CG導入後のTOB合戦

さて、今週はシルバーウィークからほぼ往って来いと冴えない株式市場であったが、そんな中を気を吐いていたのはやはり旧ユニー系の呉服屋「さが美」だっただろうか。週明けから二日連続でストップ高を演じ、わずか三営業日でその株価は2倍に化けるなど破竹の勢いであった。

この背景には周知の通り来月に投資ファンドのアスパラングループの傘下入りで合意していたところを、別の投資ファンドであるニューホライズンキャピタルがアスパラントのTOBを上回る価格の他、貸出債権買い取りや第三者割当増資にも幅を持たせた買収申し入れをした事に因るもの。

過去こんなケースで株価が乱高下した例では、かつてジャスダックに上場していた「幻冬舎」のMBOにおけるイザベルリミテッドの登場や、かつて東証一部に上場していた「アコーディア・ゴルフ」のTOBにおけるPGMホールディングスの登場等々の記憶があるが、結果的には何れも不発に終わっている。

ただこれらの騒動から時を経て昨年にはコーポレートガバナンスコード適用が始動しており、買収事案もより開かれた場になる事への期待も大きいのは個人もファンドも一緒である。そういった意味では今回のさが美の案件も駆け込み感が強いとはいえ、その行方が今後の参考として注目されるところになるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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