の海外への流出を防ぐために交配に使われる精液や受精卵の転売などを規制する方針の記事が載っていた。

これに関しては当欄でも今年に入ってから取り上げた事があるが、遺伝的な特徴などを知的財産権として守る枠組みは従来無い上にアジアでは和牛人気の高さから前回も書いたようにブランド化が進むフルーツ等と共に和牛受精卵の中国等への流出事件も幾度となく表面化している。

ブランド化の背景にはTPP発効で安価な輸入牛肉が幅広く流通する事に対する生産側の警戒感もあるが、斯様に日本が総力をあげた成果であるブランドが侵害される経済損失など勘案するにその保護委対策は急務の課題だっただけに今回の新法提出は先ず一歩踏み出したという感じか。


逡巡と駆け込み

さて、金融庁の金融審議会は今月中に東証の市場改革を巡る提言を纏める方針となっているが、当欄でも今年の春先に「肥大化に歯止め」として触れた通り東証1・2部・新興市場の4市場体制を3市場体制に再編、TOPIX(東証株価指数)も銘柄を絞り込む事などが盛り込まれる可能性がある。

この再編話が出始めてからの1年間で他市場から東証一部に移行する企業がその前の1年間と比較し3割急減している旨の記事も過日の日経紙にて見掛けだが、背景には改革後の上場基準が不透明な事も影響している模様だ。一方でこれに適わずともプライム市場で上場維持が叶うとの思惑で駆け込みを目論む動きもあるという。

プライム市場創設について前回も一寸触れておりどういった結論になるのか注目だが、上記の通りTOPIXなどにも着手となればそれこそこれを信奉してきた公的年金のスタンスにも変化が現れるや否や、日銀も日経平均型を減らしてまでTOPIX型を増額し買い進めてきたETFの去就にも今後は関心が向かおうか。


ヘリウム高騰彼是

さて、今週アタマの日経紙科学技術面には「ヘリウム高騰 研究に支障」と題して、超電導などの研究に不可欠なヘリウムが供給不足に陥り2018年度に比べ価格が2倍以上に高騰した事を受けて、研究機関が予算などの都合で入手できず実験を中止するなど悲鳴を上げている旨が出ていた。

さてこのヘリウムといえばかれこれ今から7年くらい前から不足がいわれて久しいが、上記の文中に東大ですら再利用率は9割程度とあったが6年前に東大発ベンチャーが極低温の実験装置向けに液体ヘリウムを循環して再利用する装置を近く販売するといった報があったのを思い出す。

そのプライオリティの高さでは冒頭のような学術的モノには勿論のこと及ばないが、身近な娯楽分野でも例えばディズニーリゾートのエントランス近くで販売されていたキャラバルーンなどこの高騰で販売中止に追い込まれた経緯も記憶に新しい。本邦では完全自給の難しさを露呈している物が数多あるが、今更ながらこんなところにも及んでいるのに改めて気付かされる。


2019年度ネット取引データアンケート調査返答結果

11月28日(木)から12月11日(水)の期間で実施しております「2019年度商品先物ネット取引データアンケート調査」の返答結果をこちらにて掲載して行きます。


※アンケート調査のご案内については28日(木)10:00までに全社配信済みです。もし未達の場合はメールにてお問合せ下さい。

【アンケート回答企業一覧(返答順):9社】
豊商事、北辰物産、フジトミ、コムテックス、岡安商事、サンワード貿易、フィリップ証券、フジフューチャーズ、日産証券、岡地(12/12現在)


中途半端感

今週の日経紙経済教室では「5Gが切り開く未来」と題し、各国で次世代の無線通信網として大きな期待がかる5Gネットワークの整備が急ピッチで進められている旨が連載され、本日のマーケット面・どうなる来年の日本株なる座談会でも野村アセットのインベストメントオフィサーが5G関連銘柄の成長トレンドは今後も続くと述べていた。

ところでこの次世代高速通信に絡んで政府としては今月纏める経済対策でポスト5Gの技術開発助成に2000億円超の基金を創設する模様だが、直近で記憶に新しいのが農林水産業の産業化を狙った農林漁業成長産業化支援機構が複数の投資先不振で累損が100億円規模に膨らみ来年度末にも新規投資業務を停止する方向になった件か。

他に以前にも取り上げたジャパンディスプレイなど日の丸モノの官民ファンドも惨憺たる結果となっており、財務省などは同様に累損が膨らむ他の官民ファンドの業務見直しも急ぐようだが、高技術に対する期待の裏で微妙な金額設定に上記のような二の舞を演じないか一抹の不安が過るのは否めないところ。


ミシュランガイド2019

さて、ボージョレ・ヌーボーのイベントが終ると次はミシュランの番となるが、今年も先週末から書店では「ミシュランガイド東京2020」が販売スタートしている。今年の顔ぶれは三ツ星が11軒、二つ星が48軒、一つ星が167軒となったが、一般客の予約が出来なくなった三ツ星常連組のすきやばし次郎本店や鮨さいとうは評価対象外となりミシュランから消えることとなった。

