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紳士協定撤廃

本日の日経平均は前日の大幅続落で織り込み済みとあってか米株式の6日大幅続落にもかかわらず急反発となったが、そんな中でもメガバンクと共に年初からズルズルと値を崩し続け今日も年初来安値を更新しているのが証券大手の野村ホールディングスと大和証券グループ本社株か。

この両者といえば2018年3月期決算発表を受け、市場に透明性を印象付ける狙いもあってか両社間に存在した互いにネガティブな投資判断は避けるという「紳士協定」を捨て、お互いの業績予想や目標株価を引き下げたのが過日の日経紙・市場点描に出ていたのを思い出す。

確かに互いに投資判断を「買い」に固定するというのはもう長年にわたって見慣れた光景であったが、こんなモノももう時代ではなくセピア色に映るというところか。そういえばこの両者も大和が上鞘逆転した時は話題になったものだが鞘はそのまま恒常化へ。まるで近年の金とプラチナを見ているようでもある。


保身脱却

本日の日経平均は米株式の5日続落や、取引開始前のトランプ米大統による中国製品を対象にした制裁の追加関税検討指示との報道に為替相場が円高に振れ400円を超える大幅続落となったが、そんな悪地合いの中をカプコン、積水化学工業、平田機工やWOWOW等が逆行高となっていたのが目立っていた。

上記の全ての銘柄に共通するのは買収防衛策を廃止した企業という点だが、コーポレートガバナンス・コード制定を背景に新年度に入ってからもこの買収防衛策廃止が相次いでおり今年は5月末で389社と前年より21社減少し12年ぶりに400社を割り込む見通しと過日の日経紙にも載っていた。

機関投資家も否定的な声が多数で防衛策には反対票を投じるケースが多くなり、新たに導入する企業も中には散見されるものの導入企業の総会では取締役の選任議案への反対票が増える傾向もある。株主も統治改善が漢方の如く株価に効いてくるとの認識が多くなってきている事で持ち合い株と共に今後も注目が向かいそうだ。


飽食時代の取り組み

さて、先週末の日経紙夕刊一面を飾っていた記事に「食品廃棄ネットで削減」と題し食品・生活雑貨ロスを減らそうと、外食店やメーカーと勿体ない事を嫌う若者や食費を抑えたい働き盛り等の消費者をインターネットで繋ぐフードシェアなどの動きが広がり始めている旨が載っていた。

この食品ロスといえば近いところでいえばコンビニやスーパー向け大量発注の弊害で、ノルマや売れ残り余剰商品の大量廃棄等の問題も昨年あたりから取り沙汰されるようになった2月の恵方巻問題があり、今年はとうとう某スーパーが出した「もうやめにしよう」との意見チラシも話題になっていた経緯が思い出される。

この記事の下にあった解説欄では国内で食べられるのに捨てられる食品は1年で646万トンに達する環境省推計が出ていたが、1日に全国のコンビニで廃棄される食品が100万食などこの手の数字は最近のTV番組で目にする機会が多くなって来た。WFPによる世界の食糧援助量が約320万トンといわれているなか看過出来ない量である。

これらは商品欠品による売り上げ機会損失や、違う店に行こうと客が流れるチャンスロス等もその背景になっているが、冒頭のような取組が拡大普及して来れば食品ロス削減の一助になるだけに今後作り手と消費者需要をどう上手くマッチングさせてゆくかがキーとなろうか。


取引員循環物色

本日の日経平均は4日ぶりに急反落し安値引けとなったが、そんな悪地合いの中で一時ストップ高まで値を飛ばし年初来高値を更新した一つにフジトミがあった。この波及効果で同族の小林洋行をはじめ他に第一商品、岡藤HDなど上場している他取引員もザラバでは値を飛ばしていた。

取引員に関しては先月末にかけて上記の岡藤HDや豊商事がそれぞれの思惑で値を飛ばしたのが目を惹いたが、今日の急伸の背景としては今日の日経紙商品面で同社とサンワード貿易、日産証券などがAIを活用した自動売買システムを年内にも導入する検討に入ったとの報に反応したもの。

自動売買システムといえば一昔前にも一部独立系が取引員に自動売買システムを足繁く売り込んでいた時期も懐かしく思い出されるが、当時から比べるに隔世の感がある。先駆して証券系にはこのAI絡みが増殖していた折コモディティーにも波及してくるのは時間の問題であったが、これまた日進月歩の世界だけに各所の展開が今後も注目されるところ。


異例の自社株買い

本日も続伸となった日経平均だが、2部の池の中の鯨的存在の東芝が2億株の大商いを伴って上昇し年初来高値を更新している。これは周知の通り同社がベインキャピタル主導の企業連合への東芝メモリ売却などによる財務体質の改善を背景にし、7000億円程度の自社株買いを実施する方針と伝えられた事によるもの。

7000億円規模の自社株買いとなると、ここ近年では2016年度のトヨタ自動車の7000億円があったが、その前2015年度のトヨタ自動車の7809億円や同じく2015年度の日本郵政の7310億円に次ぐ格好となる。同社としては何れとの思惑が燻っていたが、早速海外ファンドなどからの株主還元要求に応えた格好となった。

自社株買いといえば低ROE企業などの中でもアクティビストらのターゲット回避で積極的に取り入れる向きもあり昨年は2年ぶりの高水準となったが、既に錚々たるそれらの面子がズラリと大株主として並ぶ同社の場合一部には売却促進政策との思惑も出ている。何れにしても昨年末の増資を上回る異例の自社株買いを打ち出してきただけに下旬の総会と併せ今後が注目される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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