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前哨戦のグルーポン

さて、周知の通り先週末にはクーポン共同購入サイト最大手である米グルーポンが、米ナスダック市場にはれて上場の運びとなっている。注目の初値の方は公開価格を40%上回る28ドル、終値は公開価格より31%高い26.11ドルで引け好調な滑り出しとなった。

終値で計算すると時価総額は円換算で約1兆2,900億円、これと同クラスの上場企業といえば京セラや住友商事クラスになるが、こちらの場合は創業わずか3年であるからなんとも驚きの規模である。

この手の上場では今年5月に「リンクトイン」を取り上げたが、ココに続いて上場した「ジロー」なるオンライン不動産取引会社も新規上場時には公開価格の3倍まで値を飛ばした経緯がある。ただ同社はこの段階で赤字企業、知名度は抜群ながら「グルーポン」も今後はココも赤字体質をどう捉えた評価になってくるかだが、競合他社が続々とこのビジネスに参入してきているだけに予断を許さない。

何れにしても元々上場に伴う調達額が7億ドルとかつてのグーグルに次ぐ大きさで、夏以降出ては消える進行状況からIPOは凍結状態でココは再開後の動向を占う試金石でもあっただけにモルガンなどホッと一息というところだが、これが終ると今度の焦点はやはりフェイスブックということになるか。


TPPと既得権益

さて先月末の日経紙世論調査では首相が交渉参加に意欲を示すTPPに「賛成」が45%で、「反対」が32%となっていたが、このTPPの意見集約などを明日に控えて不利益を被るとされている各種協会などの反対意見広告も目立ち、ビジネス誌等でもこのTPPが格好のネタにされている。

このTPP、自由貿易を柱とする海外との包括的な経済連携協定の一つで主要貿易国との間で関税の壁等を取り払い連携を深める狙いだが、国の成長に不可欠な一方で安い輸入品流入等で影響を受ける業種もあってこれが反対派を勢いづかせている。農業関連と共に医薬品業界をも戦々恐々とさせ、株式市場では直近まで物色難から消去法で買われていた医薬品ポストも軟調な物が目立ち、武田薬品など主力も直近で年初来安値を付けるに至っている。

確かにこのTPPはメリット・デメリット双方が混在し一概に賛成とも反対とも言えるものではないが、反対派でやはり目立つのは農業関連、10月の末頃だったか日経紙でも前農相が到底受け入れられなく徹底して戦うと激しく反対の意を表明していたが、それもその筈TPPはこの農水始めとした現業官庁の既得権益が破壊の方向へ向かうのが自然。こういったことが絡む為にマスコミ報道もプロパガンダ的歪曲が一部指摘されるが、結末はどうあれこうした国策絡みの件は利害関係が露骨に浮き彫りになる。


逆さ合併なるか

週明けの本日の日経紙一面を飾っていたのが、「東証・大証 来秋合併」というタイトル。予てよりかれこれ一年近く水面下で模索され折りに触れ当欄でも取り上げてきたが、報じられているところによると上限付のTOBで大証株の過半数を取得、合併新会社を持ち株会社と4子会社に再編という形で合併比率の詰めなどを急いでいる模様だ。

これら報道を受けた当の大証は本日買い気配から反発となっていたが、さすがにこの手の話も数を重ねるごとに当初ほどの関連株反応も鈍くなっている感じがするが、任天堂など大証がマザーのものも再度材料を蒸し返す動きで反発となっていた。

この件を前回8月に触れた際に、株式交換、TOB案、上限付TOB案の三案を挙げたが最終的には一番複雑な最後の案に落ち着いたか。今回は国策が掛かる特殊例とはいえ取引所がこの手の逆さ合併を敢行したことではたして今後一般が似たようなケースを持ってきた場合承認が緩くなるのだろうか?裏上場が緩くなるとまた如何わしいことを考える輩が出てきそうだが先ずは完結が先というところか。

ところで日経紙といえば、あの日立・三菱重工の経営統合と先走ったリーク以来「羹に懲りて膾を吹く」の如くなりを潜めていたが裏が取れたのか久し振りのリークを打ち出してきた。これでまたも前回のようになったらそれこそ萎縮してしまいそうだが、この先には懸案の商品取引所との統合案も控え国内再編は焦眉の急とされているだけに上手く纏まって欲しいところだ。


リーマン型

昨晩の米株式は300ドル近くの急反落となったが、その一因ともなったのが米商品ブローカー大手「MFグローバル」の破綻か。これについては既に先週あたりから身売り話が出て株価も暴落、そろそろカウントダウンとの噂がまん延していたのだが、正式にニューヨーク連邦破産裁判所に米連邦破産法11条を申請、自己資本を大きく上回る身の丈以上の欧州系国債大量保有がトリガーになった模様だ。

さてこの米連邦破産法、日本でいうところの民事再生法というところになるが、今回は「リーマン・ブラザーズ」が破綻したときと同様のケースで、申請後に入札をかけて他へ譲渡というパターンか。ただこの辺はインタラクティブ・ブローカーズの名が挙がっていたものの現時点では不透明。リーマン・ブザラーズ型といえばこのブローカー、その資産規模こそリーマンには敵わないが、それにしてもあの不正会計の「エンロン」や自動車大手「クライスラー」の間くらいに位置し立派?な大型破綻にランクされる。

同社破綻の報で世界各国の関連金融機関はその対応に追われているが、身近なところでは「MF Global FXA証券」が急遽営業休止、建玉の速やかな決済をお願いしているが委託者サイドも今回のように噂になり騒がれていた時間がある程度あった場合など防衛策を早めに取れる行動力は是非身に付けておきたいところ。

一連の欧州危機を引き金としての米金融大手破綻例としては今回のケースが始めてになると思うが、今回は特殊な例としても引続き二番手が出てしまうのかどうかこの辺には注意しておきたいところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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