新ベンチマーク

さて、今週は先に東証が上場初承認となった野村アセットの「NEXTFUNDS JPX日経インデックス400」と、日興アセットの「上場インデックスファンドJPX日経インデックス400」の二本が上場している。日経紙等でもこのETFの広告を見かけたが、周知の通りこれら新指数であるJPX日経400に連動するタイプのETFである。

前にも書いたように、この指数の特徴はROEを重視したものであり、かねてより海外企業のそれが20%前後であるのに対し日本はせいぜいその四分の一程度に甘んじていたのが現状。斯様に「資本の効率性」が大きく見劣りするといわれてきた日本企業だが、この手の指数新設から枝葉が増えてくれば企業側にもそれらを意識したよい緊張感が出てこよう。

ETFでは来月に三菱UFJ投信のMAXISシリーズもこれらに続いて上場予定となっているが、これらに先駆けてこのJPX日経400に値動きが連動する企業年金向けファンドの販売も相次いでおり、従来のTOPIX連動型一辺倒の株式ファンドから新しいベンチマークの一つとして資金分散も徐々に促進されることになろうか。


政府の匙加減

本日の日経紙金融人には「コメ先物テコに大阪復活」と題して大阪堂島商品取引所理事長のコメントが載っていた。コメ先物といえば関係者はご存知の通り昨年8月に農水省が試験上場の2年間延長を決めている。というワケで試験期間はあと1年半だが、春には更なる振興策を打ち出すなどして本上場を目指すという。

政府は5年後の減反廃止を決め輸出拡大を目指すが、この減反廃止で価格形成を需給に任せれば農家が変動リスクを回避する場としての先物市場が必要になってくる旨を同紙の商品欄で兼松の執行役員もコメントしている。日本の農家には先物を投機とみなす風潮があるとも述べていたが、JA会長はマネーゲームとまで言っており立場違えば見解相違という典型だろう。

ここではジャスダックに上場している木徳神糧の取締役もコメントを出していたが、市場に関してはやはりJA等の不参加がネックになっており前出の兼松執行役員も指標としては規模が小さく需給を反映した価格形成になっているとは言い難いとしている。最終的な取引所構想含めて総括的に考えるならばこの辺へ政府がどれだけアクションをおこすかが試金石になろうか。


言うは易し行うは難し

本日の日経紙社説では「電力先物が機能する環境を」と題して、電力の地域独占問題や担い手としての取引所の経営問題等にも言及していた。以前にも当欄で触れたように政府は特異な形態の商品に対する価格指標を設ける事を狙い、価格変動リスクヘッジの必要性からこの電力や世界初というLNGの先物市場創設を計画している。

世界初という鳴り物入りの商品はこれまでに試みたことがあったが、現況ではこれらは一つ残らず上場廃止(休止)の憂き目に遭っている。この手の世界初という商品でなくとも他に取引実績のあるモノでも取引が軌道に乗らずヒッソリと姿を消してゆくものもあり、商慣習云々のひと括りではないような根本的な問題も根底にある。

この社説の最後には「国内外から幅広い参加者を集めるためには東商取が経営を立て直し、企業や投資家の信頼を回復することが求められる。」と記してあるが言うは易し行うは難し、板ばさみの構造的問題もありまだまだ紆余曲折か。


納税利回り?

本日の日経紙エコノフォーカスには「ふるさと納税 特産品目当て?」として、生まれ故郷や応援したい地方自治体に寄付することで寄付した自治体からお礼に特産品がもらえ、住民税と所得税も応分差し引かれる「ふるさと納税」が人気になっている旨が載っていた。

この「ふるさと納税」、スタートしてから5年以上が経過するが本来の目的は都市に集まる税収の地方再配分。ところがあの東日本大震災の時に義捐金扱いの寄付が殺到、大口寄付者が在住する自治体の一部では多額の還付金が持ち出しが話題になったという想定外の事例もあった。

しかし昨今は殆どが題字の通り特産品目当てなのは明らかだろう。なにせ50%を越える利回り?がゴロゴロしているワケだからこれに群がらない理由がない。同紙には受け取る金額が多い5県が出ていたが、1位の鳥取県などその下の特産品例に出ていた干物詰め合わせ以外にも松葉ガニ等の高級品までラインナップし多数の集客?を誇っている。

こんな特産品のハードルが緩いことによる小口の多さから果たしてというか税収格差効果はいまひとつというが、企業で株主優待と併せ魅力的な利回りで台頭するものの中には一方で財務に疑問符が付き値下がりリスクと常に隣り合わせなのが普通なのに対し、こちらはリスクの観点でも比べ物にならないくらいなだけにまだまだ「ふるさと熱」は続きそうな気配である。


今年も熱いIPO

昨日の日経紙マーケット面には、「新興株、個人の売買活況」として日経ジャスダック平均が連日で昨年来高値をつけ、東証マザーズ指数も高値圏で推移している旨が載っていたが、これを裏付けるかのように昨日の全市場値上がり率ランキングベストテンには軽そうなモノがズラリと並び、この10傑のうちジャスダックが5銘柄、マザーズが3銘柄の計8銘柄を果たしてというか新興市場が占めていた。

中には売買代金でも時価総額が数十倍以上の物と遜色無い金額を弾き出しているモノもあるから嫌でも目立つが、決算本格化を控えて主力へは模様眺め気分が強くなるなか比較的小額資金で動くこの手の新興市場にホットマネーが流入している構図か。

この手の小型は回転も早いが循環も早いのでやはり個人には非常に魅力的である。これらのなかには直近IPOモノも多く含まれるが、IPOといえば昨年は好地合いにも恵まれ54社が新規上場、一昨年末から続く「初値形成の負けなし記録」も実に55社目で途絶えるまで連勝が続きこれが更に現況のマネー流入を加速させたといっても過言ではない。

これらの資金調達額も4,000億円近くにもなるなど7年ぶりの高水準となったが、今年のIPOは昨年より更に増えるとの試算も出ている。既に話題となっているものにはリクルートやジャパンディスプレイ、そしてあのLINEなどあるが縦横無尽のホットマネーと共に今年のIPOも熱い相場展開になるのは想像に難くない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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