仮想の限界

さて、今月に入ってからビットコインの相場が2013年以来の最高値まで急騰して遂には金相場を抜いた事が話題になっていたが、先週末の日経紙夕刊には「ビットコイン急落」との見出しで、米証券取引委員会(SEC)がビットコインのETFを認めないとの決定を嫌気し10日には史上最高値から3割近く急落する場面があった旨が一面を飾っていた。

山高ければ谷深しの格言通り、ビットコインは年初の中国ショックの後は一貫して上昇基調を辿り今月に入り上記の通りの金価格をも上回る急騰で話題になっていたが、上げに拍車がかかったのもそもそもこのETFが初めて認可されるかもしれないとの思惑が背景にあったからに他ならない。

これが認可となればそれこそ金ではないが原資産にタッチする予備段階としての投資家層の裾野が格段に広がる可能性を秘めていたと思うが、やはりいくら旬のモノとはいえ政府による信用の裏付けも無ければその設計、ボラタイルな値動きに対するトラッキングエラーの問題などハードルは高かったという事か。

発行体を持たない事でソブリンリスクが意識される局面では金と共に括られてきたが、これで一先ずはETFの話はお預けとなった格好。決算手段も徐々に広がりを見せ同様に投資需要も盛り上がりを見せている最中、ETF申請の一件によって金と一括りに出来ない仮想の部分を見せられた感がする。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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