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中小の悲哀と似非アナリスト

前々からこの手は云われていた事であったが、昨日金融庁は証券業界中堅のコスモ証券に対して、組織的に手数料稼ぎの為に不適切な勧誘で投信の回転売買を繰り返したとして金商法違反で業務改善命令を出している。

営業本部長の旗振りの下、営業員ごとに日々の販売残高や手数料収入の高い目標を設定、異なる顧客にブル型とベア型をそれぞれプッシュし頻繁な乗り換えを組織的に繰り返していた。コトの内容はザッとこんな感じだが、一昔前だったらまったく通常の或る日の一光景にすぎなかったものが随分とマトモになったなと改めて時代を感じる。

証券や商品先物業界においてもこんな営業本部長のような商いで昇格してきた一部の輩が、今では借りてきたような真面目ヅラでアナリスト等と名乗って随所でコメントなんぞを載せたりするようになった今日でも、同時にこうした化石のような営業形態が未だに業界では横行しているというのも事実で、こんな営業が無くなる日ははたして来るのだろうか?

そんな背景には昨今の市場低迷で売上確保が難しくなった部分があるとの指摘も一部にあるが、大手であれば先月も当欄で書いたように、それこそこんな中堅証券一年分の稼ぎを一発で弾き出せるプライマリービジネスでガッツリ稼ぐという手段があるが、それにとても食い込めず東証の上場くらいしか先行きの希望も無い一部企業のなんとも悲哀を感じるこのケースはいろいろと考えさせられる。


粉飾国家の芽?

本日は投資家のバイブル?会社四季報や日経会社情報の新春号発売日であったが、小反落となった本日の日経平均もその中身ではこれらに反応した個別もあっただろうか。

経済激動の昨今こうした企業データでも前号予測などと見比べるとトンでもなくギャップが出ているものも散見されるが、これが内閣府の発表モノという事となると一寸話が違う。先週の出来事というか発表で酷かったのは、この内閣府が発表した7-9のGDP改定値が11月公表の速報値に比べて年率で3.5ポイントもの下方修正になったという点であろうか。

先の「政府のデフレ宣言」を裏付ける結果と片付けてしまうのもいいが、何処ぞの粉飾企業のディスクロよろしく此処まで修正の乖離が大きくなってくると、これらもうかうか信用出来なくなってくるのは自然だろう。GDPなんぞはそれこそベタだが、これから各種統計やらが勝手に手直し出来る算出方法でこんなにギャップが出るようになったら最初から穿った見方で別な読みで数値を見るようになってしまうし、そうなったらこれはもう本来の用ではないだろう。

今月に入ってから株式市場はスルスルと約1,000円ほどの戻りを入れたものの、日曜の日経紙には世界的な株高基調の中で、総選挙のあった8月末以降の株価騰落率では主要20ヶ国・地域で日本株は唯一のマイナスとなり、出遅れが鮮明である旨が載っていた。相場も猜疑と信頼の中で揺れてくるようになるとこれまたややこしくなるか。


無知な机上論の危うさ

さて、本日の日経紙二面には小さく「嫌われ者」で意気投合?として、民主党の小沢幹事長と指揮者の小澤征爾氏の両者が、事業仕分けにおいて文化芸術関連予算が大幅縮減と判定された事に対しての対談が為されていたことが載っていた。

この辺は週初にも文化予算を大幅縮減するとの判定に対して、日本オーケストラ連盟など音楽関連5団体が緊急アピールの記者会見を開き民主党へ要望書を提出するなどの行動があったばかり。これに限らず物理モノから酒類関係まで何処も逆風に晒され怒りあらわの様相だが、中でも身近な分野でどうかなと思ったのは漢方薬を公的医療保険の適用外とする方向性が示された問題だろうか。

この報で真っ先に心中穏やかでないのはそれこそ大手のツムラなどか。同社といえば昔、カラ売り筋が戦局を有利に持ってゆく為にこれと同じ話を彼方此方流布した経緯があったのを思い出すが、まさかそれが今蘇るとは想像もしなかった。しかしそれ以前に我々消費者にとっても今流行りのインフルエンザから婦人科・小児科までその範囲は幅広く投与されているだけに、なんとも現場を知らない机上の空論だけで進められた構成のお粗末さは否めない。

漢方薬が保険適用外となれば、保険診療と保険外診療を併用する混合診療にあたり全額患者負担ということになるが、この混合診療とて現状は曖昧な一部解禁。以前当欄で「歯科医とコンパニオン」の項でも少し書いたが医療分野の技術革新は日進月歩、一刻も早い混合診療の解禁も願うところである。


インフル系投機

本日は所用で赤坂にて所謂ヌーヴェル・シノワ系を経営している知人のところへ久し振りに立ち寄ったのだが、相変わらずフレンチ懐石にも似た中華らしからぬ中華は綺麗で味もまた負けず劣らずであった。それは兎も角、シェフに聞いた話では、何でも中国では大蒜や唐辛子が新型インフルエンザ予防の効果があるとして投機の影響で大暴騰しているらしい。

投機と聞けば興味をそそられるものでちょっと探してみたが、確かに大手紙ではこの辺の事を謳っている記事を発見。材料としてはメジャーな穀物よろしく作付け面積の減少が背景になった模様だが、実際のところ直接的には前回の不動産バブルでも暗躍した炭鉱経営者や特定投機筋がまたも大量の資金を投入した投機の影響らしい。

まあ、商品だけに投機対象となるのも納得だが、ちなみに彼ら投機筋は買い占め用に倉庫を急造し、大蒜は前年同期日でなんと120倍以上、そしてその次に投機資金を投入したとされる唐辛子では前年同期日で約5倍になっているというから凄い。しかしインフルエンザならお国柄もあって八角あたりが真っ先に狙われそうなものだがこちらはどうなのだろう?

この中国では同様な投機筋の影響で先に非鉄金属やらも買占めがあったばかりで、この手のバブルでは遥か1600年代にあったチューリップなどは誰でも知っている程有名だが、何百年経っても基本的に行動様式は変わらない。過剰流動性とその性格がマッチするマーケットさえあれば何時の時代になろうが繰り返さ続けるパターンである。


日本初の二酸化炭素排出量取引

各所で既報の通り、京都議定書後の地球温暖化対策の国際的枠組みを話し合うところの、「国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)」が昨日から18日まで約2週間の日程でコペンハーゲンにて開幕した

先に鳩山首相は、温暖化ガスの排出量を2020年までに1990年比で25%削減する旨の発言をして拍手を浴びていた光景は記憶に新しいが、議定書の延長案というシナリオも出る中、纏め様のないものの足並みを揃える障壁から米中に絡み別な枠組み案という線も出ている。そうした場合、上記の25%もまたあやふやになってくるが、まあこの辺も紆余曲折がありそうな感じだ。

さて、ちょうどそんな時期に昨日の日経紙夕刊で見掛けたのが、ドットコモディティが来週から国内初の一般投資家向けの二酸化炭素排出量取引を始めるという件。10月にも当欄ではこの排出量取引について東証とTOCOMが同市場設立を目指し来年春にも共同出資会社を設立する方針を固めた旨に触れたが、今回はそれらに先行して市場を開拓することになる。

しかしマザーが存在すればそれこそ幾らでも取引の幅が広がるCFDはまさに無限の可能性を秘めているともいえるが、何れ国内でも同市場が創設される折にはキャップ設定するや否や、仮に導入としてもその設定には公平性の観点から細心の注意が必要になるのはいうまでもない。先駆しているECXなどとのの絡みもありいろいろと注視しておくべき事項が山積みである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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