危機から生まれる技術革新・2

さて、今週は乱高下の株式市場の中で途中個別物色された物には住友精化等があったが、3/8付日経紙にも載っていた通り、同社は東京大学教授と共同研究で温暖化ガスの二酸化炭素を原料に樹脂製品を作る実用的な技術を開発したことが背景となっていた。ちょうど今はこの記事の直ぐ隣に載っていたように、原油高騰が最大のリスクとされている中、石油系合成樹脂の代替期待の思惑が出た格好となった模様だ。

しかし、最近はこの手の新技術開発発表の報道がやけに目立つ。先週末の日経紙一面では住友電工がリチウムイオンに代えて価格が約十分の一と安価なナトリウムのイオンを使う新型の蓄電池を開発したと報じており、また同日の企業面ではレアアースの価格上昇により代替技術への関心が高まる中、戸田工業が東北大学との共同研究でレアアースを使わない磁石材料の大量合成に成功したと報じられていた。

このレアアース関連については、先月も芝浦工大が微生物を使って効率よく回収する技術を開発した件や、日立金属やDOWAホールディングスについても同様の件で書いたが、これと並行して一方ではこの素材自体を使わない上記のような新技術も既に成功するなど更にその次のステージまで捉えておりまさに日進月歩の感である。

一昨年の6月には「危機から生まれる技術革新」のタイトルで各企業の巨額な先行投資の模様を書いた事があったが、このときも書いたように今迄環境の変化を拝啓とした危機における産業界の崩壊の度に、何らかのそれを乗り切る革新的技術の普及でそれらを克服してきた経緯があるが、そうした一端が上記のような報道に感じられ、M&A熱も高まるなか各企業が立ち止まっていない安心感を覚える瞬間である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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