国際商品への反応度

さて、もう年度末だが今月は久し振りに「日経・東工取商品指数」など大型商品の上場があったが、もう一つ商品モノの上場イベントといえば9日付けで触れた、ETFセキュリティーズの国際商品価格連動型の14本のETFの東証上場もあった。

前回のETFセキュリティーズ物といえばメタル系5本の上場であったが、今回はDJ-UBS総合商品指数とそのサブ指数4類型商品指数、9種類の個別商品指数連動型である。このDJ-UBS総合商品指数など商品投資に際して広くベンチマークとして利用されているが、初日のそれは寄りの一本値で売買代金は9万円一寸と可也寂しかった。

他、初日の概況としては初モノと囃されたガソリンなどは寄りから9%上昇して終了と一部報道されていたが、これも後場に入ってからの寄り後のわずか20口の値付けで値が飛んだに過ぎず、TOCOMでは既に立会い休止が決定したアルミニウムなども寄り一本値で売買代金は5万円ちょっと、穀物指数に至っては出来申さずと総じて様子見気分が強かった印象である。そんな中でも目立ったのはCFD等でも一部人気のある小麦で初日の値付けも最多?で、売買代金も345万円超と上場初日の全14銘柄合計売買代金の約半分を占めた。

それにしても今回は一気に14本の投入。こんなペースからすると今年はETFの品揃えが100銘柄の大台を超えるのはほぼ確実だろうが、上記にも見られる通り要となるのはリクイディティー、値付け商いで辛うじて上場維持してきた商品先物銘柄の如くの指数系一部など含め、これの確保が適わないモノは淘汰の波にさらされる動きもあるのだろうか。


幻の関西連合

昨日は三越にて売り上げに寄与?している中国人観光客の様子に触れたが、百貨店といえば先週はこの三越の近所にもある高島屋とエイチ・ツー・オーリテイリングが経営統合を破談にした旨の報道があった。

この高島屋とエイチ・ツー・オーリテイリング、有力リサーチ会社の百貨店評価項目別でも上位に並んでおり、その二社の統合は2年前には当欄でも「まさに関西連合」として期待したものだが、当時もこの話が出る直前までいわれていたように高島屋の単独路線が結局は続くことになるか。

しかし大型案件の破談についてはつい先月に「相次ぐ破談」としてコメントしたばかりだが、手を結んでみたものの産業界に限らず水面下では環境の急変も手伝ってマルになるパターンも多いとつくづくだが、やはりこの業界規模的な問題は避けては通れない道だろう。

実際、百貨店業界は昨年の全国売上高が実に24年ぶりの低水準になるなど市場縮小が継続、こうした環境下での合従連衡の流れであるが、他社も含めて構造的な問題が変わらない中このポストは中堅中心にそうした動きは不可避、まだまだ水面下の動きに目が離せない。


購買力襲来

昨日は一寸付き合いで三越に立ち寄ったのだが、エントランスを入って直ぐに異様な光景に出くわした。それは一階のコスメフロアにおいて「資生堂」コーナーを占拠し、在庫品までが殆どカラになるまでの買い漁りを演じていた中国人観光客の集団行動。新聞やTVなどでは見たことがあったが、実際間近に見るとなかなか恐い感さえ覚える。

ちょうど知人が居たので聞いたところ、資生堂が巨大市場を睨んでの中国進出が奏功して現地ではアッパーミドル層中心にそのネームバリューは絶大であるとか。狙われているのは現地未展開の製品や一部高価格帯の物、詳細なリストが用意されているあたり目的がハッキリしている。

所謂当地リミテッドエディションというところなのだろうが、それにしても凄い買い方である。何処かで聞いた事があるが観光客一人の背後には十数人のオーダーが控えているパターンが多いとか、また更に他の定番モノでもゴッソリ手当てしてゆく裏には、日本で買うからこその品質に絶対的な安心感があるというからこれもお国事情を表しているいい例だろうか。

しかしこんな光景、他人事のように見ているが「人の振り見て・・」とはよく言ったもので、ちょっと思い出してみれば一昔前にはパリの「ルイ・ヴィトン」やミラノの「アルマーニ」などでも大挙して斯様に買い漁っていたのは日本人だったなと。本日の日経紙一面には中国の吉利がポルボ買収で最終合意とも出ていたが、こんな末端消費だけ取っても底知れぬパワーを感じざるを得ない。


配当指数

さて、権利付取引最終日を明日に控えて一部個別では行色も鮮明になってきている株式市場であるが、先に日経紙が伝えたところによると2010年3月期の配当総額は前年同月比5%増と上場企業の配当が増加に転じる見通しである。

半期ベースの配当が増加するには09年3月期の上期以来、3半期ぶりとのことだが、ここ最近の個別の報道を見ていると増配や復配予定などの報道もよく目に付く。主力大型物の増配・復配もさることながら、小粒の異業種でもこうした動きがあり長期に亘って有望と思われるものも少なくない。

ところでこの配当といえば、今週は東京証券取引所が、日経平均株価やTOPIXを構成する各銘柄の配当金額を指数化した「配当指数」を7月に上場すると発表している。欧米では既に主要株価指数を対象にした配当指数が算出・公表されスワップや先物取引など拡大しつつあるが、アジアの取引所では初の試みになるという。

これら対象銘柄の配当支払いが確定する度に指数値が積み上がり期末まで上昇、新年度に最終値公表という具合だが、株価ではなく配当額に着目した指数というところが新しい。今後は配当部分の変動リスクヘッジ、カウンターパーティーリスク排除といったサービス提供が身近になるかどうか開始を待ちたい。


貯蓄奨励?

本日の日経紙一面で目に飛び込んできたのは、政府が郵政事業の見直しに関連し、郵便貯金と簡易生命保険の限度額を大幅に引上げる方針を固めた旨の記事。これで郵貯の預入額は現行の1,000万円から2,000万円に上がる見込み。

金融界としては今迄これらに反対してきたワケだがそれもそうだろう、政府の後ろ盾を武器にして限度額引き上げによる資金シフトのシワ寄せやら、様々な優遇措置やらで地域金融機関含めた民業の圧迫は想像に難くない。

別な視点から眺めれば、こうした貯蓄奨励?型の気運は証券関係の税制案などを見てもリスク物に対して決して寛容とはいえず、これまたより一層そうした方向への色合いが濃く見えるものだ。近年は確か「貯蓄から投資」が声高く謳われている筈だったと思うが、何かこう逆行というか矛盾している感が強い。

しかし、JALなど旧官営(事実上は今でもだが)の悪しき伝統モノが市場から消えてゆく一方で、斯様に官業の肥大化が進行している点に不気味さが燻る。これら含めて今迄築いてきた改革が歪み、経済構造が後戻りしてゆくような愚の無いよう祈るばかりである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2010

3

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31