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構想また一歩前進

さて、今週気になった記事といえば昨日の日経紙金融経済面の「貴金属や農産品 大阪に取引移管」と題し、日本取引所グループと東京商品取引所との間で東商取が扱う金などの貴金属や農産物を日本取引所傘下の大阪取引所に移す事で大筋合意したとの件か。

構想自体はあったものの単独路線への拘りもあり遅々として進まなかったものが約3年前に大阪取引所の売買システムの共同利用へと動きが出始め、改めて両者が総合取引所の創設に向け統合協議に入る旨の話が報じられたのが当欄でも取り上げた昨年の秋口頃であったがこれでまた一歩前進といったところか。

今後先ずは夏頃をメドとして予定されている日本取引所グループによる東京商品取引所へのTOBによる100%子会社化がスムーズに運ぶかどうかだが、いずれにせよ当初の内閣府の作業部会から12年が経過、競争力で見劣りする現況から国際標準入りし海外取引所とも互角に渡り合うという悲願を賭け縦割り行政や現行規制にメスが入るのかどうか今後も注目が怠れない。


返り咲いたコシヒカリ

さて、本日は去年生産されたコメの味わいランキングが発表されたが、特Aには過去最多となる55銘柄が選ばれることになり、28連覇を誇った新潟県の魚沼コシヒカリがまさかの最上位から転落する事態となった去年の雪辱を果たすべく同銘柄が再度最上位に輝くこととなった。

特A米は平成元年に13銘柄だったものが、この30年で42銘柄増えて55銘柄になっている。9銘柄が今年新たに特Aとなり3銘柄は初出品での特Aとなり協会側は各地域の努力を謳っているが、そんな背景には消費減から販売競争が激化しパイの奪い合いからブランド化の必要性が重要となってきた経緯がある。

今後もこうした傾向に拍車がかかってくるかどうかというところだが、新潟コシヒカリといえば先物市場の方も主力の新潟コシヒカリ先物残高が2月下旬時点で2018年末比の4倍となるなど投資資金が流入し始めた旨が先週末の日経紙に載っていた。異例の試験上場延長申請にシステム問題等で何かとザワついた経緯があったが、派生商品の登場などもあり残高増が継続するかどうかこちらも関心が向くところ。


社外取締役の効力

本日の日経紙には「上場子会社に独立取締役」と題し、政府が新たな指針を作成し子会社の取締役会で独立した社外取締役の比率を高めるよう求める一方で、親会社には親子上場を維持する合理的な理由を開示させるなど親子上場している企業グループの利益相反を抑える仕組みを作る旨が出ていた。

親子上場といえば直近でやはり記憶に新しいのは、上場後もなおソフトバンクグループが6割強の株式を保有して筆頭株主に君臨するという構図が変らないという昨年末に上場したソフトバンクということになるが、企業誘致問題とも併せてJPXもそれ相応のジレンマがあったのは想像に難くない。

ところで社外取締役といえば他に運用会社も投資先企業に対し独立した社外取締役を増やすことを求める動きも出てきているが、長年の日本の特異な慣行が燻るなかでも斯様にガバナンス・コード改定等を背景に海外投資家などに忖度した動きが粛々と進行しつつある機運にもなってきたか。


PGM明暗

本日の日経平均は先週末の米中通商協議の進展期待を背景に再度反発となった米株式を受け反発となったが、売買代金の方はいま一つ盛り上がりに欠けるなか新興市場のバイオ関連が物色された。とはいえオプションマーケット3月限で、建玉別価格帯が最多となっているコールの権利行使価格21,500円を抜けて来た事で明日以降も注目される。

ところで上記のバイオ関連に隠れて地味?に上昇しているのが貴金属系のETFか。本日もETFSの金上場投信などが値上がりランキングに顔を出しているが、三菱UFJ信託の純パラジウム上場投信も本日は前場に4,200円高と急騰して50,000円の大台に乗せ年初来高値を更新してきている。

このパラジウム、昨年秋から国際価格は史上最高値を塗り替え今年に入ってからは16年ぶりに金を上回り話題になったものだが、排ガス規制強化による触媒需要増を背景に直近でも先週も1トロイオンス1,400ドルを超え新たに史上最高値を更新しており、欧州を軸とする脱ディーゼルを背景に恒常的安値から抜け出せないプラチナとは対照的。

もう一つ、上記のETFも旺盛な需要の受け皿が売却によって為され供給不足が和らいだ計算となっているが、ここから更に在庫をETF並みに取り崩せるところが他に潤沢にある訳でもなく今後在庫払拭思惑が台頭し其々の格差に更なる変化が出て来るかどうか注目されるところ。


