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取引所ジレンマ

本日の日経紙一面には「株式公開 緩むルール」と題して、昨今は企業が自身に有利な条件をのむ市場を選別し上場の条件交渉で主導権を握るようになり、また取引所も企業誘致のためルール緩和に突き進むなど世界で企業の新規株式公開のルールが骨抜きになるリスクが強まっている旨が載っていた。

序盤ではソフトバンクグループの東証とロンドンに子会社上場を目指す思惑に絡んでの東証のジレンマに触れていたが、株式持ち合いやこの手の親子上場は長年日本の特異な慣行で、上場を果たしても筆頭株主が親会社のままだけに他の株主の意見が経営に反映されにくい構造という事で近年は欧米に合せ減少傾向という流れになっていた。

一方で上記のロンドン証取など史上最大といわれるサウジアラムコのIPOを誘致する為に特別上場区分を設ける動きに出ているが、このサウジアラムコといえば東証も政府のバックアップを背景に上場誘致に躍起になっている様が報じられたのが昨年の始めで、勿論他の取引所もこの超大型IPOを黙って見ている訳でもない。

本件の成り行きも注目されるが、斯様に企業が国境を越えて市場を選ぶ時代に市場の規律を保ちつつ企業と投資家の利害バランスを取引所はどう取ってゆくのか。世界的なカネ余りが企業の立場を優位にしつつあるなか大義名分と営利追究の板挟みで取引所のジレンマは始まったばかりか。


ホワイトデー2018

今週は所用で近所の三越に立ち寄ったのだが、バレンタインほどの派手さはさすがに無いものの昨日のホワイトデーを当て込んだ特設ブースなど設けられ想像以上の商戦が繰り広げられていた。この辺はお隣のマンダリンオリエンタルホテルも然りでホワイトデー限定品等が多数用意されていた。

バレンタインに比べなかなか意識調査の類も見掛けないものだが、今週の日経MJに出ていたロッテが行った調査結果ではバレンタインのお返しをもらいたいとの女性陣の回答は82.8%、対して男性陣は全員にお返しをすると答えたのは80.1%。8割の女性が値段より気持ちが重要との回答も得られているが、もらったモノより高いモノを返すのが半ば暗黙の了解だろうか。

今年のバレンタインデーの市場規模は推計で約1,300億円というが、このホワイトデーのそれは約530億円と約4割水準といったところか。バレンタインは数年前からハロウィーンのそれに抜かれたとかいわれているが、ホワイトデーからGWまでの空白期を埋める商機として今度はイースターが控えており各所の熱い商戦がまた始まる。


ROE続伸

本日の日経紙一面には「企業の稼ぐ力 米欧に迫る」と題し同紙が東証一部の上場企業を集計した結果、ROE(自己資本利益率)が2017年度に10.1%まで上昇する見通しとなりこの10%を超えるのはデータを遡れる1982年度以降で初めてとの旨が書いてあった。

このROEといえば当欄ではちょうど昨年の今頃「国際標準への課題」と題し同じく触れていたがこの時は前年の上場企業のROEは8.3%と3年ぶりに上昇、この8%台達成がそれまで機関投資家が日本株に求める最多株主資本コストであった事でほぼ機関投資家要求を満たす旨を書いていた。

とはいうものの末尾では国際標準ではお世辞にも遜色ないレベルという状況でもない旨も記しておいたが、個別では欧米水準と肩を並べるところやそれ以上の企業も散見されるものの全体ではまだ伸びしろを残している。自社株買いなど近年は目に見えて盛んになって来たが、コーポレートガバナンス・コード等と併せ今後も全体の嵩上げが如何ほど進むか見ておきたい。


野菜相場

さて、気温が4月頃の水準まで上がりすっかり春の陽気を呈しているが、昨日の日経紙夕刊一面には「野菜 春も値が張る」と題し昨年10月の長雨や台風、11月以降の低温などが尾を引いて野菜の出回りが不足している事でキャベツやレタス、白菜といった葉物野菜の市場卸価格が1年前に比べて4〜6割高い旨が載っていた。

こうした葉物野菜は傷みやすく輸送コストも嵩む為に通常であれば販売されるものは国産が主流となっているが、暫く続く高騰の影響で1月の葉物野菜の輸入数量が過去最高となった模様。また小売店が割安感を訴求できるとして売り込み販売が伸びた事で冷凍野菜も昨年は輸入量が初めて100トンを突破した模様。

この時期の春の食材も一部は出荷量が前年の半分程度でスーパーでは平年比で2割高から2倍の水準というものの、天候が良くなれば生育遅れの回復で価格は何所かで急反落する場面があろうか。10年ほど前にあった野菜先物など軌道に乗っていればこういった局面ではヘッジニーズに大商いで応えたであろうが、原資産に全くリンクせず上場廃止になってしまったのが惜しまれる。


あれから7年

東日本大震災から昨日でまる7年を迎えた。復興庁によると避難者は前年より約4万9千人減少したものの、なお約7万3千人に上る模様だ。例年の事だがこの時期になると各所で募金やらイベントやらと様々な活動が盛んになり、昨日も銀座の歩行者天国ではハート形の風船が多数配られていた。

銀座といえば昨年はこの時期、ソニービルの壁面に「もしも津波がここ銀座の真ん中に来ていたらちょうどこの高さ。」とヤフーが広告を掲げていたがここも静かに閉館を迎えた。しかしこの広告で赤抜きとなっていた高さは隣のビルなどと比べてもだいたい4階から5階といった高さであろうか、想像以上の高さを感じたものだ。

東電福島第一原発の廃炉作業に中心的な役割を果たしている東芝もちょうど昨年はWHに絡んで決算を何度も延期するような綱渡りであったが、こちらは漸くWH関連資産を売却する事により3月期に債務超過を解消することが確実に、また依然として東北では新陳代謝や中小メーカーが得意分野を生かして活路を見い出す取り組みが継続されている。

とはいえ個々では依然として風評被害が尾を引いて農産物の出荷価格など震災前の水準にはまだ戻っておらず、教訓の風化も目立ち始めるなど懸案は山積みでこうした事にしっかりと向き合いつつ個人も出来る事から確かな復興に繋げたいところである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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