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復活モノ

さて決算酣といったところだが、前週末に出揃った注目の自動車業界は日産の営業利益がトヨタを上回ったというのが話題になっていた。連結決算の開示開始以来始めての事というがまあ日産の方が海外生産比率が高い点で為替への抵抗力が光ったというところだろうか。

ところでその日産、先の日曜日付け大手紙ではTV東京系番組の広告にてハイブリッドで復活した「シーマ」が取り上げられていた。このシーマに関してはちょうど2年前に「バブル期のノスタルジア」と題してこのシーマが生産終了される旨を書いたことがあったが、当時フラッグシップモデルをチェンジ云々と言っていた割に意外にも早い復活劇である。

そういえばこの時に消え行くバブル期の象徴として一緒に載せていた「ヴェルサーチ」も昨年暮れには有楽町の新生阪急に復活をしている。この世代の娯楽系の復活劇は前からあったが、やはりこの手の消費系を掘り起こしてくる辺り未だ実感はないものの先週書いた高額消費復活の芽はあるのか。


オーバーストア

週末に飛び込んできたニュースのなかでやはり目立ったのは、ビックカメラによるコジマの買収か。今迄も業界内では小粒のM&Aが粛々と行われてきたが、いよいよ本丸へ切り込んだ業界上位同士による再編劇にステージが変わってきた感じだ。

この家電業界に関しては当欄では既に今から4年前に「消費パイ縮小」と題して、「家電量販店も構造的にはいずれオーバーストア、この業種もまた再編が吹き荒れるか。」と末尾にコメントしていたが、あれからテレビを巡る環境やら何やらでこの辺でまた大きなウネリが出て当時のコメントが現実化してきたというところだろう。

再編といえばこんな家電業界と並んで飲料業界もまた最近は騒がしい。サッポロやダイドー、UCC等が相次いで海外戦略を睨んでM&Aを進めているが、つい先週にはアサヒが味の素から1,000億円以上をつぎ込んであのカルピスを買収、3位以下がある意味混戦状態であったがこれでこの業界も再編が吹き荒れるのであろうか?

ところで当のコジマ、本日は66円安と週末のストップ高がウソのような往って来いの急落、希薄化が嫌気されてのものなのは明白だが、それにしても何とも単純というか短絡的な一連の動きである。今回は第3者割当の形を取ったワケだが、これがTOBなんぞであったらこれはまた相場的には展開が可也違っていた筈、直近ではアスクルもヤフーに割当増資し急落するなど株主も買収形態に一喜一憂と振り回されるが、まあ結局企業の都合が最優先されたといったところか。


株価もゲーム化

連休を挟みその後もズルズルと冴えない株式市場であるが、そんな中でも今週特に崩落がキツかったのはやはりSNSセクターだろうか?例の「コンガチャ問題」から今週はソーシャルゲーム界の双璧グリーとディー・エヌ・エーはじめとして関連株が崩落、本日こそ目先の灰汁抜けで自律反発とはなっているものの、両者ストップ安の週明けなんぞはココだけで時価総額が約2,000億円も消えた計算になるからこれは酷い。

消費者庁では問題になっている「コンプリートガチャ」なる仕組みが所謂景品表示法に抵触する可能性があるということであるが、課金システムを巡っては以前より段階的な規制懸念が散々言われて来ただけに、ここまで折に触れ出る悪材料で押してもなお逆に好業績を理由に買いが入ってきた市場の方に意外感があるというのが正直な感想か。

確かにこの手はユーザーをハメる?射幸性やら中毒性の高さが収益のキーとなってくるワケだが、広義ではパチンコなんぞもそうだしそう考えているとこの辺もいろいろと政治力の影がチラつくというものだ。急成長モノの出る杭は打たれるといったところだろうが、お上の規制モノも他を見てみれば医療から投資、食品関係まで果たして誰が見ても整合性のあるものは如何ほどあるだろうか?


高額消費回復

さて、昨日終了となったが三越本店で開催されていた「芸術と自然のふれあい・ガレ&ドーム展」へと今年も足を運んできた。たまに開催される此の展は、著名美術館で展示されるくらいのクラスもたまに出て来るが何れも裏面や底など裸で見ることが出来る割に大々的な宣伝をしていない分、鑑賞客もマバラでゆっくりと見る事が出来るのがいい。

今回比較的目に留まったのが1889年のパリ万国博覧会に出品されていたものと同系の透明クリスタルのトンボ文花瓶、1900年前後の深海文花瓶、それに仏ナンシー派美術館に現在収蔵されている物と同型の花形ランプの台座付きの物等であった。

ところで思えば3年ぐらい前は2,000万円超クラスが幾つか出ていたものだったが、今回の展示はそこそこレアものでも1,000万円程度で熱心なコレクターにとっては全体的に食指が動く?価格設定となっていた。事実ここ数日で上記のうち2点は既に売約済みの札、うちパンフレットの表紙にもなっていた1点は購入した顧客が直ぐに手元に引きたいとの事でその姿は既に無かった。

昨今高額消費が回復傾向にあるという記事を彼方此方で見掛けるが、こうして身近なところでこんな現象を見るにつけこの辺が改めて実感されるものだ。


人材草刈り場

さて、昨日の末尾では政府の無策に絡めて東電やエルピーダ破綻にも少し触れたが、エルピーダといえば本日の日経紙企業面には「ライバル対決、米に軍配」として破綻した同社が米マイクロン・テクノロジーを支援企業に決めた旨が出ていた。

今回の同社の入札劇では一次入札においてホニーキャピタルなる中国系ファンドが参入して来た事で一時はまたも技術流出懸念が囁かれたものだが、結局は元サヤというか元々互いに歩み寄っていたマイクロンに落ち着き一応の安堵感漂うところ。これで技術融合しサムスン追撃ともいわれているが、DRAMに限らずこの韓国勢などこのところ水面下で日本の技術者に引き合い合戦が進行している旨も一部では報じられている。

先にも書いたように直近で発表された日本の家電メーカーの赤は大手三社で2兆円近くにも上るなか、リストラなど雇用環境悪化を受けてその手の素地は十分である。そういえば当欄で2年前に「お家芸の技術力」のタイトルで優秀な技術者が他国の優遇を求めて日本を離れる裏にはその評価というか地位の低さが起因している部分もあるのではないかと書いたことがあった。

企業の事情も絡んでくるので一口にインセンティブの国際標準を考慮するのも難題だが、そうこうしている間にも様々な形で粛々と技術力が狙われている。何処かで歯止めが掛かる流れに変わるのかどうかその行方を見守りたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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