変り種多数
あっという間に今月ももう終わりであるが、今月は毎年恒例の「池坊展」を観てきた。この皐月の展ではエントランスから「ジャパニーズモダン」、「アジアン」、「ヨーロピアン」と構成され「悠久の流れ」を経て家元の大作へと進んでゆくのだが、初夏ならではの花が多用され今回もまたいいひと時を過ごせた。
先生方のは相変わらず藤に擬宝珠、無花果に白覇王樹など絶妙な組合せが光り、また所謂釣り花、横掛け、向掛け等の作品も空間の美しさを感じたが、「私のとっておき」では飲料のボトルに一輪挿した花をフィルムで包んだ作品や、アジア民芸品を取り入れた作品など若手も縦横無尽な発想が光る物が多く見られ、またここでは各々の色へ対するこだわりも強く現れていて新鮮であった。
しかし毎度思うのだが、やはり使っている花々は貴重なマスデバリア等からアンスリウムや蘭などまでどの花一つ取っても普通のフラワーショップでは見たこともないような珍しい種を多く見ることが出来るあたり、なんとも懐の深さを感じた展であった。