復古気運
神無月もあと一週間で終わるが、今月は周知の通りJR東京駅丸の内側の赤レンガ駅舎が約5年間の修復工事を終えて前面開業の運びとなり特徴的な南北のドーム型屋根を備えた重厚な外観が復活、約100年前の創建当時の姿が忠実に蘇った。既にホテルや物販店の出だしも好調、近隣商業施設も相乗効果で賑わい早くも都内有数の観光スポットとしての存在感を高めている。
ところでこの手の復元駅といえば、浅草駅も最近約80年前のネオ・ルネサンス様式のレトロ調にリニューアルさせたばかりだが、他にも明治時代に造られた旧万世橋駅遺構の再整備等もこの手の部類で、何時だったか日経紙「春秋」で開業当初のレトロな建物をもう一度表舞台に立たせたいとの思いから、当初の形を復元した逆コース型の階層が各地で増えている旨が書かれていたのを思い出した。
この東京駅近くの三菱一号館などもやはりそのパターンだが三菱といえば、日本橋郵便局に隣接する三菱倉庫本社ビルも解体からリニューアル真っ只中である。同建物は表現派風建築の代表的作品として東京都選定歴史的建造物の選定を受けていた物だったが、何でも老朽化で高層ビルに建て直すとか?何とか此処も上手くかつてのイメージを残せないものだろうかと淡い期待を抱くところ。
しかしこの界隈もこの手のレトロな建物が多く、例えばこの三菱倉庫と同時期の物にはこの三菱の通称「客船ビル」に対して野村證券の通称「軍艦ビル」なる同社本店ビルも近所にある。これも一寸見ない間に取り壊しが決定等という可能性が全く無いとも限らないワケだが上記の「春秋」で謳ってあったような流れが続くことを望みたいものだ。