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経営も相場も?

さて、事前予告型という異例措置にもかかわらず会社更生法申請当日も数円のところで厚い買い板が並んでいる様を見るにつけ「腐ってもやはりJAL?」などと妙な感心を覚えたものだがこのJAL、これら申請に伴いリスクヘッジの為に行っている燃料の先物取引について解約を迫られる見通しであると各紙で伝えられている。

主にブレント燃油やシンガポール・ジェット燃油の先物取引ということになるが、これによって現況でJALの支払い義務のうち数百億円(これも日が経つにつれその額がどんどん膨らんでいる)が、債権カットによって取引相手が請求権を失う見通しであるというなんとも後味の悪い強制手仕舞いである。

ちなみにこの先物取引での支払い義務は原油価格高騰時に執行した引かれ玉があってのものだが、もう一つJALといえば記憶にあるのが80年代のドル先物予約だろうか。当時150円以上していたドルであったが10年以上もの先物予約をした結果、長年に亘ってとんでもない相場で機材を購入するハメになったわけだが、こんな案件がよく通ったなと別な意味で感心するが総じて相場モノはボロボロだなと。

知人のJALキャビンアテンダントも相場は上手くはないがまあそれはともかくとして、こうした燃料価格も今後の動向によってはノンヘッジのままでは再建下その影響もさすがに懸念される。この辺のデリバティブ事情も今後どういった形で調整してゆくのか関心が向くところである。


夫々のモラル

本日の株式市場は円が強含んだこともあって続落となっていたが、業種別では金融系が弱く年明けからスルスルと上昇してきた銀行株も三井住友F始めとして軟調を余儀なくされていた。

さてこの三井住友F、今週中には公募売り出し価格が決定する見込みということで引き受け筋からの売り物も云われているが、まあ原理としては値決め日よりも下鞘確実なわけで、これをターゲットとしてショートする裁定はもうお約束だろうか。

しかし当欄で昨年、大手一角の連中とプライマリービジネスはやはり旨みがあると書いた事があるが、昨年12月までに証券会社が得た引受手数料は1,500億円以上にも上っているという。年末の日経紙では「黒子役、市場を圧迫」として無謀な増資を進めれば、企業は株価下落のシッペ返しに遭う、それ以上に憂き目をみるのは個人を含む投資家だ。としているが当の本体もロックアップ期間を過ぎた途端に一転して従前とは違ったファイナンス見解を述べ始める等、投資家を欺くような言動にも問題が残る。

こんな時世で受け側も本音では受けたくない?向きのところも少なくないと思うが、そう考えると少しでも値下がりリスクを回避しようとする上記一連の行動も一概に避難するのは何やら酷な気がしないでもないが、そうなるとやはり掟破り的な大型増資を敢行した発行体に矛先が向くのはやはり仕方の無いことなのかもしれない。


選択肢多様化によるスイッチ

先に野村アセットマネジメントが実施した第五回の「投資信託に対する意識調査」によると貯蓄から投資へという国の方針について、およそ6割が見聞きした事があるとしている一方で、6割近くが投資は必要ないとの考え方を示していた模様だ。

さて、そうした投資は必要ない向きは兎も角として実際に取り組んでいる向きについては、週末の日経紙にて投資信託協会が15日に発表した09年の投信概況が載っていた。それによれば、新興国の株式などに投資するタイプに資金が集まる一方、分散投資でリスクを抑えたバランス型投信への資金流入は急減と、世界的な金融危機で損失を抱えた個人が市場の回復を狙ってリスクの高い商品に資金を移す動きが広がっている模様。

そんな折に週末に報じられたのがFUTURES PRESSでも既報の通り、国内市場の商品に直接投資する初めての投信となるTOCOMの金先物を対象とする投資信託を来月から販売する旨。

同投信が高リスク物にあたるや否やはともかく、日経紙では09年の投信販売額を金融機関別に見れば比較的リスクを取れる顧客を多く抱えた証券会社の販売額が全体の7割を超えているという。さてこの初モノ投信についてはまた後述するとして、現場レベルでも着実にこうして融合ムードが始動してきたなという感があるが、これもスイッチへの序曲となるや否やまた注目である。


GOLDの犯罪いろいろ

さて、先の連休中の日経紙にも金投資のための基礎知識として金関係の話が載っていたが、週明けのNYでも約一ヶ月ぶりに1,150ドル台を回復してくるなど、再度金価格の上昇が話題になる機会が増えている。

そんな人気者?だけにこの年末年始の犯罪でもこの金絡みの犯罪が目立ったが、先ず複数件挙げられて目に付いたのが金地金の密輸モノか。オーストラリアや近場では韓国や香港などから金地金を密輸しそれを国内で換金、その消費税分を抜いてしまおうという労多くしての原始的なもの。

同じ抜くのでも、この手の消費税法違反や関税法違反ではなくて値幅を抜いて所得税法違反というパターンもあった。まだグラム1,000円そこそこの時から数年間買い付けたものを、06年以降価格が2倍以上になったところで順次売り抜け国税に目を付けられたというケース、これは相場に乗れたマトモな方か。

果ては振り込み詐欺系、その振り込ませる先がインチキ口座ではなくマトモな貴金属販売業者の口座に振り込ませ、貴金属業者には金現物を私書箱宛てに送らせ、後にそれを転売し現金化というパターン。この辺は銀行窓口でも業者への商品購入代金を振り込むパターンから警戒感が薄くなるという効果も見越し、一回200万円を超えない範囲とこれまた犯罪収益移転防止法まで抑えているあたり悪知恵のセンスが光る。

しかし盗品でも何でもそうだが、マーケットというのはそれぞれ最低限の構成があれば成り立ってしまう。上記のパターンもそうだが、EXITが比較的容易に実行出来てしまうその環境も今後再考すべき事項であろう。


主力事業の転向

さて、FUTURES PRESSでも既報の通り、先週末はスター為替証券が3/5をもって商品取引受託業務を廃止する旨が発表されている。スター為替証券といえば先に福証に上場し、現在はHDがヘラクレスをマザーにしている上場組。そういえば何時だったか数年前にこのニ市場でトコロ相場が話題になった時期もあったなと思い出す。

それはさて置きこうした取引員の中でも上場組といえば、年末には東証一部に上場する小林洋行もまた商品取引受託業務を廃止する旨を発表している。年末年始に相次いで上場組が今迄の主力事業から撤退という様は現況を如実に物語っているといえよう。

さて取引員ではないが主力事業廃止から上場を廃止にしてしまったものでは98年大証の淡路フェリーボートがあったなと何故かこれが急にアタマに浮かんできたが、これなど社名にもなっているフェリー事業を明石海峡大橋開通で廃止したもの。

上記取引員はまだ枝葉はあるものの、同様に社名にフューチャーズなどと付けていて主力事業を廃止した事から上場廃止になったパターンではSBIフューチャーズがあったが、主力事業撤退といえばそういえばその前のグローバリーなどはまた別なパターンで上場廃止になったなと。

しかし、昨今の業界模様を反映してか上場当初の万年低PBRの時代に戻ったかのような同指標の低さがまたぞろ目立っているが、上場企業はまあそれなりに株券も流通しているわけでこれら絡みでは本当に水面下でさまざまなドラマが展開されている。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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