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ほこ×たて効果

本日の日経紙財務面・新興のところには、竹内製作所の2012年3〜5月期連結決算で経常利益が前年同期比3倍にもなった旨が出ていた。まあ、個別企業の業績記事なんぞは普通飛ばしてしまうのが常だが、この竹内製作所は5月にフジテレビの「ほこ×たて」で三菱農機と「ぬかるみ重機No.1決定戦」をやったのが記憶にありつい目が留まってしまった。

この番組、当欄でも昨年末にウォーレン・バフェット氏の投資先企業を番組が対戦させた話をコメントした事があったが、今年も他にあのスプーン曲げで有名な超能力者といわれるユリ・ゲラー氏が曲げることが出来なかった製品には全国から注文が殺到し、同番組で連勝を重ねて負け知らずの好成績を残している東証二部の日本タングステンには新卒採用の応募者が前年の1.5倍に急増するなど彼方此方で其れなりの反響が出ている。

また登場した上場企業の株価動向もなかなか面白い。直近では上記の竹内製作所は番組での勝負には敗北したものの、ジャスダック上場の株価の方は放映後の翌日から既に20%以上上昇しており、今の冴えない市場環境を考えれば充分な投資成果であろう。この手のパターンでは東証一部の酒井重工業も同様、同社は「どんなものでも踏み潰すローラVS絶対に潰れないポール」なる同番組の対決で残念ながら敗北したものの、その株価は放映後の翌日168円から5月には363円まで急騰し株価は2倍以上に化けている。

裏付けありか新しいアノマリーかというところだが、そんな一面も併せて見るのもそれはそれでまた面白いものだ。


フレンチに中華

本日も日経平均は方向感を欠く展開で4日続落となっていたが、そんななかで先週末から急に動意付き、昨日は揃ってストップ高まで買われていたのが精養軒、東天紅のレストラン株。本日も両者勢いを継続させ前場は年初来高値更新となったものの、そこから後場は急反落と乱高下でまさにジェットコースター相場となっている。

ご存知の通り両者共に本拠地を上野に据えたレストランということで、精養軒等は既に「祝!!赤ちゃんパンダ誕生」なる特別メニューも登場させている通り、先のパンダ出産で連想ゲームの如く一気に火がついた格好。たしかに出産した「シンシン」来園後の一般公開時にはパンダフィーバーとなり、中華の東天紅が人気を集めた経緯があったが、今回はさしずめフレンチが火付け役となったというところか。

しかし当初は無反応だった東天紅まで波及するとはやはりヤルものが無いのだろう。上記の通りこの手の仕手系は後場には萎んで打ち上げ花火になってしまったが、この商い薄いなかこれ以降の物色対象は如何に。野村HDやネット系証券でも直近下げがキツくなってきているものがあるが、この辺の手詰まりを象徴している感は否めない。


LIBORはケタ違い

金融スキャンダルといえば国内では目下のところファイナンスに絡んだインサイダー問題でお茶を濁しているが、直近で世界を舞台にした問題になっているのが周知の通り国際的な短期金利市場であるLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の不正操作問題で、既に自行に有利になるよう金利を導いたとして英銀バークレイズが罰金支払いと経営陣辞任に追い込まれている。

しかしこれだけ幅広い指標だけにこのLIBORを使った金融取引の額が5京円を越えるというから凄い。京という数字は余程のネタでない限りなかなかお目にかかれないような単位だが、そんな規模の取引が一連の不正で歪められていたとしたらやはり問題であろう。が、これもまた以前より不正懸念が報じられていたにも関わらず漸く今になってというのもまた問題か。

これにはFSAの金融機関に対する従前の緩い姿勢が踏襲出来なくなってきたという噂も関係者の間には出ており率先して手を挙げたバークレイズなんぞがこのせいで逆に災いしたという意見も一部にはあるが、国内のAIJの年金詐欺然りファイナンスのインサイダー疑惑然りで、誰が見てもおかしいと感じる報道から当局が腰を上げるポイントは何処にあるのだろう?

ここへきて週末にはドイツの金融監督当局もこの不正問題を巡り、同国銀行最大手のドイツ銀に対する調査を開始したと報じているが、インサイダー問題のように芋づる式に出てくるのかどうか聞き取り対象行は邦銀も入っているだけに今後もその成り行きに注目したいところ。


脆いチャイニーズウォール

さて今週も国内の証券会社、こと大手においては社内調査が酣である。周知の通り野村は増資インサイダー問題、大和も同様に蜜月のジャパン・アドバイザリー社が証券取引等監視委員会から金融庁に課徴金を課すように勧告された問題、そして日興ではメガバンクの公募増資に絡んでの問題の他に直近ではまた新たにTOB情報の流出問題も発覚してしまっている。

増資銘柄のカラ売りにTOB銘柄の買いと、まさに「インサイダー天国日本」の名に恥じぬ?売り買い縦横無尽のヤリタイ放題であるが、目標達成には手段を選ばずというのは証券でなくとも金融系営業の根幹を成す精神。昔懐かしい仕切り、二階建、露骨な餡子玉等は表面上姿を消しても、一部顧客へのこの手の餡子的営業は脈々と受け継がれていたということだろう。

ところでこの餡子玉といえば直近の日興のTOB情報漏洩のケースなんぞは、オイシイ情報を目の前にして自分では張らず、以前に迷惑をかけたとされる顧客への確実に取れる情報提供であったワケでインサイダー取引というより実質は損失補填の色彩が強いと感じる。この辺は裁く側がどう結論付けるかで変わってくるが、今後もどうせ魔女狩り的に出てくるだろうから夫々の判断がまた興味深い。

しかし、今回の件で個別では機関投資家営業部廃止やら果ては録音機能付きの携帯電話を貸与云々といろいろ発表しているが、こんなのは大義名分でこれまでにもコンプライアンス論を語った文書の読み回し等の定期行事を各社で行っているのと変わらないのである。結論から言えば証拠残しの地道な作業とも言え、この手の不祥事は結として個人の問題で処理されるのが常、そういったことから真の意味での浄化作用を望むほうが現状では難しいのである。


モラルハザードと境界線

本日報道されていたもので目に留まったものにあの低価格レストランのサイゼリアが、2007年と08年に結んだデリバティブ取引の契約で損失が出たことで、BNPパリバ証券など同証券グループ3社を相手取り計168億円の損害賠償請求訴訟を東京地裁に起こした件があった。

今も記憶に新しいが当時同社は業績絶好調を誇っていただけにこの報道で急落したところはとても美味しい買い場になったのを思い出すが、こんな大手でなくとも食品会社では直近ではエビフライで有名だった神戸のエスケー食品が同様の為替デリバティブ取引によって先月に破綻するなど依然としてデリバティブ被害?が継続している。

さてこのBNPパリバといえば業界では別の意味で有名、悪名高きEB債に絡んで三菱電機の株価操作をやってのけたり、近年記憶に新しいのはこのサイゼリアとほぼ同時期にやったあのアーバンコーポレーションの詐欺的なCB発行契約だろうか?なかば隠蔽工作でディスクロされていないこの取引を信じ、当時は証券マンのなかでも手張りでアーバンコーポを買った向きも居たようだったが後出しジャンケンのパリバの仕業であえなく紙屑と化した。

しかしこの手のデリバティブ契約、便利そうに見えてもちょっとよく見てみれば素人でも相当リスキーな取引であるのは解る筈。相手がパリバだけに同情票も多いだろうが、外部に意見を求める手もあっただろうしモラルハザードの観点からこれをもって100%パリバに責を求めるのも筋違いだろうともまた思う。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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