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次の視点

さて、先週末の日経紙には「自社株買い、規模が拡大」と題して、2014年の1社あたり平均金額(取得枠ベース)は約90億円と昨年より8割増えて、06年の水準を抜いて過去最高になるなど主要企業中心に上場企業の自社株買い規模が拡大している旨が載っていた。

増配に自社株買いを組み合せた株主配分強化がこの1年の株高の原動力にもなっているとも書いているが、このパターンは直近ではキャノンがまさにそれと思い浮かぶ。先週末に3期ぶりの増配を発表したが、此処は自社株買いも発行済み株式数の2割に迫る勢いの2億株以上をかれこれ実施済みである。

かつて自社株買いといえば同紙にも書いてあるように株価を下支えする狙いも多かったが、昨今のROEブーム?もあって初の自社株買いを実施する企業も出てきた上に買い入れた自社株を対価としてのM&A等も視野に入れた積極策が取れる前向きなものもあるなどここ数年で変遷しつつある。

しかし冒頭の通り数多くの企業に紛れ、上記のキャノンも増配かと普通に流しそうなものだが実に此処は26年間もの間増配を続けており、株主優待に目を移せばその実施率も今秋は上場企業の3割を超えて過去最高更新という報もある。NISAも絡め長期保有を促すIRも活発化しつつある。


所有権は何処に

今週の産経紙にて先月に韓国の窃盗団によって対馬の仏像が盗まれた件を取り上げた記事を見かけたが、同じ対馬の仏像の盗難といえば2012年この対馬市から盗まれた仏像2体が盗まれ湖南国に持ち込まれた件で、韓国政府が管理している仏像の返還を改めて直近でも文部科学相が韓国文化体育観光相に要請している。

それに対して韓国側はで韓国から日本に持ち出された文化財も議論する機関の設置提案という驚きの論点すり替えの返事であったというが、これで思い出すのが2009年2月にクリスティーズがパリで競売にかけた中国清朝の離宮「円明園」から英仏連合軍に略奪されたとの噂話もあった十二支像のうちのウサギとネズミのブロンズ像を落札した中国人が「中国人としての責任を果たしただけで金を払うつもりはない」とした件を思い出す。

もともとこのオークションに出されたものは中国に所有権があるとして競売差し止め請求していたものが受け入れられなかった経緯があるといい、この件では中国外務省も「中国に所有権があるのは間違いない」として返還を要求している。過去にはサル・ウシなどの像を中国系企業が落札して中国に戻した経緯があったが、このパリでの競売は金は払わんという事で話題に。

こうした文化財や美術品に関しては締結された条約も含め、まずそれら対象物がわたった経緯が正当な商取引によるものかそうでないものかという背景で大きく変わってくると思うのだが、まあ其々いろいろと国民のカラーが出るものと改めて感じさせられる。


値下げ競争から一転

本日の日経紙には「吉野家、牛丼値上げ」と題して昨日吉野家ホールディングスが牛丼など25商品を17日から値上げすると発表した旨が出ていた。ここ近年の原材料高騰に円安の追い打ちもあって値上げ自体は前から喧伝されていたが、果たしてというかその上げ幅は約3割にもなった。

ここ数年は衣類、靴、家具などと並んでこの牛丼もまさに値下げ競争の中心的役割?を果たしていたものだが、業界の盟主が値上げの先鞭をつけたことで外食系は他社も追随の動きと今度は真逆の値上げ競争の様相になる可能性も出てきた。

そういえば昨年の6月にこの牛丼を取り上げた際のタイトルは、「デフレでは勝ち組も」であった。長年にわたるデフレ蔓延のなかでこれら確固たるものを築いてきたが、家具のニトリなどいち早くオンライン通販事業を上手く強化しこの円安進行下でも上半期の売り上げは予想外?な好調となっており、旧デフレ勝ち組は今後政策の変化にどれだけ柔軟に対応できるかが焦点となってこようか。


FXよりFX株?

本日の日経平均は円の強含みもあって漸くというか8営業日ぶりに反落となったが、そんな中でも商いを集め急騰していたのは主力の一部以外の新興市場や二部などで挙って値上がり率ランキングに顔を出している。なかでもジャスダックには昨日に続いての連続ストップ高が目立ったがトレイダーズHDもその一つ。

同社はちょうど本日の日経紙投資情報面でも「FX関連株の上昇目立つ」としてマネーパートナーズGやマネースクエアHDと共に取り上げられていたが、このところの急ピッチの円安進行でFX取引量が膨らみ売買手数料が増加するとの期待が高まったとの事である。

ところで同じ金融株で野村や大和などの大手証券株も昨日までジワジワと戻り高値を演じてきている。本日の日経紙一面を飾っていたものには「NISA上限120万円に」とNISA絡みの記事であったが、このNISA元年である今年の枠は25日までに約定する必要があることで駆け込みの手数料増を期待した買いも支えという。

とはいえ日経平均の年初来高値にリンクするワケでもなく、いまだ1月高値を抜くことが適ってはいない。FX関連株は中小型という特性である程度商いを集めればこれが適うものの、いずれも思惑先行を指摘する向きも居りこの辺の回転が続くかどうか個人のホットマネーの行方が注目される。


作った奴が儲かる

さて先週末に入ってきた報に、証券取引等監視委員会が日東電工株を相場操縦したとして、香港の資産運用会社アイレオン・アセットマネジメントに課徴金納付命令を出すよう金融庁に正式勧告した旨があった。確か同アセットは某中堅で自己のトレーダーだった人物が仲間と立ち上げたと記憶するが、4年弱で80%を回すなどなかなかのパフォーマンスと報じられていたのも思い出す。

ところでこれは昨年9月に起きた事件?だが、この時の引け間際の暴騰劇はこの日一番の話題になっておりいまでも鮮明に思い出される。なにせ新興市場なら兎も角も東証一部の225種採用銘柄が、引けの1分そこそこというかほんの数十秒の間に1,000円近く暴騰した相場はこれまで見た事が無くけっこう衝撃であった。

果たして翌日26日は売り気配からスタートし寄付が750円安!この事情を知っている向きなら、先ず買いで取りストップ高で途転カラ売りと引けと寄付きだけのわずか数十分の間で往復タダ貰いの利益を得ることが出来たワケで、こんな芸当が出来るアルゴの恐ろしさと共にこれで証券取引等監視委員会のお咎めも何もなかったら不正天国だなとも思ったりしたものだが、果たしてというか忘れた頃にこんな形で表面化したか。

これと同じ手口?では過去に日興ソロモン・スミス・バーニーが某大手損保と結んだETFの設定を行った際に不正を働き行政処分を受けた経緯があり、以後証券会社も引け値保障を受けるのを避ける向きが大半であったものだが、アレンジャー系は魑魅魍魎、EB債では末端の個人がやられたが同じ金融畑でファンドに拠出している最終投資家も引け値保障でこんな仕打ちに。今回の課徴金は約4.3億円とされているが売買益は100億円以上とか、やはり金融界は狐と狸、魑魅魍魎である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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