生き残る選択肢

先週末に入ってきた報に東レが炭素繊維で世界第3位の米ゾルディックを買収とのニュースがあった。これによって東レの世界シェアは現在の2割から3割に上昇、成長市場で圧倒的な競争力を確保することになるが、圧倒的な世界シェアといえば同じく先週に米アプライドとの経営統合を発表した東京エレクトロンもこれで半導体製造装置では圧倒的首位に立つことになる。

何れも国籍の異なる企業の結婚?ということになるが、こうした国際結婚も後者のように規模が上回るものの持ち株会社にぶら下がる形で対等関係を強調する例が目新しいところか。業種はこれら以外でも工作機械大手の森精機と独ギルデなど他にも及び、もともと高い競争力を誇っていたものでも国境を越えた再編が粛々と進行している背景にはグローバル競争のなかで生き残る選択肢としての一つというのが見え隠れする。

上記のように東京エレクトロンなど2007年に解禁となった三角合併という手法を取ったが、この辺は日本の会社法の都合によるところが大きく国際間ではこの辺が未だ課題となろうが、何れにしてもグローバル化を進める企業群に取ってこれらの行方も試金石になるだけに今後これらが注目されるところ。


BUY MY ABENOMICS!

さて、今週は日経紙クローズアップに「日本株投信アベノミクスで好調」として、昨年11月に始まったアベノミクス相場で最も運用成績を伸ばした日本株投信はどれかということで今月中旬までの基準価格上昇率ランキングが載っていた。

これらを見てみると今年の4月にも当欄で取り上げたモルガンの「ザ・ジャパン」やそれら関連ファンドがやはり顔を出している。前述したが種玉の吸い上げが完了した仕手系に分類されそうな異色?の銘柄群を組み入れるユニークさ有り、長期投資を嘲笑うかのような機動的売買に特化したもの有りとやはり個性派が揃った格好だ。

加えてIPOモノの錚々の組み入れなど従来はあまり見られなかった物も出てきたのが印象的であったがやはり地合いこそ最大の貢献者、アベノミクス相場無くしてこれらのパフォーマンスが実現出来なかったのは想像に難くないが後半は第二幕があるや否やその辺もまた注目されるところ。

アベノミクスといえば昨日はNY証取で安倍首相の講演があったが、世界経済回復のためには三語で十分と言って会場を沸かせていた。しかし、巷で頻繁に使われてはいたものの首相自身がこの言葉を使ったのは初めて見た。それは兎も角も日本がもう一度もうかる国になる「JAPAN IS BACK」 とし、投資するなら今だとしていたのも印象的であったが、さすがにその辺のセールスマンより遥かに弁が立つのはいうまでもない。


ミリ秒の疑惑

本日の日経紙マーケット面には「金、上昇阻む2つの壁」として、米量的金融緩和策の出口に対する不透明感と、新興国需要の陰りという2つの壁によって金相場の上値が押えられている旨が載っていた。

FOMCで緩和縮小見送りを決めた翌日には急伸したものの、すぐさま来月の開始観測が台頭しあと往って来いの急落という動きをしたが、この辺はDOWもまた先行して同様の動きとなっていた。そういえばこの初動においてミリ秒単位の情報漏洩疑惑が一部で出ていたが、まあこの辺はそうした事実があっても不思議ではないだろう。

斯様に近年の金融マーケットはHFTの台頭からこの手の経済指標と絡めた売買も一頃とはまったく違う構図になってしまったが、何れにせよ来月はそういったことで量的金融緩和縮小問題や、また中旬には米連邦債務上限引き上げ問題の期限が迫るなど思惑に事欠かないワケでこの辺は暫く目が離せそうに無い。


REITへの波及

さて、2020年の東京五輪開催決定で株式市場ではその関連銘柄が乱舞し漸く一寸一服という具合になったが、REIT市場もその関連地域のオフィスビルに特化している物や稼働率改善期待からホテル系にも波及し、加えて直近ではFOMCで量的緩和政策縮小が見送られたことによる長期金利低下も寄与しこちらも先週は4ヶ月ぶりの高値水準まで回復してきている。

市況の上向き期待も勿論ながら、確かに三菱が仕切る大手町など大規模ビルの建て替え計画が粛々と進行し、直近でREITを上場させた星野リゾート等の異色?の存在も進出予定となっているなど国際都市として新たな変貌を遂げようとしているところがポイントになっている。

とはいえ個別モノはPERベースでみればカラを誘い易い水準まで既に来ておりその辺の需給を上手くテコに出来るかどうかというところが今後はポイントになってこようが、REITの場合分配金利回りが下に控えている分支えになりこの辺がまたはこう色になってくる構図になるか。


懲りない

本日の日経平均はFOMCでの金融緩和縮小見送りを受けた米株高を受けて大幅続伸、個別ではリニア高速鉄道停車駅決定を受け着工期待からこの関連が値上がり上位に顔を出す中、この米金融緩和継続による金相場の出直り期待から別子こと住友鉱もこれに交じって久し振りの急伸を見せていた。

ところで金といえば、先週末には千葉で金無垢の浴槽を売りにしていた某ホテルでこの浴槽の一部が切り取られ金が盗まれた事件の報があった。これを聞いたときにすぐに思い出したのだが、ここは数年前にも系列のホテルでこれが浴槽ごと盗まれる事件を起こしておりこれで二度目である。

この浴槽、田中貴金属工業製で金の部分が50kgというが、こんな代物を常時目の届かないところに設置できるのも平和な日本ならではか。辛うじて過去の経緯から出入り口には防犯カメラを設置していたというが、まさにお騒がせである。とはいえ初競りでマグロに1億以上も投入した某社の宣伝効果よろしく、其れなりに懲りないなという表面上の問題だけでは片付けられない背景があるとするのは些か邪推だろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2013

9

1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30