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いろいろな事情

本日の日経平均は円高進行で急反落となったが、そんな中でもストップ高まであと一歩に迫る勢いと逆行高していたのがネットオークション等の分析サービスを行うオークファン。先の分割後からはや株価倍増に迫る勢いの急騰を見せているが、オークション関連上場企業といえば先月末にシンワアートオークションが東京国税局の税務調査を受け、2011年5月期までの3年間に約4,000万円の所得隠しを指摘されていたことが発覚した件があった。

この一件、オークションで出品者の名前を他人名義で出品するなどして名義を伏せる見返りに別口の手数料を得ていたものを申告しなかったというものだが、この手の商慣習?は氷山の一角で美術品市場では日常茶飯事であると聞いたことがある。

考えてみればそもそも代々受け継がれてきた美術品の類にご丁寧に領収書も添付してあるケースなどは稀であろうし、出品者もいちいち表舞台に出るのを嫌がるパターンが殆どである。著名な美術展でもよく個人蔵というプレートを見かけるがオークションの裏には魑魅魍魎の背景が隠れる。


怪しさ満載の初期対応

さて半沢直樹が大ヒットとなった中、みずほ銀が不適切な融資を解消していなかった問題が燻り、直近では監督責任を追及し親会社の株主が歴代経営陣に賠償請求を求めるとの件もあった。この一連の問題で株主が経営陣責任を追及するのは初ということだが、何れにせよ大規模システム障害然りなかなか教訓が生かされない企業である。

前回もそうであったが誰が見ても不自然なのはその対応か。会見の度にその内容が前回を覆すように二転三転しとても信用業務を生業としている企業対応には見えないが、これを見ていてオリンパスの粉飾問題が明るみになった時の光景を思い出した。

そういう目線で見ると最近では他にもカネボウの化粧品問題、ソフトバンクモバイルの信用情報誤登録、中国産米問題が発覚したイオンのIRなどその初期対応には他の話題を立て話題を逸らしたい様子が満載で違和感を感じるが、各々その処理が容易ではない内容の問題というのは想像に難くない。

こんな体制では上記のみずほ含め利用者や株主の不安もより募ろうというものだが、当の株価は不祥事発覚後でカラを売っても薄利、こういったヤレヤレのカバーもあってか短期で回復を見せる旨みのない存在だがこれはこれで今の地合いなのかもしれない。


実る果実

本日の株式市場は本格化する決算期待から反発となったが、そんな中で序盤では寄付きから急騰し年初来高値を更新したジャフコが一際目立っていた。これは週末に発表した9月中間期連結決算で売り上げが前年同期比2.9倍の157億円、最終利益が7倍の55億円というサプライズ決算によるもので、やはりIPO活況が追い風になったのは想像に難くない。

いまだ折に触れ物色されているリプロセルなどその初値は公開価格の6倍近くになるなど大きく寄与しているが、この4-9月期には国内だけで4社がIPOを実施、これらの売却益が既に3月期のそれを越えているというからこの決算も合点が行くというもの。

しかし当欄でもIPO初値の好パフォーマンスについては度々振れてきたが、直近のエナリスも2日目にして公開価格2.6倍でやっと成立し本日も2日連続ストップ高から株価は既に7.8倍にまで大化けする好発進、これで昨年末からの通算で35社が連続で初値が公開価格越えとなり潤った資金の循環から新興市場の売買が急増するという上手い具合に回転が利いている状態。

このままの勢いを継いで2006年以来の39社連続を塗り替えることになるかどうかだが、これら個人の懐を潤す効用は勿論大きいものの、底上げ効果で影に埋もれていた成長企業群等の新陳代謝が促されるなどしてくれば資本市場も一段と機能しその相乗効果もまた大きい。


PB下克上

昨日の日経紙企業面には「高品質PB集客の目玉」として小売各社が好採算の品質、価格が高めのPB集品を増やし集客の目玉にする動きが広がっている旨が載っていた。斯様に従来低価格を武器にしてきた業態の一部高価格帯への進出が最近目立っているが、この辺はつい昨日も吉野家の一部高価格牛丼の提供について書いたばかり。

またこのPBについても今月上旬にネスレを取り上げた際の末尾で、「最近ではこのPBもセブンゴールドの「金の食パン」が大ヒットし大手の追随を喚起する等なかなか面白い構図になってきている〜」と書いたが、この時に書いたイオンのPBが大手ネスレの主力製品を模倣する等が通常の光景なら、昨今の動きはまさに大手がPBを真似るというこれの真逆の現象が起きているところが面白い。

ナショナルブランドながら低価格競争が足を引っ張る一方で消費者ニーズを汲んだPBの下克上現象が起き、これに他社が喚起されるというこれまでの通例が崩れる構図は食の新たなパラダイムシフトか。思えば今迄こうしたものが無かったのが不思議な感もするが、胡坐をかいている大手はほんとうにうかうかしていられない環境になってきた。ブランド下克上は今後の消費構図をどう変えてゆくのか、まだまだ目が離せない。


これも具現化

本日吉野家の前を通った際にふと思い出したのだが、先週末にはこの吉野家が永田町に店舗を新規出店している。出店自体は珍しくないがココには特別メニューとして1,200円の「牛重」が登場し、初日の昼過ぎにははや完売御礼となった模様だ。

この辺は今年の夏にマックがプチ贅沢路線を打ち出したのを取り上げた際の当欄で「同じファストフードの他業態では値下げ競争が激化して久しい牛丼があるが、これは専門を謳っている見せも少なくこうしたところこそブランドが浸透しているところは高価格帯のプチ贅沢路線は選択の一つと思うが〜」と書いた事があったが、これまた当時書いていた事が具現化した格好である。

この吉野家、既に高級路線の店舗はかつて赤坂に出していた時期があり、実際は今回が初めてではない。此処には私も行ったことがあるが今回のロケーションも国会と一般向けではないにしろ永田町とこれまた赤坂地区、アンテナの意味合いがあるや否や今後の戦略が興味深いところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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