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萎縮から再編

本日の日経紙財務面にはREITの産業ファンド投資法人が三菱商事を引受先に80億円の劣後債を発行する旨が出ていたが、REITによる劣後債発行は初のケースだろうか。

さて、REITといえば不動産証券化協会が先週末に纏めた個人投資家の意識調査結果によると、REITを保有しているとの回答は僅かに6.6%、今後REITに投資する予定が無い向きが60%に達するなど人気の無さが顕著だが、つい数年前にREITを当欄でとり上げた時は累計資産額が一年間で60%増と破竹の勢いで膨張していたのを思えばその凋落ぶりがなんとも酷い。

昨今のREITは組み込まれている不動産資産価値を合せた実質純資産額を時価総額が下回る状況、リーマン破綻で所謂ブルーチップ株が軒並みPBR割れと割安感?が煽られていたのに状況は同じであるが、株式よろしく今のセンチメントはPBRの異常な低下は割安感より破綻懸念を喚起してしまうのが現状である。

こんな状況に危機感を募らせた政府は投資家の信頼回復の為に運用を行う投資法人同士の合併・再編を促す方針を固めた模様だが、これまた企業同様玉石混合なだけにそのオペの成り行きが注目される。


境界線

本日からシカゴ商品取引所は、大量の投機マネーの流出入が先物価格を乱高下させ実需家に悪影響を与えているとして、年金基金などが農産物先物などに投資する際の持ち高を制限する模様である。

直近ではWTIが対ブレントの鞘や期近の動きを以ってその指標性が物議を醸し出しているが、この辺に関しては先週だったかCFTCの委員の一人がワシントンの講演にて昨年の商品相場の高騰原因には新たに参入した投機筋が大きな役割を果たしたと明言、相場操縦などの取り締まりを強化するにはCFTCが司法省と同様の犯罪起訴権限を持つべきだとの考えを明らかにしている。

さて国内、取引所も主務省もプロ化云々とかまびすしいが一般投機家主戦からファンドやディーラーへとその占有模様が変り相応のリクイディティーを創造したものの、崩壊しその受け皿さえ潰してしまった感ありだが、仮に先行き主軸をそうした大口系に依存してゆく事になった場合はこれら規制も日本が得意な右へ倣えで導入促進という運びになるのだろうか?

事が起きてから対処するパターンが殆どであるが、暴れるだけ暴れて味が無くなったら捨てる構図は未成熟市場に顕著で当事者にはワンチャンスでも旨み在り、先手の打ち方にも手腕が問われよう。


奇異なる日本のValentine’s Day

気象庁によるとバレンタインデー前日の金曜日の強風は春一番であったとの事だが、確か一昨年も春一番はこのバレンタインデーではなかったかと記憶している。

春一番は兎も角、さてこのバレンタインデー、今年は土曜日という事で義理系の商戦が不安視されてはいたもののその品にかける予算平均額はアップと不況知らずの様相を呈していたらしい。

今年は目に留まったところでミントンの容器に入ったバブリーなモノもあったが、あと面白いと思ったところで「グリーン電力証書」なる物が付いたチョコレートや、西洋銀座などではフェアトレードチョコレートを展開と人に地球に優しくとやはり今の時世を感じさせるものありと様々。

そういえば今年の商戦では男性から女性へプレゼントする所謂「逆チョコ」なるものも登場し提議の変化とか大袈裟に言われていたが、そもそも欧州等でバレンタインデーといえばお互いに思い思いの品を交換したりするのが普通で寧ろこの日本独特の習慣は以前からかなり奇異に見られていたのが事実。さて、次第にこの辺も国際標準の道を歩むのであろうか?


繋がらない各論

今週は週初に日本商品先物振興協会が制度政策委員会にて市場振興策と会員の経営活性化、市場の活性化などを骨子とする09年度の事業計画案をまとめた。

まあ、関係各所で各論ではいろいろと使い古した案が出てはいる模様であるが、例えば活性化策では市場参加者の取引費用低減策が示される一方ではTOCOMなど定率会費の引き上げをチラつかせるなど、依然として各所内での論議羅列の先にその脈絡を見出せないのは構造的ないつものパターン。

取引所といえばこの祭日前にも東穀取が一年間取引が無い生糸先物の上場休止を検討とあったがこの期に及んで「休止」とのたまうあたりも或る意味凄いし、また同日再生鉄も納会を迎えたがキャンペーンも空しく何時も通りの参加者不在納会とこちらも何とも荒涼とした感ありと、最近ではこの衰退論も何が最初にありきという順番もどうとでも取れるような状況となっている。

さて戻って上記の商品先物振興協会にしてもこの辺の核心については既に先週カウボーイが触れている通りであるが、この靄が掛かったようなモラトリアムの中、年明け早々に書いたように業界のみで自由裁量が利く時間もさてどれほど残されているのだろうか。


醒めないMAGIC

さて、先週は内定取り消しやら何やらで一頃晒し者になってしまった日本綜合地所がとうとう2,000億以上の負債で破綻の道を辿るハメになってしまったが、こうしたモノが出る一方で先週末の日経紙一面に出ていたようにオリエンタルランドなどは09年3月期の連結決算で純利益が過去最高になった模様である。

もともと同社は昨年から度々上方修正をい繰り返すなど一般とは全く逆の優等生ぶりを見せ付けて来たが、最近の景気後退の中で所謂レジャーの「安近短」傾向が追い風になったと見られている模様である。

まあ上記は額面通りには受け取れないもののTDL周辺については度々当欄で触れて来たが、古くを辿ればバブル崩壊期でもへこまず100年に一度の危機でも最高益とはそれこそMAGIC、考えてみればここ数年に亘ってレンジ内での動きを続けている管理相場のような同社株価には正直つまらなさを感じる事もあったが、まあ外部環境に左右されないというのもやはり特異でもある。

先に25thアニバーサリーに触れた時に「〜シンプルな発想ながら絶え無き仕掛けとその実現にはいつも敬服させられる〜」と書いたが、もう一つの強みはやはりキャストの教育であろうか。この辺は以前に直営ホテルへ宿泊した時にこれは凄いなと敬服した出来事が幾つもあったが、或る面ココの人材教育に似たようなエッセンスを持っていたのが2/5付けで書いたマハラジャであったが、さすがにそのマジックの規模が違った。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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