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新甫の失態

当欄で東証のアローヘッドが始動した旨を書いたのは今から10年前のことであったが、周知の通り先週はそのシステムに障害が発生し全銘柄の売買停止に追い込まれる事態となった。全銘柄の売買停止は2005年11月にもあったが、その時は後場に取引が再開されており終日の売買停止というのはシステム化以降初めての事態である。

親亀コケたら皆コケるで同システムを利用している名古屋など地方取引所もこの影響をモロに受け終日売買停止の憂き目に遭っていた。辛うじて先物は動いていたもののPTSでは渦中のJPXやシステムを請け負った富士通が売り物を浴びていたが、これとて東証が稼働していない状況ではリクイディティー確保も覚束無く実質機能していなかったと言っても過言ではないだろう。

1日新甫というタイミングで幅広い投資家が影響を受けたが、現在東証は海外投資が半数以上を占めており彼らは政治混迷と並びこうした事態を最も嫌がる。3年前に国際金融都市構想が策定され、発足した菅新政権も肝いりのデジタル庁創設などを明言していた矢先だっただけに何ともという感じだが、取引所の一極集中という形態の脆さも露呈した格好で市場分散論もまた台頭しようか。

いずれにせよ資本市場のインフラの根幹を成す市場が数兆円にも及ぶ売買機会を逸する由々しき事態は東京市場の信頼失墜には十分とも言え、政府としても市場取引の脆弱性やリスクに応分な対応が求められようがこの早急な課題に各所で今後どういった対策が為されてゆくのか注目しておきたい。


コロナブレーキ

今週は国土交通省が2020年の基準地価を一昨日に発表していたが、周知の通り今回の基準地価は新型コロナウイルスの影響が反映された初めての大規模な地価調査となった。果たしてというか住宅地や商業地など全用途の全国平均は3年ぶりに0.6%の下落とマイナスに転じる事となり、市況への警戒感から翌日の株式市場で不動産セクターは軟調展開となっていた。

特に都心の商業地はコロナ禍によるインバウンド商売の直撃を背景に、下落率の上位二つは前年に比べ5%以上のマイナスとなった銀座がランクイン、同じく5%のマイナスとなったのが感染拡大の最中所謂「夜の街」と名指しされた新宿の歌舞伎町でこれに続く3位、また辛うじて上昇した浅草もその幅は大きく減少しランキング上位からその姿を消した。

当欄で春先に年初段階の公示地価を取り上げた際にいち早く影響を織り込み始めたREITの急落も取り上げ全般の自律反発後に個別で跛行色の展開となっているが、地価もコロナ禍におけるネット通販の好調を背景にした物流施設のニーズの高さを映し、こうした厳しい状況下において一方で11%超の値上がりをしている所もあるなど株式市場よろしくこちらでもコロナ禍が優勝劣敗の構図を創造している。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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