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後出しジャンケン?

SBIホールディングが新生銀行に対してTOBを実施すると発表してからはや1ヵ月、新生銀行側はこのTOBに反対の意向を表明する方針を固めた模様。臨時株主総会で買収防衛策導入の是非を問う運びだが、従前の買収防衛策はこれまで平時に導入されるパターンが通常であったものの昨今の株主総会ではこの承認が得られ難くなってきている事で今年は斯様なケースが少なくないようだ。

この有事のパターンでポイズンピルなどの買収防衛策は、以前では昨年に当欄でも取り上げた事のある旧村上ファンド系のシティインディテックスイレブンズからTOB意向を受けた東芝機械の例や、更にその前にはスティール・パートナーズからTOBを仕掛けられていたブルドックソーズの例があったが結果は何れも辛勝している。

但しTOB価格を軸にして防衛側の経営陣が描く将来の株価像との比較機会が阻害されてしまうのは否めないところで、上記の東芝機械(現・芝浦機械)は当時ファンド側が提示したTOB価格から本日終値でも800円以上安い値位置に甘んじている。今回は株主判断に十分な時間を確保する必要があるとして相手側のTOB期限延長に応じているが、単なる時間稼ぎにするのではなく株主の支持が得られるような具体策を今後示せるかどうかが焦点となってくるか。


10年目の教訓

さて、周知の通り先週末に首都圏が最大震度5強の地震に襲われた。東京23区で震度5以上を観測したのは10年前の東日本大震災以来の事であるが、消防庁はこの地震で東京や神奈川等5都県で400人以上が負傷と発表、JR東日本でも新幹線と在来線16路線で約36万8000人の足に影響が出たとしている。

そんな状況からこの地震では10年前の東日本大震災でも問題となった都内から都外の自宅に帰れない所謂帰宅困難者が一時8万人以上居た可能性があることが分かったが、混乱は一夜明けても続き首都圏を走る鉄道では始発からのダイヤの乱れで入場規制等の動きも合さり通勤や通学に大きな混乱が発生、駅前のロータリーなどではバスやタクシー待ちなど長蛇の列が見られた。

新型コロナウイルス感染者数拡大一服?でまさに経済活動を戻そうかといった矢先の出来事、今回の地震では改めて首都圏のインフラの脆弱性が浮き彫りになったが、はたして10年前の教訓が生かせていたかどうかの課題も残る。一方で東日本大震災時には量販店等に自転車を買い求める人の光景が記憶に新しいがあれから10年、今や街中で自転車を借りて好きな場所に返却できるシェアサイクル等が普及しており今回も話題になった。

また配車サービスアプリのタクシーGOなどの利便性も注目され日々進化する移動手段が話題にもなったが、漸く通常ダイヤに復旧したと思った矢先の昨日も今度は変電所トラブルで首都圏JR10路線がストップ、約23万人に影響が出るなど大混乱となった。気象庁は揺れの強かった地域では今後1週間は最大震度5強程度の地震に注意するよう呼びかけているが、改めて平時からの点検を徹底し備えておきたいところ。


本来の楽しさ

さて、先週末の日経紙地方経済面には「木更津でポルシェ感じて!」と題し、ポルシェジャパンが今月、千葉県木更津市に日本国内では初めての運転体験施である「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京」を開業した旨の記事があった。千葉でありながら東京と付けるのはディズニーランドも同じだが、要は魅力として都心や国際空港からのアクセスの良さという点か。

レストランやカフェ等も併設しドライブやレクチャープログラムなどを通じポルシェブランドを体験出来るというこの施設、日本国内では初めてというが同社は既に御膝元のドイツはじめロスやアジアでは上海など世界中でこのエクスペリエンスセンターを開業しており、日本の前には直近でもイタリアで開業したばかりである。

この手では先月16日付の当欄でも取り上げたあのコーンズが、同じく千葉に完全会員制ドライブコース(THE MAGARIGAWA CLUB)を建設中で来年末の開業を予定している。そのコースは世界中のF1サーキットを手掛けた名門のドイツの設計事務所に依頼し高台に建つクラブハウスには天然温泉、富士山を臨むプール、宿泊棟もあるという。

ちなみにこちらの会員権価格は2850万円、開業までに250人の正会員を募集としているとう事だが、脱炭素社会の気運で年々排ガス規制に騒音規制も厳しくなって来る社会の中で走る楽しさを感じられるような場所を提供したいという。同じ施設でもこちらはセカンダリーで冒頭のポルシェとは毛色を異にするが、何れにせよ斯様な場所を創設しクルマ文化が生き続けられるよう啓蒙している点では共通しているか。


上場意義を問う

本日の日経紙投資情報面には「コロナ下、経営改革狙う」と題し、今年1月から9月のMBO件数が前年同期比約2倍の15件と同期間で過去最多であった2011年に並ぶなど経営陣が参加する買収で株式を非公開化する動きが活発になっている旨の記事があった。背景にはこのコロナ禍で経営環境が悪化する中、金融緩和で資金調達のハードルが下がった側面もある。

思い出せば上記の2011年は前半の段階でザッと挙げても知名度の高いところでワインのエノテカ、幻冬舎、レンタル屋のCCC、引っ越しのアートコーポレーション等々次々とMBOのラッシュとなり、エノテカを巡ってはSMBC日興の役員がこれに乗りインサイダーで強制捜査を受けたオマケまで付いたが、商品業界からはユニコムグループホールディングスもまたMBOによってジャスダック市場からその姿を消した経緯がある。

ところでMBOといえば予てより指摘されてきたものにその買収価格の低さがありこれまでも経営陣と大株主のアクティビストとの間でこれに絡んだ物言いも少なくなかったが、ガバナンスの観点からもディスクロ含めた透明化が求められよう。もっともこれを選択する企業は直近の例を見ても長らく低PBRで放置されてきた向きも少なくないあたりこうした素地もあったワケだが、上場の意義を見直すうえで来年の東証の市場再編が背中を押す切っ掛けとなった部分もあろうか。


重点フォローアップ国

昨日の日経紙法務面には「仮想通貨、申告漏れにメス」と題し、暗号資産を巡る税務処理に国税当局が監視を強め大規模な税務調査などを手掛けている旨が出ていた。今や暗号資産の取引は日本でも急増し、日本暗号資産取引協会によれば3年前に8千億円強であった取引額は今年の5月には実に5兆円を超えていた模様だ。

暗号資産に関する税の専門家も黎明期だけに少ないのを逆手に取り法的にグレーと見られる節税策などを謳う業者も増殖している模様だが、この手の暗号資産はマネーロンダリングにも格好の素材として予てより挙げられている。マネロンといえば公表されているリスク・ランキングでは19年に米の一つ下の73位に位置していた日本だが、昨年には69位へと順位を上げ前回から100位に改善した米との格差が開いてきている。

こうした順位の変動を裏付けるように日本のマネーロンダリング摘発件数もここ10年右肩上がりで推移しているが、上記の暗号資産やスマホ決済などの普及でその手口も次第に複雑且つ巧妙化してきている事もあり、リスクランキングの順位が上がった事を軽視せずに踏まえ欧米並みの危機意識を改めて喚起するところだろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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