ちょうどTVでもTBS系で星を獲得するために各々が夢を追うというドラマがスタートしているが、思い起こせば名誉の裏で数年前には秘密裡に偽造表示を行っていたレストランが二つ星を獲得したり、今年はお隣の韓国では星を売るコンサルタント疑惑で沸くなど話題には事欠かない。

こんな権威のあるモノでなくとも足元では公正取引委員会が大手3強のグルメサイトを巡って実態調査に動いている。当欄では今から4年ほど前に米のS&Pやムーディーズの格付け疑惑を取り上げた際に末尾で「モノは違えど何故か証券会社のレーティングからはてはミシュランまでがふと頭に浮かんでくるものだ。」と書いているが、その影響力に比例し自ずと蜜月疑惑が台頭するのは何所の世界でも致し方無いところか。


恩恵と誘発

先週末の日経紙一面には「株・投信、手数料ゼロの波」と題し、ネット大手カブドットコム証券と松井証券が年内にそれぞれ信用取引と投資信託の売買手数料を無料にするなど、ビッグバン以来2度目の大波となる手数料ゼロ化の動きが加速してきている旨が書かれていた。

この辺に絡んでは当欄でつい先月もゼロコストの投資商品が世界で広がっている旨を取り上げたが、純増面や金利収入が要となっているマル信でさえとうとうゼロ時代に突入かと思うと一寸した驚きで、カブコムは更に来年は現物取引においても無料化の予定と先鞭をつける。

また先にHFT業者についても一寸触れたがこうした業者に情報提供等を施しそれらからリベートを得る構図など米国で先駆しているが、それに伴う再編劇もまた然りで先月取り上げた際の末尾でも書いた通り今後業界の合従連衡を活発化させるトリガーとなるのかどうか対面事情とも併せて注目しておきたい。


文具争奪戦

さて、先に文具最大手コクヨは同業のぺんてるに対し敵対的買収方針を発表しているが、先週末に大手各紙では同社が株式買い付け価格の引き上げを報じており、背景にはこの買収劇に文具大手のプラスが参戦しぺんてる株を買い増す方針を確認した事があり買収劇はこの2社による争奪戦となってきた格好だ。

当欄では5月にこの買収劇に関して一度取り上げているが、その時の末尾には「〜ぺんてるが本当に株式を持ってもらいたかったのはTVのバラエティー番組でコクヨと共にぺんてる社の製品を絶賛していた同業大手プラスである〜」と書いておいたが、果たしてこのシナリオ通りプラスがホワイトナイトとして登場する事となった。

今年2月に放映したバラエティー番組ではぺんてる社のアートブラッシュをコクヨとプラスの社員が共に大絶賛していたのを思い出すが、同業他社同士和やかなムード漂うなかでぺんてるの強力な海外網を謳うなど今思えばこの一連の流れもそれとなく伏線を張っていたようにも見えてくるものだ。

敵対的買収といえば今年は廣済堂やユニゾホールディングスなどを巡る複数のファンドまで交えた争奪戦が記憶に新しいが、ホワイトナイト的存在であっても後に条件面での対立が浮上するなど途中から混迷模様を呈するなど思惑交錯する展開となっているが、こうしている間にも水面下で敵対的買収案として噂に挙がっているところが複数耳に入って来ておりまだこの手の話題は続こうか。


2019年度 商品先物ネット取引データアンケート調査について

毎年商品先物ネット取引を取り扱う商品先物取引会社を対象に実施している「商品先物ネット取引データアンケート調査」、20年目となる本年2019年度は10月末時点のデータを対象とし、11月28日(木)〜12月11日(水)の2週間で実施いたします。

▼2019年度 商品先物ネット取引データアンケート調査概要

11月28日(木)に11月時点で商品先物ネット取引を行っている取引会社【12社】に対してアンケートのメールをお送りし、集計後12月下旬に全データを公開予定です。

尚、アンケート項目などは以下の通り。


【取引データアンケート調査内容(主要項目)】
※全て一般顧客からの受託を対象としたアンケートとなります。

1. オンライン取引 口座数:口座(2019年10月末現在)
※10月末時点でのオンライン取引総口座数(証拠金の預託されている口座数、否累計口座数)。
2. オンライン取引 実働口座数:口座(2019年10月末時点)
※上記総口座数のうち10月末時点で建玉のある口座数
3. オンライン取引部門 預かり証拠金総額:円(2019年10月末時点)
※10月末時点でのオンライン取引部署預り証拠金総額。
※2013年よりホールセール部分も加味した数値も項目追加。
4. オンライン取引部門 月間売買高:枚(2019年10月度)
※10月度のオンライン取引による月間トータルの売買高
※2013年よりホールセール部分も加味した数値も項目追加。
5. 一日あたり平均注文件数:件(2019年10月度)
※10月度取消し・不成立なども含む一日当たりの平均オーダー件数
6. 一日あたり平均約定件数:件(2019年10月度)
※10月度一日当たりの平均約定件数(取消し・不成立などは除く)
7. 自社オンライン取引サービス内容の確認・修正など
※自社サービス内容について記入、及び追加・修正ください。

当アンケート後に各項目評価ポイント、及び一目瞭然コーナーを修正・更新いたします。

どうぞよろしくお願いいたします。