慈雨は降るか?

さて、約二週間前の当欄では、「上場企業でもこのままでは年を越せない既にカウントダウンに入っている云々もいろいろと耳に入ってきており対照的に消えゆくモノもありといったところか。」とコメントしておいたが、今月もそろそろ終ろうかという処で昨日は東証一部上場のオリエンタル白石が破綻となった。

各紙で既報の通り同社で今年に入ってからの上場企業破綻は30社目となり、これで戦後最多であった02年の29社を抜いて記録を更新する事となった。

同社社長の「業績は回復基調であったが金融機関の融資姿勢は厳しい。運転資金さえ調達できれば十分存続できた。極めて残念だ」との弁には無念さがよく滲み出ているが、中小向けでも先に発表されている大手銀行6グループの9月末の融資残高は3月末に比べて約2兆9,000億円も減少している。

そんな中を本日の日経総合面には「貸し渋り防止 金融庁動く」との記事が出ていたが著しく融資実績が縮小した銀行なんぞは徹底調査されて然るべきだろうが、銀行のみならず貸し剥がしも横行しておりはたして負の悪循環が断ち切れるかどうか。一つ出たが、この他にもまだこのままであれば年を越せない上場企業もあるか。


ディスクロさまざま

ちょうど一週間前には駒澤大学のデリバティブ損失発覚に少し触れたがその後も立正大学が同様に発覚したりと出ているが聞いているだけでもまだまだ他にも多数この手の件あり、さて大学のみならず外食のサイゼリアもこれが発覚し本日で二日連続ストップ安の憂き目に遭っているが、メラニンピザ問題のストップ安から異様な這い上がり方で年初来高値更新していただけに今回が注目される。

連続ストップ安といえば直近までその決算から保険関係が目立っていたものだが、ところで切っ掛けとなった某社の先の上期上方修正から一呼吸おいての通期下方修正発表とは何とも酷い、たった二週間そこそこの営業日の中で上方修正発表からストップ高、下方修正発表でストップ安とまるで遊ばれているがこれもアリなのだろうか?

こんな錯乱モノの動きの他には変な二極化も混在し、本日の日経紙一面には米、追加金融対策77兆円とのタイトルが踊っていたものの株式相場は踊らず、直近のシティ問題にしろこの「追加」というのが曲者で小出し?にしているが結局は絶対量自体が足りないのではないか。


星と驕りと・・

昨年に続いて今年も先週末にはあの「ミシュランガイド東京」の2009年版が各所で一斉に発売になっていた。

今回は調査対象も広がり星獲得の店も前年の150店から173店へと星の大盤振る舞いは変らず、消えゆく店はあっても補充候補には全く困らずと、これでは本拠地フランスでも世界の美食の都はもはやパリではなく地球の反対側にある等の現地ヤッカミも報道されて然るべきか。

さて、一方で昨年星がバラ撒かれた後の一年を見ていたが果たしてお粗末な部分も露見、二つ星を獲得したヒルトンの「トゥエンティ・ワン」では流行?の産地偽装が発覚とは何ともお笑いだが、これ以外でも先月少し触れた「ブノワ」始めとして星を取った店の閉店も相次いでいる。

こうした背景には当然驕りもあったのだろうが、やはり一年前に書いたようにこの分野を星でランク付けするのは限界があるように思う。

アジア初の発行となった昨年2008年版といえば27万部が完売との報道があったが、今年はメジャーな処数箇所を見たがいずれもたまたまなのか否か巷の報道とは逆に見事なほどこのコーナー前は閑散そのもの、この時世下さすがに一般の食い付きも変ってきたか。


売り切れ狂想曲

さて、今週は田中貴金属工業が今年10月までの投資用地金型金貨ウィーン金貨ハーモニーの販売量が、既に昨年一年間の販売量の2倍に達したと発表している。

この田中貴金属工業、先週には10月の投資用プラチナ地金の販売量が過去最高になったと発表しているが、なるほど改めて同社のHPを見てみると世界的な金融危機で貴金属投資需要が盛り上がった結果製造が追いつかず、モノによっては在庫が無くなり販売を停止しているものがある旨の「お詫び」が掲載されていた。

さてプラチナ、なんでも1980年以来の7,000円台高値から一気に半値以下にまで叩かれた事に因る割安感こそ買いが殺到した原因らしいが、大手の今がチャンス的な広告も目にする昨今、確かにこうした媒体も縁の無かった向きを一段と後押ししているのかもしれない。

ただ気になるのは僅か数ヶ月で高値から半値以下にまで値を下げられるモノに対して、大手紙などで事ある毎に「安全な資産」なる一文を見る度に違和感を覚える部分も。

ところで売り切れと言えば、先月末の当欄に外貨両替商の外貨が何処も底を尽き売り切れ状態になっている光景を目にした経緯を書いた事があったが、これもまた右へ倣えのセンチメントなのだろうか?


新興市場再編開始

本日から12/17まで大阪証券取引所は一株7,000円のTOBにてジャスダック証券取引所の買収を開始、年内にも子会社化した上で二年後をメドに同大証のヘラクレスと統合する方針を伝えている。

ここまで紆余曲折はあったもののいよいよ行動開始といった感じだが、直近でジャスダック指数がピークの約三分の一、ヘラクレスに至っては約十分の一にまで落ち込むなど新興市場が極端に低迷してしまっている事が概ね背景となっている。

まあ彼方此方でインチキが横行した咎めも無いと言えば嘘になるのだがそんな事から再編は焦眉の急であったとも言えるし、一方で報道にもあるように大証にとっては主力のデリバティブに加えて時価総額でダントツの新興市場を傘下に収める事で同市場の主導権を握りたい思惑もあるのは確か。

そうそう、デリバティブといえば今月の初旬から既に噂になっていた駒澤大学のデリバティブ巨額損失であるが本日は各紙でこの記事が散見、こうした金融危機時には競売などでもそうなのだが思わぬところで思わぬ名が突如として浮上したりするものだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2008

11

1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30