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急場凌ぎ措置

連休最後の昨日の日経紙一面には東京証券取引所と大阪証券取引所が、株価急落企業の増加から上場廃止基準を緩和する方針が載っていた。

この上場廃止基準に関しては当欄で年末にモラトリアムを設ける事で一時凍結する旨一度触れているが、結局年が明けても状況がさほど改善しないので取引所同士で足並みを揃えた措置となったとか。

その緩和の中身としては時価総額下限を4割前後下げるという内容だが、昨年の日経平均が年間で約4割の下げであるから概ねそれに則した内容となったというわけか?

ところで年末に取り上げた時も最後に「猶予期間が延びた事による延命がはたして良いのか否か、いろいろと考えさせられる。」とコメントしたがIPOもこの地合いで不振、東証撤退の外国企業も続出という状況下これ以上の地盤沈下を何とか避けたいとの思いも少なからずあると思う。

そう考えてしまうと何とも後ろ向きな措置は否めなく、もともとこうした企業は個別ではリクイディティー始めとして幾つもの問題点を擁しておりそうした点では問題銘柄を抱える商品取引所も似たようなものであると改めて感じる。


砂上の楼閣なのか?

さて、年が明けてからここ一週間はそうした絡みから例年の如く世界各地の友人知人から思い思いの近況報告含めた便りが相次いで届いた。

何処もまあ昨年は明るい話題は少なく沈滞ムード漂うものが多かったのだが、そんな中だけに今どきバブリーな写真は一際目立つもので、中東系某航空会社でフライトアテンダントをしている知人は先にドバイにオープンしたホテル「アトランティス・ザ・パーム」のパーティーの様子を送ってきた。

なんでも2,000億円近くかけたパームの一角、パーティーの予算だけでも数千万ドルであったそうで送ってきた写真を見る限りそれはそれは絢爛豪華、中には大型水槽に直結しているスイートルームや専用エレベーター等々目移りしてしまうが、そうそうこの辺のホテルといえばあのパラッツォ・ヴェルサーチも現在着工に入っているとか。

しかし斯様に華やかな様子を呈しているこの一角だがここも決して例外ではない、此処最近では借入金依存での開発にも陰りが出て来たともいわれ直近ではドバイの不動産金融大手二社を連邦政府系銀行が救済する事を決めたばかり、早くも文字通り「砂上の楼閣」と一部に揶揄されているが原油価格が昨年一年間で53.5%の暴落をした中を中東もその行方が注目される。


Euforia

本日も日経平均は続伸し06年の春先以来実に2年9ヶ月ぶりの7連騰となった模様、また商品も方もリスク資産への一部流入からか殆どの銘柄がストップ高も交えここ最近は高くロイター・ジェフリーズCRB指数も昨日まで約5週間ぶりの高値まで回復してきている。

素地として相場が枯れていた折に個別の多くは各種指標が11月〜12月に掛けて既に陽転していたという事もあって別段「懐疑の中で育ち」というわけでもないのだろうが、ボンヤリとやはり背景には「オバマ・ユーフォリア」の指摘も一部には為されている。

折しも丁度円安に振れている事で指数に寄与し易い主力が先導し、上記の点では次期米政権の景気対策が8,000億に届こうかという莫大な規模だけに骨子が明らかになるまでの真空地帯は安心感も出て来ようというものだが、しかし円安といっても今だ多くは下方修正が出かねない水準でなんとも慣れの感覚は好い加減なものである。

肝心の財源も焦点になってこようが、パンクした向きの社債オークションのディスカウントを見ても明らかなように架空の資産バブルなるものもCDS含め時限爆弾のようなもの、第三四半期決算でブレる向きも多くなりそうで次第に選別化も出てくるか。


適正回帰と改革

本日の日経紙には主要企業トップの年頭所感が出ていたが、この金融危機の中で迎えた新年を各々思い思いのスタンスで乗り切ろうとの決意が認めてあった。

一方で業界では取引所、協会等6団体が主催する商品先物取引業界賀詞交換会が昨日開かれ、こちらも時事に関係要人の年頭所感が出ていたが、数年前から云われているシンプルで当たり前な方向転換の再認が目立つ。

東穀取など「風を起こし、風をとらえて風に乗る」とコメントしているが、起こした風で自らが吹き飛ばされないよう祈るばかり、ただでさえJCCH清算参加者純資産額引上げを睨んでナーバスになっている取引員は取引インフラや整備等のミスマッチには辟易している向きが多い。

各々がパイに合った適正水準へ回帰する動きは今後も続く、というか加速しなければならないのが普通だろうがそろそろ総合的な構想に合せ業界のみで自由に動ける行動も次第に狭まって来る可能性も大か。


丑躓く?

皆様、新年あけましておめでとうございます。

さて、大発会を迎えた本日であるが、商品・株式共に全面高でのスタートを切った。相場関係者の間では昨年の子年は「繁栄」とされ、例えば株式なんぞは1949年の東証再開以降で平均40.3%の上昇率を誇っていたものだが、昨年は実に年間下落率42.1%と全く逆で未曾有の危機の前にこの手の格言もまったく歯が立たなかった格好。

そんなわけで格言もあまり神通力がなくなってしまったかどうかだが、一応今年の丑年は「つまずく」、上記同様に照らしてみると平均ではマイナス11.4%と十二支の中では最も成績が悪いという。そんな中を全面高の大発会で一部関係者にとっては幸先よいムードとも一部出ているが?忘れた頃の地政学リスク?の再燃有や否や、米国の政権移行を睨んでこれまで武力で抑えられていた紛争が再燃する兆候も無いとは言えず金融危機処理途上の実体経済へどの程度影響して来るのかまた暗雲漂う中を出発する事になる。

本年もどうぞ宜しくお願い致します。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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