ポケモン狂想曲

さて、もう世界各地でお馴染となっているスマホゲームの「ポケモンGO」の配信が日本でも先週末に始まり、老若男女を問わず道の至る所でスマホを見ながら進んでは立ち止まる人の姿が見られ既に社会現象になり始めている。

株式市場でも12日に当欄で書いたようにこれに先行する格好でポケモノミクスを囃していたが、本命の任天堂は数日で時価総額が約1兆円も変動するボラタイルな展開で、年初来高値を取った19日は売買代金が個別株として初めて7,000億円を超え東証の売買代金の2割以上を占めたというから凄まじい。

また周辺銘柄もこれに負けず劣らずで、関連複合施設運営のサノヤスHDは5日連続ストップ高の離れ業をやってのけ昨日はミツミがストップ高、またポケモンパンを販売している第一パンまで年初来高値を更新し、ちょうど一週間前には日本マクドナルドHDが株価・時価総額共に約15年ぶりの水準にまで回復している。

しかしマックといえば使用期限切れ問題等の不祥事で2015年12月期まで2期連続で連結最終赤字の憂き目に遭っていたが、見栄えは一気に浮上した格好か。当の任天堂もつい先月まで過去の遺物扱いで年初来安値を更新していたものが上記の通りの大化けと、過去の遺物が転じて新たな収益の大きな種になった格好。今回のポケモン相場は過去の遺産を擁しつつ燻っている日本企業への新たな見方を提供するかもしれない可能性を秘めているか。


新種保険

さて、本日のDMの中にも保険の案内が舞い込んでいたが、保険といえば一昨日の日経紙には「新種保険 続々の謎」と題して、損保保険ジャパン日本興亜が手掛ける富士山の噴火に対応した保険など変わり種の新商品が続々と開発されている旨が出ていた。

この手の自然災害に絡む保険を当欄で取り上げたのは今から二年くらい前の三井住友海上火災保険だったと思うが、同社は大雪など冬場の天候不順で生じる損失を軽減するモノや、落雷を対象としたデリバティブなどを手掛けた経緯があった。

近年異常気象が言われ続け実際に想定外ともいえるケースが多発している中で保険会社がこうした分野に活路を見出しているのは自然な流れだが、天候以外でもそうした一昨年からのわずか二年でも様々な技術革新に伴う想定外のケースも増えつつあることで今後この分野での開発にも優劣が出てくることが予想される。


3年のモラトリアム

本日の日経平均は大幅続落となったが、そんな中で前場に突飛高が目立ったのは低位系で東証二部の「倉庫精練」は寄り後の数十分でストップ高にまで暴騰し引けでも全市場の値上がり6位となった。この系統では同じく東証二部の「カネヨウ」や「北日本紡績」等も前場早い時間に急騰し商いも共に前日の10倍以上に膨らんでいた。

これらに共通していたのは旧大証単独銘柄で東証と大証が現物株を統合した際に時価総額の上場廃止適用猶予期間に入っていたモノで、本日の日経紙投資情報面でこの辺について取り上げられていたのが材料視されたというところだろうか。

猶予期間が今月末に迫り各々も兼松や東レ、帝人など蜜な部分もあり何等かの対策が出るのではとの期待にイナゴ投資家勢が集結した格好だが、東証の看板を手に入れ3年間のモラトリアムは早く感じたか遅く感じたか、いずれにせよそれぞれの答えが何れ明らかになる。


東商取金現物取引スタート

本日から東京商品取引所では金の現物取引がスタートした。ユーザーは取引員等を通じ東京商品取引所が運営するオンライン上で注文を記入、条件が合えば取引が成立する仕組みで売買対象は100グラムと1キログラムの金地金、100グラムも対象に入れたところが小口需要も視野に入れているか。

実際にこの辺は初日には14枚の売買があったが、100グラム対象のものであった。渡しは偽物流通防止もあって出来ない仕組みになっており、先物から現引きするようなパターンでも特に好みのブランド指定は出来ないが、ここでも田中貴金属工業などのブランド力の高い企業の地金はなかなかお目に懸かれそうにもないという。

ところで田中貴金属工業といえば、同社が先に発表した1〜6月の金地金販売量は前年同期比で30%増となった模様。ブレグジットを切っ掛けに金融市場の混乱や経済不安から中長期的な投資資金の分散先として金が見直されている格好だが、東商取もこの機に乗じての現物取引スタートというところだろう。大手店頭販売からETFまで現物取引は多岐にわたるが、ニッチの取り込みでブランド力の劣勢までカバー出来るか否かに注目したい。


デリバティブ刷新

さて、今週は連休明けからJPX傘下の大阪証券取引所がシステム刷新し「J-GATE」が稼働を始めた。注文受注してから約定・通知返信までの処理速度は従来の20倍に上がり、取引時間も日中取引が従前より15分早まり、夜間取引も従前より拡大し午前5時半まで延長されることとなった。

これに伴ってデリバティブの上場も4商品が増える事となったが、特にマザーズ先物は鳴り物入りの登場。マザーズ市場はスタートして17年が経過するがこれまでヘッジ手段が無かっただけに、これまで投資対象外としていた機関投資家の参入が見込まれ、また個人も日経ミニ並みの投資資金から参入し易いと期待されている。

ちなみに初日は静かな滑り出しを見せ、個別ではマザーズの代表格であるそーせいグループは前週からの地合いを継いで下げ止まらない展開であったが引け間際に急上昇、全市場値下がりランキングでは1位から7位までがマザーズ銘柄がズラリと並び指数は4日続落となっていた。

これから早晩ETF等の枝葉も広がってゆくのは想像に難くないが、レバ系の創設如何では荒れを予想する向きもある。この辺は構成銘柄如何に懸かって来ると思われるが、それ以前にSQ一つ取っても品薄現物の全てが常に約定可能なのか否か裁定のオペ等も併せて今後に注目してゆきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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