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使える商品

先週末の海外相場はメタル等全般弱かったものの、本日のTOCOMは金が小甘く緩む一方で、白金はしっかりで推移していた。さて、この白金といえば先週末の日経紙商品面には「白金、3ヶ月ぶり高値」として白金の国際価格が南アのストで騰勢を強めている旨が載っていた。また、最後の方には金と白金が昨年から一頃200ドル強の価格差となっていたものが、上記の通りここ最近の白金の上昇で現状70ドル程度まで縮まっている旨も書かれていた。

PGM系は昔からストラドルなどでよく多用されたものだが、トリプルAの急減やら何やら想定外が頻繁に起こるようになった昨今、アノマリーに期待を抱いての安易なエントリーで股裂きの憂き目に遭った向きも多いのではないかとも思うが、やはり基本的に主要株式指標を良く見ている向きはこのストラドルでも低リスクでそこそこおいしく利を収めているのが見受けられる。

先月も半ば頃の日経紙に「商品、強まる株価連動」と出ていたが、商品先物以外でも米株が12,000ドルの大台に乗って揉み合いのなか尚年初来安値を這い蹲っていたプラチナ系ETF等は国内で然程活況となっていないのが奏功?して暫くは美味しい拾い場を提供してくれていたものだし、例えば主力の自動車株の急激な戻り局面でも金法の売りを睨んでショートで臨む向きも居たと思うが、こんな時でもヘッジでこうしたETF系を使えば思惑違いの担がれ場面でも怪我が少なくて済むというもの。

金融商品の性格が濃くなってきて既に数年のコモディティーでは斯様に取引の多様化もあり格段に使える場面が多くなってきている。もう一つ、プラチナといえば主要非鉄金属を上場している上海先物取引所で、プラチナ先物の年内の取り扱い開始に向けて調査を進めている件も報じられておりこちらの方も併せて注目しておきたいところ。


東穀取の茶番と株主不満

さて、今週業界モノで報道が目立ったところではやはり迷走を極める東京穀物商品取引所の件だろうか?先月あたりから解散を含めた報道が目立つようになったが、もうここ数年散々茶番を見せられてきた側にしてみれば然程驚きもなく、寧ろ同所を取り巻く環境を鑑みれば自然な流れと見る向きは多い。

東穀取といえば毎月8日はコメ先物市場の日ということで、昨日の日経紙には「東京穀物商品取引所はコメ先物市場を通じて、日本の農業を支えていきます。」などと仰々しい広告が出ていたが、その数ページ後の商品欄には「コメ先物 浮上せず」、「東穀取、存続問題に」というタイトルで上場後半年のコメ先物の不振が書かれていた。なんとも絶妙なタイミングで載せてきたものだが、この二つを見た投機家ははてどう感じるだろうか?

昨年秋口には「週間ダイヤモンド」にて東穀取の社長が上場後早々に萎んできたコメ先物市場の言い訳として「〜10月になって限月が6本揃ってからが本番と考えて欲しい〜」としていたが、年も明けた本日の日中取引の出来高はちなみにたったの169枚であった。上場時に目標としていたのは5,000枚というが、今時粉飾企業でもこんな大風呂敷を広げるのは躊躇われるだろうし兎に角すごい感覚である。

ともあれその去就には「あらゆる選択肢を排除しない」としているものの、この日経紙記事の直ぐ下には、東工取と東穀取との間では「まったく接触ない」とも書いてある。この辺はご存知東工取は「日本取引所」にブラ下がるデリバティブ系に統合する路線で歩んでいるが、こんな記事を目にするとイヤでも関西商取が消去法で出てくるワケでこの期に及んでまだ?と呆れる感は増すばかり。皆に期待された大型商品であったが、天下り陣の既得権益の具にされていたとしたらそれこそかわいそうな商品、今後も同所の去就が厳しく注目されることになろう。


覆面介入

本日の日経平均は反発し終値としては昨年10/28以来約3ヶ月ぶりに9,000円台を回復していたが、この辺はやはり本日の円の下落も大きく寄与していた感も。ところで円といえば昨日財務省が詳細を発表した件に2011年10-12月の為替介入があり、「覆面介入」も11月1〜4日の合計で計1兆195億円行っていた事が明らかにされている。

この覆面介入を実施するのは2004年3月以来約7年半ぶりといい、政府関係者は介入効果をより高める為に意図的に覆面介入を行ったとしているが、その後の米財務省半期為替報告書ではユーロ・ドルより円・ドルのボラが低い状況は無秩序と言えず米は斯様な状況下での介入は支持しないと日本の為替介入が厳しく批判されている。

先月には31年ぶりの貿易赤字というのが大ニュースとして報じられていたが、今年も貿易黒字に戻るのは困難で多分来年は今年ほど大きく取り上げられるニュースにはならない筈、一部輸出企業の納税も絡んで選択の余地が無い決断かどうかだが自国通貨売りは云わば諸刃の剣、国と国民の兼ね合いでも介入正当化の均衡点も考えたほうがよいだろうが今の政府にそれは難しいか。


材料内包

先週は周知の通り東証のシステムトラブルがあったが、今週は週明けからSMBC日興証券がシステム障害を起こした。同社から顧客の銀行口座への支払いや顧客から同社への振込みが出来なくなり、投信や外貨建て債券の一部取引で売買注文を取り次げていなかった模様という。

なんともヤレヤレといった感だが、ところで同社が先に発表した連結決算は欧州債務危機や円高の影響で投信販売等が不調となった事もあり純営業収益が前年同期日0.3%減の1,638億円、最終利益は同62%減の91億円の減収減益、これも含めて出揃った大手証券5社は2011年4-12月期は3社が連結赤字となっていた。

そんな中でも野村は7-9期が黒転したとかで株価も久し振りに300円大台回復してきたが、欧州債務危機については引続き予断を許さない状況として昨年公表のコスト削減策を来年9月末までに完了させる方針を示している。同社を巡ってはこの欧州債務危機に絡んで想定超のサプライズがあるとかで実しやかな噂が絶えないが、この辺は国債の絡みもあってその内容は様々。

システムトラブルも困った問題だが、金融系はメガバンクから証券までいろいろな問題を内包しておりまだまだ今後も株価共々目が離せない。


商品と土壌

週末の米雇用統計が好感されての海外株高を受け週明けの日経平均は反発、今週は心理的なフシ目にすぎないものの9,000円の大台に期待する市場関係者も多い。今日は輸出・金融が活況であったが、コア系の盛り上がりで普段はおとなしいETFもジワジワと盛り上がってきている。

ところでこのETF、先週の日経紙夕刊のなるほど投資講座にも「基礎からわかるETF」として商品特性などの説明もなど出ていたが、週初の末尾には「〜市場全体として売買の厚みが乏しい点が課題です。1日の株式売買代金に対するETFの割合は1%程度で、約2割ある米国とは大きな開きがあります。」と書かれていた。

胴元の東証も、海外で取引が活発なレバレッジ型・インバース型指標への連動を目的とするETFの上場を可能にし、市場活性化を通じた国際競争力の維持・向上を図るということでETFの法整備を進めると先に発表しているが、前になかなか根付かないのはこの辺はやはり手数料面という問題から販売側の都合にも起因するというのをコメントした事があったと思う。

他、上場後の個別を暫く見て思うのはアービトラージ機能だろうか?この辺のコミュニティに厚みが出てこないうちは乖離修正も緩慢としたものになり、ある意味ビジネスチャンスに成り得るものも放置されているという矛盾した商品になってしまう。商品はもとよりこうした土壌の部分にも左右されるということも胴元側としては把握しておいたほうがよいだろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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