近くなったようで未だ遠い?
周知の通り今月から東京と上海の両市場で円と人民元の直接交換取引が始まっている。まあIPOじゃないが注目の初値は1元=12.33円、初日の取引金額は100億円程度だった模様で、上海市場でも合計10行が参加しそこそこ裁定も利いて両市場の相場に大きな開きは生じていない模様という。
ドルをフィルターにしていたものからこの枠組みが順調に発展すれば、日中間貿易などに携わる企業は為替取引にかかるコストを減らし、銀行などは決済リスクを押える効果を期待でき、観光事業を取っても近年中国からの顧客誘致が急拡大しているおり両者の交換コスト抑制効果や、また業界ではFXにおける取引拡大思惑など等取り急ぎ各関係者の期待が先行し膨らんでいるのが現状。
ただ相手が中国だけにこの人民元取引でも当初様々な規制が伴う見通しの上、当面リクイディティーの問題等から円との直接交換がどれほど膨らむかは未知数というところだろう。事実、ソニーなどは今後もドル建て取引から直接取引する計画は無いと表明しており、この辺は国内の商品取引所でメジャー商品が新規上場しても商慣習の絡みから当業者の参加が乏しく実質的に上場廃止になってしまった構図等もふと頭に浮かぶ。
中国政府が人民元との直接交換を認めたのは主要通貨では米ドルに次いで円が2番目というが、ドルといえば前にも書いたが金準備などと絡めて人民元が国際通貨たる地位を固める思惑の対で今回の措置も米がどう捉えているのかその反応もまた気になるところでもある。