盗難劇の裏にEV社会
さて先週末の日経紙マーケット面には、銅の国際価格が指標となるLME3ヵ月先物で月初から5%上昇し週末に1トン7,250ドル前後と約4年半ぶりの高値圏にある旨が載っていた。先月下旬に環境汚染の疑いで洗練所の操業が止まったのに続き、今月に入ってからは主要生産国鉱山の労使交渉が長期間するとの観測も浮上したとのこと。
ところで今週はプール開きする学校が多いと思うが、これを前に各地でシャワーヘッドや洗顔用蛇口なの盗難が相次いでいる旨の報道を最近多く目にする。直近では3月から5月にかけては北関東の小中学校でも同様にこれら230個の盗難事件が発生している。これらに共通しているのはこれら盗難に遭ったモノが銅合金製という点。
背景には上記の銅相場の高騰が言われており、5月のキロ当たり同価格は一昨年が552.2円、昨年が671.6円、そして今年は797.8円と年を追う毎に高騰著しくなっている。これは言わずもがなヨーロッパや中国を中心にガソリン車の販売禁止等環境規制の動きが広まり、今後も電気自動車の普及が一段と顕著になる事が予測されている事が背景にある。
電気自動車はモーターや配線などこれまでのガソリン車に比べ銅を多く使用する構造から上記の銅相場高騰の一因ともなっている。先週末の日経紙一面でもホンダとGMが次世代電池と関連部品を共同開発し両社の電気自動車に搭載する計画を発表しているが、EV社会の到来で銅需要は今後10年で9倍とも試算されており相場と併せ今後その動向には目が離せないか。