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もう一つの世界指標

さて、6月の中国の貿易収支は輸出が予想以上の伸びを示した為に、5月と市場予想を共に上回る黒字となりその黒字額は200億ドル、エコノミスト予想に反して9ヶ月ぶりの高水準となった模様である。

ところで中国がこの輸出に高い関税を掛けている物の一つにコークスがあるが、先週木曜の日経紙一面には中国の大連商品取引所がこのコークスの先物取引を中国証券監督管理委員会に申請しており、承認を得られ次第年内にも上場する方針と載っていた。

中国の商品取引所は海外からの資金流入制限から自由に取引出来ない側面があり、例えば非鉄市場などにおいてLMEなどのような「世界指標」にはなり得ないと言われているものの、非鉄を上場している上海先物取引所などは09年の売買高が世界一となり、既に本家のLMEにも影響を与え始めた旨も報道されている。

日本も原材料の大部分を輸入に依存する体質だがこれらの価格契約のやり方も変遷、資源大手など価格改定のタームが短くなってきているが、今後市場連動型への移行が趨勢となってゆく中、価格ヘッジの場を先物市場などで整備する必要性は大きいのだがそもそも足元が振るわない。大連商品取引所はさしずめ日本の東穀取?にあたるが両者の明暗は一目瞭然、なんとも複雑な思いである。


金の果実シリーズ

さて、先週の金曜日に三菱UFJ信託銀行が発行した「貴金属上場信託(国内保管型)」が上場してから明日で一週間が経過する。今迄、商品系のETFには何度か当欄で触れてきたが、今回のものは貴金属対象の国内型としては業界初である。

初日の商いを振り返ってみると、このうち「純金上場信託」はご祝儀も入ってかやや上鞘の3,600円で寄付き引けでは3,400円台に落ち着いたものの、売買代金は1億3千万越えとなかなか。この手では首位を誇る「SPDRゴールド・シェア」の同日の売買代金が約7億7千万、大証に上場している「金価格連動型上場投資信託」は約3億8千万、同じ大証の「国内金先物価格連動型上場投信」が約1,600万、そして「ETFS金上場投信」が約6百万であった事を考えると今後にも期待が持てよう。

正直なところ売買代金の一億円超えは予測していなかったが、2日申し込み時点でも「SPDRゴールド・シェア」等の主力と共に買い残を積み上げておりまずまず。やはり現物の裏付け、それも当の三菱信託が「貴金属現物が日本でしっかりと保管されています。」と謳っているように、国内で直接管理という安心感から資金もこの辺へ向かったのか。

この手の現物裏付けがあるETFとしては、上記の同じ東証に上場している「SPDRゴールド・シェア」があるが、このロケーションを日本に移したようなモノか。2006年の信託法改正でこの手の仕組みを使ったETF発行が可能になったが、これはまた受け渡し単位も可也小口化されておりこの辺の嗜好性から現物需給の引き締め要因となるや否や、その構造上からも今後に注目である。


短冊の願い

先週あたりから各所では短冊に思い思いの願いを書き込む姿が彼方此方で見られたが、ご存知本日は七夕。例年この期には入谷で朝顔市が開催され、またライトダウンなども各所で行われるがこの辺は今年も粛々と。

さて、この慣れ親しんだ行事についてカルピスがアンケートを実施したところによると、織姫と彦星の関係を夫婦と認識していた向きがわずかに21%だったとの結果であったとか。これが七夕生まれの人対象に行った調査というから一寸残念な気もするが、今はそんなものなのかもしれない。

ところで上記のライトダウンは損保ジャパンDIY生命も参加したというが、生保といえば昨日は年金型保険における相続税と所得税を課税する所謂二重課税訴訟において、最高裁が違法との判断を下し国が逆転敗訴となった旨の記事が各紙で見られた。

今迄長きに亘って課税されてきたこのケースがこれで覆されたのは驚きだが、過払い請求でノンバンク業界も一気に斜陽となったように、改めて最高裁の絶対的な力を感じる。しかし二重課税なんぞは証券系でも当然の如く行われているが、他にも定期預金利息など幅広い金融商品の課税見直しに影響が及ぶ可能性があり今後注目、恣意的な物が正されるのは胸がすく思いだが、近年司法も方向が少し変わってきたなと感じる。


金融愚策

昨日は東京都内にて、台湾系証券会社などが日本企業向けの説明会を行った模様だが、約80社が参加し近く日本企業も上場する見通しが明らかにされたり、参加した他のベンチャー企業も資金調達し易い日本以外での上場を検討する旨のコメントも見掛けた。

さて、このベンチャー企業や出資といえばつい最近は日証協が今月下旬から導入を目指している新たな規制案が思い浮かぶ。すなわち有価証券の引き受けに関する協会規則に「上場前に個人投資家に自己株式を販売した企業については、原則として新規上場の引き受けを禁止する」という項目を追加しようというもの。 始めこれを日経紙で見掛けた時はなんとも短絡的だなと思っていたら、果たしてかな上場企業トップ始め各界の識者などから可也の反対票を集めた模様だ。

当の日証協では、この目的の一部でもある未公開株問題等を以って個人に消費者センターなどが「日証協の規則でこうした行為は禁じられている」と説明できるようになれば抑制力になる。としているが、この適用除外項目にしても曖昧で水際にて「この例外規定があるから問題ない」と言われてしまえば全く意味を為さないのではないか。

本来の健全なマネーまで逃げ出してしまうという愚策?では、先のドイツ空売り規制で唐突にこれを打ち出したメルケル首相が金融界から顰蹙を買った一件が思い出されるが、まあ、これに比べれば日証協は自主規制団体とはいえ全証券会社が加入しているのを考えれば再考が求められようか。


異常国債依存度

本日の日経紙クイックサーベイには、日本の財政に不安を感じるとした向きが97%に上っている旨が載っていた。ただ足元ではむしろ「安全資産」との認識から国債への資金流入が続き、金利は低下基調にある中、すぐに日本国債が暴落することは考えにくいとの見方が多いとか。

この辺は月初にやはり同紙一面に載っていたように、国内投資家による日本国債の保有比率は今年3月末で95%超えとなり2006年3月末以来の高水準になったとの旨がその辺を物語っているが、利回りの低水準でさながら国債バブルとの見方も当然多い。

そういえば先の郵政官営化への逆戻りにおいて郵貯限度額引き上げ論もあったが、真っ先に想像されたのは国債との絡みか。銀行も然り、確かに企業の資金需要の低迷というのがあり、仮にあったとしても焦付き懸念が付き纏う中で国債へ流れるというのも否めないが、
この残高は普通に見れば可也怖い部分がある。

しかしながら中には過度に不安視する必要は無いとの見方も多く見掛け、今の状況が不変ならばまた話は別なものの、もうじきに団塊世代年金受給も本格化する。仕手株なんぞと同様に考えるのはどうかと思うが、この手のファイナンスの如く回っているうちはいいものの金融機関等影響を考えれば崩れ出した場合の構図がやはり怖いところでもある。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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