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大手事業方針

本日の日経平均はトランプ大統領が来月予定される米朝首脳会談を見送る可能性に言及、地政学リスクが高まった事から大幅続落となった。そんな中で値上がり上位に顔を出していたのはアイフリークの大幅続伸をはじめとし、DLE、モバファク、アイル等々の仮想通貨関連銘柄の逆行高が目立っていた。

仮想通貨といえば昨日の日経紙金融経済面には「世界の大手も仮想通貨」と題し、米金融大手ゴールドマンサックスがビットコイン関連のトレーディング業務を始める方針や、米取引所大手ナスダックも仮想通貨取引所開設を検討するなど仮想通貨関連事業を拡大してゆく旨の記事もあった。

国内でも仮想通貨の取引金額が昨年は16年から約20倍の規模に膨張するなどその根強い需要や、逆風と見られた各国の規制強化の流れもそれに伴う不正取引の減少期待を背景にして日米共に大手が粛々と拡大の波に乗ってきているが、こうした動きによって日進月歩の技術革新と併せマーケットも成熟に向けての歩みとなってゆくかどうかが注目される。


中小型人気

本日の日経平均は米株式が大幅続伸となっていたものの、円安一服を受けた利益確定売りが優勢となり4営業日ぶりに小反落となった。とはいえ値上がりランキングを見てみるとトップ10のうちジャスダックが6銘柄、マザーズが2銘柄、東証一部とETFが1銘柄ずつと中小型株の物色は旺盛である。

この中小型株といえば投信の世界では先月まで10カ月連続で中小型株投信に資金が流入、合計の純資産残高が先月末時点で約1兆円と1年前からほぼ倍増となるなど人気の高さから相次いで新規の申し込みを停止している旨の記事を先週の日経紙で見掛けた。その規模は東証マザーズとジャスダックの合計時価総額の1割弱に匹敵するだけに運用効率を考慮すれば致し方無いだろう。

ところで中小型モノ投信の新規募集停止で思い出すといえばやはり数年前にJPモルガンアセットが売り出した「ザ・ジャパン」か。新規売り出しで早々に信託金上限に到達したことで、その上限を倍にして新規募集を再開したものの僅か1週間で再度の募集停止となるほど人気があった。

組み入れ銘柄がディスクロされていた為に設定後はアクティビストが買い込んだ銘柄よろしく更にチョウチンも付いてそちらでも話題になったものだが、こうした中小型偏重は裏返せば大型系の成長力の乏しさを表しているともいえ過熱の反動とも併せ何所までこうした傾向が続くのか注視しておきたい。


金密輸ループ

さて、米の金利上昇傾向で先週は相場が1,300ドル割れとなるなど金相場が調整傾向を強めているが、金といえば先週末の日経紙に「金密輸団、32億円荒稼ぎ」と題し韓国から福岡に金塊を密輸したとして韓国人グループを摘発した事件では国内に密輸され売却された金塊が約400億円相当に上り、その抜いた消費税分の金額約32億円が密輸グループの手に渡った旨が報じられていた。

昨年の当欄で金密輸の成功率95%を前提にすれば100億円超が国庫から奪われている計算と書いた事があったが、同紙では今月成田でも香港から金10キロを密輸しようとした男女が逮捕された件も載っており昨年は約48億円相当の金塊を国内で売却し約3億9千万円を得る事に成功しているといい、上記の件と合わせなるほど日本が密輸の主戦場たる位置付けをされているのも頷ける。

一昨年だったか貿易統計で金の正規輸入量2トンに対して輸出量が161トンと約80倍に達している量から取りこぼしも相当なものだが、一連の金密輸はイグジットとして金は再び香港等に輸出されそれがまた日本に密輸されるケースが多く、このループにおける売却時と輸出時の過程でそれぞれ消費税分が確実に食われている計算となる。

斯様に抜ける鞘の大きさに加えてもう一つの旨み?は仮に摘発されたとしても消費税罰金相当の納付で金塊は返却されるというユルさか。冒頭のグループは韓国人であったが、その韓国では金塊は没収で罰金は最大で約1億円罰金が科されるという。森友文書書き換えからセクハラまで失態オンパレードで忙しそうな財務省だが関税法の罰金上限引上げ等の検討含めその対策が急がれるところか。


ウイスキー熱彼是

さて、昨日の日経紙・真相深層には「ウイスキー熱 原酒が不足」と題して、サントリーが国産ウイスキーの「白洲12年」と「響17年」を販売休止にする旨が載っていた。共に根強いファンが居る人気の商品だが、ウイスキーの販売休止といえば2016年の角瓶・黒43度以来の事という。

昨年英国で開かれた種類の世界的な品評会で「響21年」が最高賞に輝くなど世界的評価の高まりから内外での需要が急拡大、国内のウイスキー熱については2年ほど前に朝ドラのマッサン効果の後押しもあって品薄になっている旨を当欄でも書いたが、その市場は10年前の2倍に拡大し原酒を作った10年以上前の想定を超えての需要拡大やその熟成期間等から販売を続けるのが難しくなったという。

こうなると気になるのが無い物強請りで付けられる値段だが、この報道後に一寸ネットで覗いてみたら果たしてというかでその価格は同紙に書かれていた冒頭2品の希望小売価格の8倍以上にも跳ね上がっているところもあった。ウイスキー熱といえばもう一つ思い出したのが4年ほど前に設定された世界初のウイスキー・インベストメント・ファンドか。

前回これに触れた2年前には設定1年で30%を超える評価益を上げていたが、コレクションの小売価格は既に投じた資金の倍以上に化けるなど予想を上回る成果を挙げ今後は徐々に規模縮小し清算に向かう模様とか。指標の「レア・ウイスキー・エイペックス1,000」指数など昨年上期でゴールドやワインを凌ぐ運用成績をあげており、冒頭の件も背景にこうしたオルタナティブ投資熱もまた盛んになりそうだ。


リスク・パリティ

さて、4月小売売上高が前月から増加した事で米国債利回りが2011年以来の高水準に到達、企業収益や景気への悪影響が懸念され昨晩は9営業日ぶりに反落した米株式であったが、それまで昨年9月以来となる8日連続上昇でVIX指数も週末から週明けは12ポイント台まで低下していた。

この水準といえば世界的株価暴落が始まる前の今年1月下旬以来の低水準ということになるが、特にこの3〜4月にかけて警戒水準で高止まりしていたのと比較するに様変わりともいえる。テクニカルな観点でも緩やかな上向きを示していた200日移動平均線を同指数が約4ヵ月ぶりに下回った事も話題になっていたようだ。

近年では今年2月の当欄でも書いたようにリスク・パリティ運用等からVIXという尻尾が胴体を振り回す格好が増え、一晩で9割以上の価値が消滅した金融商品が続出した最中には同指数の不正操作疑惑まで出たほど。2月からの暴落で篩い落とし一巡感があるものの今なお同指数の影響力と市場構造を考えるにその動向に注目は怠れないか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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