意識改革
先週には大手証券5社の4-6月期決算が出揃ったが、最大手の野村HDなど市場混乱の影響から法人部門が411億円の赤字に転落、最終利益が前年同期比79.7%減と大幅減益となった模様である。ところでこの野村といえば、先週から傘下のチェイエックス・ジャパンが証券取引所を仲介せずに株式売買を行う私設取引所であるPTSを開設させている。
このPTS、初めて当欄で触れたのが4年前の2006年にカブ・ドットコム証券が国内初の同市場を創設した時であったが、その後は同様にネット系が続々と参入するに至った。このカブ・ドットコム証券は今月から注文取次ぎ1秒超なら手数料無料にするサービスを開始するが、今この後発組が注目されるのはやはりこうした注文処理速度があの東証が新稼動させたアローヘッドをしのぐ4倍もの早さを備えている点も大きいか。
欧州では同系列が僅か数年でユーロネクストをも上回る最大市場に伸し上がった実績があるが、現況でPTS市場は補完的な役割を担っていたが東証アローヘッドの稼動によってヘッジファンド等の取引が東証に流れはじめている。同市場稼動によって流出した顧客が再還流、延いては立場逆転して上記のような成長を遂げることになるのであろうか?
ちなみにこの新PTS、初日の売買代金は1億円強にとどまるスタートとなったが、斯様に各所における執行速度がシェア獲得の要となってくるのか、また先に東証の昼休み廃止論に触れたがこの辺も対応策の範疇に入るのかどうか今後の東証の出方も併せて注目しておきたい。