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世界経済の覇者

さてインフレ懸念から直近でこそマネーが流出している米のテック株群だが、これらのうち主力のGAFAは先月末までに発表された21年1〜3月期決算ではアルファベットの純利益が1年前の2.6倍、アップルは同2.1倍、フェイスブックも同1.9倍、アマゾンは巣ごもり消費に加えクラウドサービス事業も好調で実に3.2倍と何れの企業も破竹の勢いとなっていた。

というワケではこのGAFAが3ヵ月で稼いだ利益は実に6兆4000億円とまさに前代未聞な数字となり何かと本邦企業と比較するのもあれだが、例えば日本を代表?するトヨタ自動車の昨年の純利益が約2兆円相当として考えると実に同社の3年分の利益をたったの3ヵ月で稼いだ計算になる。

昨年はテスラの時価総額がトヨタ自動車のそれを超えたのも束の間、わずか半年足らずであっという間にこのトヨタ自動車含めた日本を代表する自動車9社をも上回った旨を書いたのを思い出すが、改めて日米の新陳代謝の違いを見せつけられると共にイノベーション力を武器にビジネス拡大を狙っていたかつてのガムシャラさがすっかり色褪せてしまった感は否めない。


株もワクチンも

本日の日経平均は値嵩系への売りなどから4営業日ぶりに急反落となっていたが、先週の日経紙夕刊・投信番付で冒頭に「日本株の上昇率は中・長期で欧米株に見劣りし、いまだ史上最高値を更新できていない。」との一文があった通りでマーケット関係者は一様に口を揃えてこの出遅れを指摘する声が多い。

機関投資家需要含め様々な要因が考えられるが、ワクチン格差や直近の中国問題を挙げる声も多い。ワクチンに関しては昨日の日経紙・インサイドアウトに新型コロナウイルスワクチン開発で日本は米中ロばかりかベトナムやインドにさえ遅れを取っている旨が書かれていたが、果たしてその接種率も惨憺たるものでこの影響がサービス業のPMIなどに色濃く表れているところ。

もう一つの中国問題といえばやはり新疆ウイグル自治区問題だが、日経平均への寄与度の高いファーストリテイリングなどの主力がこうした渦中に居るだけにこの辺が足を引っ張っているか。何れにせよワクチンにしても生産拠点にさえなれない現状を見るに後進国に成り下がったと言われても止む無し。本日の日経朝刊には宝島社の考えさせられる全面広告があったが、マーケットも政治・行政劣化の影響を受けている部分も多分にあろうか。


親超え企業価値

さてGW期間で営業日が2日のみであった先週の株式市場だが、先週末の日経紙投資情報面にて「時価総額でキリンHD超え」と題し取り上げられていた通り、協和キリンの時価総額が同社株の5割を保有する親会社のキリンHDを初めて上回るという所謂「親子逆転」現象が見られた。

2008年にキリンHDが連結子会社として以来協和キリンの下鞘が通常であったが、昨今のキリンHDはミャンマー政変による事業影響への懸念から右肩下がりが続く一方、協和キリンは骨の病気の治療薬や新薬開発への期待を背景に値位置を切り上げ先週末には年初来高値更新と対照的である。

同紙ではこの手では他にGMOインターネット・GMOペイメントゲートウェイ等も挙げられていたが、これら以外でも例えば大型TOBが成立したNTT・NTTドコモも然り、またパソナグループが株式の50%を保有する傘下のベネフィットワンなどはその時価総額がパソナの5倍超となるなど冒頭の協和キリンどころではない格差だ。

これら極端にいえば親会社の株を保有している株主は会社解散で小会社の株式を現金化すれば利益が出る勘定とも成り得るワケで、企業価値の逆転現象に対しアクティビスト含めた投資家の視線も厳しくなるにつれ下鞘な時価総額に甘んじている「親」も企業統治の観点含めその身の振り方が問われる場面が出て来る可能性も今後高くなりそうな気がする。


オリジナル証明?

さて、前回は過剰流動性の受け皿となっている現代アートのオークションなどを取り上げたが、もう一つの受け皿として最近話題になっているモノにNFT(非代替性トークン)なるものがある。ちょうど4日の日経紙でも「高騰デジタル資産アートか投機か」と題しデジタルで作成したアート作品や音楽を売買する市場が個人間でも高値で落札されるケースが出て来るなど急速に拡大する旨が出ていた。

このNFT、なんとなくその存在を知ったのが一寸前に世間を騒がせたツイッター創業者の最初のツイートに3億円の値が付いた件か。またあの老舗クリスティーズが現代アートのNFT一作品をオークションにかけたとの報もけっこうな驚きであったが、それが実に約75億円という誰もが知る著名画家並みの値段で落札された報も衝撃であった。

これら巨額の案件はそれとして若手のVRアートやゲーム会社によるトレーディングカードなども瞬時に売り切れる鉄火場市場となっているが、上記の含めこうした熱には当然ながら暗号資産の高騰という背景がある。ブロックチェーンの絡みでビットコインと共に史上最高値を更新したイーサリアムもロスチャイルド・インベストメントがその投信を購入するなど枝葉の動きも顕著になってきている。

しかし普通に考えればデータそのものはコピー出来るモノに付ける値としては本質を無視したようにも思え、暗号資産バブル?終焉まで適正価格という部分に関しては疑問符も付くが、曲がりなりにもオークションにかけ難かったデジタルモノをNFTが解決しクリスティーズでさえテクノロジーを活用し新たしいマーケットに進出している事に改めて時代の潮流を感じるというもの。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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