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奇特な投資家

さて今週の日経紙企業面では「スカイマーク遠い再浮上」と題し、同社が破たん後の支援に名乗りをあげた企業との本格交渉に入った旨の記事を目にした。とはいえ候補企業や債権者等の思惑が複雑に絡み合い、その決定は当初目標とした2月から大幅にずれ込み今月いっぱいまでかかる模様という。

ココが破綻し株式市場からその姿を消してから早いものでそろそろ2週間が経つが、それにしても今回驚きだったのは最終売買日の終値が14円と異例の二桁であったことか?同じ航空会社の破綻と言えばJALの時もまさかの衝撃であったが、当然ながら同社も最後は1円になるなど通常はほぼ100%の減資で現存株式は無価値になるのが普通で最終売買日にして寄り付きの20円台は理解に苦しむ。

信じ難い現象ということで記憶を遡れば、かつて同じ東証一部に上場していた持ち帰りスシの京樽も確かパンクした後にとんでもない急騰劇から破たん前の株価を回復したのを思い出すが、コレクションの線でいっても今は株券も電子化になり昔のようにペーパー券面を手元に引くのも不可能なので過大な再生期待が背景にあったと思う。

そんなワケでこれも破綻後の珍現象として今後語り継がれるだろうが、まあいずれにしても奇特というか勘違い投資家のお蔭で同社前社長など思わぬ売却代金を手に入れることが出来たのだから、事業は破綻してしまったものの敗戦処理ではまさに不幸中の幸い?という格好になっただろうか。


あれから四年

さて、本日であの東日本大震災から4年が経過した。そんな時期ともあってか百貨店や街のイベント等では復興関連の物品販売やイベントも多く目にするようになったが、今なお2千6百名弱が行方不明のままで避難生活を余儀なくされている向きも23万人弱も居るのが現実で引き続き風化させるような事がないようにしたい。

ちょうど一年前の日経紙社説では降って湧いたような天災に絡んで警告を受け止めずに想定外にしてしまったと書いてあったが、確かに企業も個人も阿鼻叫喚のマーケットに直面しパラダイムシフトも可也進んだか。あれからトヨタなどまさに雨降って地固まるの如く構造改革からその株価も今や上場来高値に肉薄、震災当日に上場したカルビーはあれから株価は実に9倍近くにもなっている。

また交通インフラの復旧も進んでいるものの、一方で住宅再建は思うように進まず汚水処理など当初約束した今月末の期限を守れていない等こうした部分の再建はまだ道半ばなのは否めない。廃炉含めて息の長い作業だけに国の更なる支援が必要だろうが原則を忘れず臨みたい。


共存市場

本日の日経紙商品面には「投資家の戦略分かれる」と題して、原油市場にヘッジファンドなど投資マネーが流入し価格の振れ幅が大きく売買高が急増する一方で、年金基金など長期保有を基本とする機関投資家等は様子見を決め込むなど手控えムードで各投資家の戦略が分かれている旨が出ていた。

これまでも原油に絡んでは何度か書いてきておりETFや最近ではETN等まで品数が揃っている割にはけっこうコンサバなスタンスを貫いている向きもあるなと改めて思ったりしたが、やはりリクイディティー面など他の投資対象と同一視出来ない部分も控えているのだろう。

ところで同じ紙面にはブラジル通貨安の影響で今月に砂糖の国際相場が5年ぶりの安値を
付けた旨や、米雇用統計の結果からFRBによる利上げが近づいたとの観測で金が3ヶ月ぶりの安値に沈んだ旨も書いてありCTA系にとっては依然好機が続くか。市場が発展すれば時に受け皿など相互に補完関係になれるだけにこの辺が待ち望まれる。


古手と新手

本日の日経平均は3日ぶりに急反落となったが、そんな中で全市場値上がりトップとなったのは三光合成がTOBを実施と発表した積水工機製作所であった。ところでこのTOBといえば先週には豊田通商によるトーメンエレクトロニクスのTOBを巡るインサイダー取引で会社員が東京地検特捜部に逮捕された報道もあった。

数あるインサイダーのネタでもTOBは企業破たんと共に旨みのある確実性の高いものからその人気?は衰えないが、素人はその買付処理の甘さゆえ今回のように見つかってしまう例が依然として多い。他に金融商品取引法違反といえばもう一つ、カリブ海の島にある投資会社もPTSを使っての不正売り抜けで数千万円の不正利益を得ていたとして課徴金納付命令の勧告が先週に出ている。

PTSといえばこれまでもマザーの狭間に売買が可能なことで投資顧問や株式専門紙の推奨情報に反応して値を飛ばす事があったが、そうでなくとも板が薄いだけに時として突飛な値動きが頻繁に起こり得る事が多く何時かはこんな新手な金商法違反が出てくるのは予想していたが果たしてという感じ。

とはいえ今回の件でも90銘柄近くの銘柄を食い散らかした挙句に数千万円を得ても、その課徴金は数万円程度とヤリ得感満載。個人の方はそこそこなお灸を据えられたにしてもまだまだ新手なネタは控えており、イタチごっこはこれからともいえるかもしれない。


家具屋姫

さて、今週の株式市場は高値警戒感が燻る一方で下値も堅いといえるが、こんな手詰まりで低位が乱舞する中やはり連日市場の注目を集めているのはジャスダックの大塚家具だろうか。先週26日から始まったストップ高の勢いは週明けも止まらず上限いっぱいのまま大引け、翌日のひな祭りの日にも更に連続ストップ高に迫るも一転急落と乱高下が続いている。

この背景には周知の通り内紛に端を発した今月下旬の株主総会に向けたプロキシーファイトの思惑台頭があるワケだが、これに加えて内輪揉めに付き物の停止規制を見越したカラ売りが急速に入り先週末には久し振りに見る逆日歩34円という近年に無い取組が形成された事も一役買っており、まさに鉄火場となっていた。

それにしてもこの一連の騒動で会長の株式資産もたった一週間で48億円増と倍化したと思えば、一日でそれが28億円も目減りしたりの乱高下であるからやはり創業者は凄い。長女の社長もこんな状況下いきなり配当倍増を発表、上記含めた諸々の株高はプロキシーファイトにも各方面で影響を及ぼす訳で、ほか浮動票への根回しも既に周到とも思えるが勝手に勘繰るになかなかしたたかともいえる。

株価と共に二人の記者会見など高見の見物的にはなかなか夫々の世代が反映されたものであって面白かったが、さて軍配は何方に上がるかのか?株主総会を前にまだまだ株価と共に目が離せない展開で要注目である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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