第4回TOCOMリアルトレードコンテストを4月から開催

最低参加資金50万円、参加申し込みは3月1日より受付開始

東京商品取引所(東京都中央区・代表執行役社長 濱田隆道)は、第4回TOCOMリアルトレードコンテストを4月1日から9月30日までの6か月間開催することを発表。



本コンテストは、第1回(2017年6月〜8月実施)、第2回(2018年1月〜3月)、第3回(2018年7月〜12月)と回を重ねるごとにより多くの注目を集め、参加者数は当初の2倍である約500名に増加。第3回コンテスト優勝者の利益率は317.33%、利益額は137,371,180円にのぼり「億り人」が誕生。

第4回大会の開催期間は、ファンダメンタル等をベースに中長期的にポジションを保持する投資家に対応して6か月間とし、最低資金額は、FX投資家等による新規参入を促すため50万円に。評価方法は利益率と利益額の二つとし、それぞれにおいて成績優秀者上位10名を表彰します。

▼第4回TOCOMリアルトレードコンテストの詳細はこちら


資本回収

さて、昨日の日経紙マーケット面には「自社株買いで縮む市場」と題し、19年に自社株買いを発表した後の企業の株価は東証株価指数を5〜6%上回り、18年の約2倍となっているという旨のシティグループ証券の調査が出ていたが、18年度の自社株取得額はピークの15年度を凌いで最高になるのがほぼ確実との旨が載っていた。

自社株買いといえばここ最近では昨年夏の東芝が実施した実に7000億円にのぼる自社株買いが記憶に新しいところだが、ココやほぼ同額実施のトヨタや日本郵政などの例は極端だとしても数年前のダブルコードの適用も背景にROEが意識され上記の通り何所も自社株買いの動きがより活発化してきている。

とはいえROEばかりが意識されるあまりに、企業利益が設備投資やら研究・開発まで十分回らないままこれらに振り向けられているパターンも依然として目に付くところ。この頁にも記してあった通り気になるのはその後の成長で、生産性が低下し低成長の原因になっているのは本末転倒というところだろう。


緩さの匙加減

本日の日経紙金融取材メモでは「SGX、緩いルールで衰退」と題して、SGX(シンガポール取引所)の新興企業向け市場「カタリスト」の上場ルールが緩い為に本市場で上場維持が危ぶまれる企業の受け皿になっている旨のシンガポール国立大学准教授と学生に因る連名リポートが話題になっている旨が書かれていた。

こうした問題が出てくると思い出すのが、数年前に本邦の新興市場でヤリ玉に挙げられたエナリスや京王ズなどの問題発覚企業群などから「上場ゴール」なる言葉が流行り出した件か。これを機に審査厳格化や業者兎の多彩化等で襟を正す機運になりこんな造語も影を潜めているが、これに対しSGXの役員は同市場の制度見直しに消極的姿勢を崩していない。

そんな背景には同じアジア圏でライバルの香港取引所等へのIPO企業流出懸念がある。世界の取引所ブランド価値でも躍進した香港は普通株と議決権が異なる種類株を発行する企業や、バイオベンチャー上場を積極的に認める柔軟な姿勢から昨年1〜9月のIPOに伴う調達額は前年同期の2.7倍にあたる3.4兆円と世界1位になっている経緯がある。

世界的なカネ余りから敢えて上場の選択をしなくとも資金調達が容易に可能となってきている昨今、企業の立場が優位になって来たという環境の変化もよりこうした誘致合戦の素地を形成しているが、骨抜き誘致とならぬよう適切に企業価値を評価出る審査体制や投資家保護などやはり課題だろうか。


イメージ調査

本日の日経紙広告特集欄では「第31回日系企業イメージ調査」が出ていたが、認知度や技術的イメージ等以外にも昨今の持続可能な開発目標を実現する企業の取り組み度によって評価する投資家の増加を背景に、一昔前には無かったSDGs的イメージランキングも最後の方に載っていた。

こうしたSDGsに配慮した事業活動の盛り上がりに伴い近年はESG投資も活発化してきているが、昨日取り上げた日銀と並んでクジラといわれるGPIFなどもこれらの企業は長期で株価上昇や安定した配当が期待出来るとの思惑もあって、一昨年あたりからこうしたセクターに絞った物色も始めている。

一方で欧米勢のように投資対象から環境配慮や順法意識が低い企業を外す減点法的チェックとネガティブスクリーニング主流の認識の違いなどで、加点法主流の本邦勢の懸念も一部で指摘されているが、いずれにせよ昨年も多発した不祥事を鑑み今年もガバナンスが一層クローズアップされ株主優待からふるさと納税までこうした波は一層顕著になってくるか。


爆買い彼是

中国の春節休暇が終って一週間が経ったが、今年は中国の電子商取法が施行されるなどこうした転売規制などを背景に所謂爆買いが沈静化した影響が出て、この期のインバウンド需要を当て込んでいたデパートなどでは店によって昨年からは売り上げの伸びが鈍化した模様だ。

