儲かるGoToキャンペーン

さて、周知の通り政府による国内旅行の需要喚起策である「GoToトラベル」に今月から東京発着が追加されているが、コロナ禍の影響が多大だっただけにこの事業には期待の声が高く一部シンクタンクによればこの東京追加による個人消費の押し上げ効果は1年間で7700億円にもなるという。

とはいえメディア等が取り上げる中で目立つのはやはり実質的に半分が補助されるとあって一般には普段使いでなかなか手の出し辛い高級ラグジュアリーの類で、実際にこの手のホテルからの案内は彼方此方からある。斯様な事も背景にこうした中でお得感の少ない元々の単価の安いホテルや利用者の間でもその恩恵に歪が出ているとの指摘もあるが、この辺は富裕層ほど得をするふるさと納税と構図が似ているか。

そのふるさと納税も返礼品競争が過熱したのが記憶に新しいが、上記の背景もありホテルの中には誘致目的で独自の買い物クーポンを付与し実質自己負担分以上に儲けが出てしまうようなケースも早速出てきた。また自己負担分以上に儲けが出るといえば、同時に今月から始まった飲食店や農林漁業者を支援する「GoToイート」キャンペーンでも早速問題が出ている。

この辺は実施前から指摘されていた事だが、すなわちその高付与率に目を付け予約した店では僅か数百円の品だけ注文する行為を繰り返し実質支払い分を大きく上回るポイントを獲得しようとするさもしい輩がやはり出てきた。斯様に制度の盲点を突かれ、本来応援すべきものが逆に店を更なる窮地に追い込むケースなどこれでは本末転倒も甚だしい。

給付金の類もいろいろ問題が表面化したが、こうしたケースが出て来るのはひとえに制度設計がきちんと出来ていないまま見切り発車スタートしたという部分に他ならないか。本来の目的が本末転倒にならないよう例えば注文金額の足切り等きちんとした制度設計の見直しなどが今後早急に求められようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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