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想定内のクラッシュ

かねがね言われ続けてきたことだが、連休を前にした先週末の上海総合指数は4,478.364と続急落となった。これで週間の下落率は約13%と2008年以来約7年ぶりの大きさとなったワケだが、これまで誰もが口を揃えて上昇ピッチの速さを指摘してきただけに果たしてといった感が強い。

なにせ年初来の上昇率は約60%、証券取引所が1990年に取引を開始してから強気相場が928日目とこれまでの強気相場の平均期間の5倍強に達していた事で、バリュエーションも持続不能な水準に押し上げられていたというところか。

そんな訳でこれで完全に崩壊へ向かうのかどうかというところだが、政府が株高維持を重要政策とし市場を巧みにコントロールしてその行動を手中に収めているとされる国だけに、これ以上過度の株安を容認するのかどうかにも今後の関心が向かうところだ。


人材登用リスク

ここに来てにわかに入ってきたニュースにトヨタ自動車の常務役員が米国から麻薬を密輸したとして、警視庁から麻薬取締法違反の容疑で逮捕されたとの報があった。疼痛を和らげる医療用麻薬の一種である錠剤を国際郵便で輸入したという。

同薬は良く知られるモルヒネに比べて約1.8倍の効力があるというシロモノであのマイケル・ジャクソン氏も常用していたとされるモノであったというが、どう見ても正規の手続きを経ていない真っ黒な輸入方法が問題だったようだ。

しかし、同役員といえばちょうど2か月前の今年の4月に初の女性役員として鳴り物入りで同社役員に就任したばかり。グローバル人材活用が共通の課題となり人材多様化をちょうど推進している矢先の海外人材登用のリスクが改めて表面化したような一件であったが、今後の対応が課題になりそうだ。


需給は全てに優先する

本日の日経紙マーケット面には「プラチナ、長引く逆転相場」と題して貴金属市場の中でも金と、本来であれば割高になるプラチナが値下がりの激しさによってその値動きに差が出ている旨が載っていた。

この逆転劇といえば東日本大震災での自動車生産台数激減を囃して以降もう恒常的に取り沙汰されるようになったが、近年では外貨準備や代替通貨として買われる通貨の二面性を持った金と、あくまで素材としてのプラチナの差といったところが顕著になってきているというところだろうか。

また、同紙の冒頭にはプラチナの生産量が年間200トンで金の15分の1以下であるから、その希少性で通常はプラチナの方が価格が高いといった一文があったが、そもそも需要が供給を満たさなければこの通説自体があまり意味をなさない物になってしまうのは当たり前である。相場格言で「需給は全てに優先する」とはよく言ったものである。


総会お土産

さて、昨日は株主総会を前にした企業の買収防衛策廃止の姿勢について触れたが、この株主総会といえば週末に総会を開くソフトバンクが恒例だった「お父さん」をあしらった食品等のお土産をとりやめるなど、出席する株主にお土産を渡すことを止める企業が相次いでいる旨の記事を昨日の日経夕刊で目にした。

このまま機関投資家やアナリスト向け説明会のヤツまでは廃止にならないだろうが、当欄でちょうど今から一年前にこの株主総会のお土産について書いた際に、この総会土産を廃止にした企業の総会出席者数が3割〜7割も減ったという件であったのを思い出した。

各社廃止の理由として欠席した株主への還元が不公平になるほか、出席株主の増加で経費や会場運営の負担が重くなることを挙げているが、ヘタをすればそれこそ優待よりお土産が豪華なパターンも存在し、「お土産」の中には非売品も多く特にレアものは根強いコレクターも存在するだけに各社その分の拡充策も思案のしどころとなろうか。


次の焦点

時節がらか配当関係と共に定時株主総会招集の通知が多く届いているが、そんな株主総会を前に買収防衛策を廃止する企業が相次いでいる旨が週末の日経紙に載っていた。ただ今年度は昨年度より7社多い19社が廃止を決めたというものの、先月末でなお479社が買収防衛策を継続しているという。

買収防衛策といえばやはり切っても切れないのが敵対的買収を行うファンド勢。これに呼応するかのように同策導入のピークは2008年の570社であったと同紙では報じているが、それでも当欄でも取り上げたPGMによるアコーディアへの敵対的買収、そしてもっと最近ではプロスペクトによる豊商事へのそれなど依然ポツポツと事例は続いている。

馴れ合いTOBとも取れる事例も無いとは言えないモノも中にはあるがそれは兎も角として、ピーク時から減った企業群の中には統合や再編で株主構成の変化からそもそも同防衛策の必要性が無くなったものも少なくはなく、冒頭の通り今なお同業他社等からの敵対的買収に対する警戒感がなお根強いのも事実。

何度も触れているように今月からはコーポレートガバナンス・コードが適用開始。それに伴い同策に関しての投資家への詳細説明が必要になることで、統合再編とは別の部分で廃止促進が為されるのか否か、持ち合い含めこれまで特異とされた体質がこれを機に変化してゆくのかどうか今後に注目である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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