さて同じ爆買いといっても話はガラリと変るが、本日の日経紙には「日銀爆買いに限界論」と題し株価の下支えをにらんで続けている日銀のETF購入も様々な副作用が燻り始めた旨が書かれていた。ちなみに自己資本8兆円に対して1月末の保有額は簿価で24兆円と巨額で今後それがどれだけ拡大してゆくかというところ。

末尾にはETF分配金を引当金に回すべきとの提言も出ていたが、一部にはこのETFを日銀勘定から別の機関などに移管・分離させイグジットを探るというさながらバブル時代に証券会社で大流行した所謂飛ばしのようなスキームも話題に上っている。いずれにせよ購入見直しやイグジットの議論をそろそろ正面から行うべき時期に直面しているのは間違いないところであろうか。


バレンタインデー2019

さて、節分や恵方巻が終って次のイベントといえば今年もやってきましたバレンタインデー。この一連の商戦をにらんで前哨戦ともなるのが毎年恒例で開催されている「サロン・デュ・ショコラ」で、毎年盛り上がりが過熱しているこの展も今年で17回目となりその参加ブランドは112ブランドと今年も過去最多を更新した。

昨年はSNS映えを意識したイートインが多彩になってきたと書いた覚えがあるが、今年は35ブランドの約60種類のメニューと更にイートイン&テイクアウトが充実しており、アマゾンカカオと赤ワインで煮込んだ牛ほほ肉からチョコドックまでどれも映えそうなメニューがズラリとラインナップされていた。

チョコといえば国内市場は近年ではビーン・トゥー・バーが台頭してきたが、今年の話題はやはり80年ぶりの新カテゴリーで第4のチョコといわれるルビーチョコだろうか。この天然のピンク色に魅了され、サロン・デュ・ショコラに出店していたシェフはもとより大手ブランドからホテルまで今年は挙ってこれに手を出している。

しかし、昨年のゴディバの意見広告やら昨今のコンプラにナーバスな風潮やらで従来の本命や義理やらと暫く喧しかったバレンタインデーも今は昔、それらの衰退と共に自分自身へのご褒美としてチョコを楽しむ一種のスイーツ祭典というのがここ数年はトレンドになりつつあり、上記のルビーチョコと共に催しもグローバルスタンダードになってゆくのか今後注目される。


アマゾン彼是

昨日はふるさと納税100億円還元キャンペーンとしてアマゾンギフト券を使った件が問題視されているとしたが、ギフト券はそれとしてアマゾンといえば先週は有名自動運転企業のオーロラに出資し同市場に参入する旨が報じられており、このスタートアップ投資で自動運転の競争地図が塗り替わる可能性も指摘されている。

企業の話題の他にもう一つ、プライベートの方では年明けに同社CEOが自身のツィッターにて離婚を発表した事で株式市場に及ぼす影響もいろいろと憶測を呼んでいる。なにしろマーケットにおける時価総額ランキングではアップルやマイクロソフトと並び常に首位を誇っているだけにシナリオによっては確かに応分の影響も出て来るだろう。

冒頭のスタートアップへの投資報道と同じ日には、自身の女性問題を巡って米タブロイド紙から政治的意図が背景にある脅迫を受けたとして関係者間のメールの遣り取りを公開するなどここ公私共に何かと話題には事欠かないが、財産分与等に伴う株の行方は暫く市場関係者をやきもきさせることになるか。


ふるさと納税版100億円還元

さて先週水曜にスマホ決済PayPayの第2弾100億円キャンペーンを当欄では取り上げたが、この直ぐ後に出てきたのはナントふるさと納税の100億円還元キャンペーンであった。今月アマタにも「裏?ふるさと納税」と題し、アマゾンギフト券を加えた静岡県小山町の高返礼率を取り上げたばかりだが我が道を行く自治体の駆け込みは止まらずといった感じ。

これは周知の通り大阪の泉佐野市が2月・3月限定で無くなり次第終了とした閉店?キャンペーンの事で、その内容は同自治体独自のふるさと納税サイトからの寄付限定ながら自治体が支払う民間仲介サイト経由寄付額の10%程度の手数料をアマゾンギフト券で還元という理屈で、その寄付額によっては返礼割合が5割を超えて来る。

同自治体政策推進課では法施行される前の閉店と位置付けてのキャンペーンとしているが、かつて同じく還元率5割を敢行し総務省の御達しをそのまま受け入れるつもりはないとしていた群馬草津市まで今では3割は守るべきとTVで苦言を呈している。

また今日の午後には同自治体のホームペ−ジで市長が総務省に対して真っ向から反論のコメントを公開しバチバチの展開となっているが、駆け込み勝負に出たとはいえ総務省一部幹部は6月の通知法律化の際には過去に悪質な行為をした自治体を外す可能性も仄めかしており、はたしてヤリ得で終わるのか否か今後も駆け引きが注目される。