禁じ手
昨年11月に当欄ではSMBC日興証券の社員が、大株主等が時間外で一度に大量売却出来るブロックオファー取引に絡んで特定銘柄の株価を維持する目的で不正な株取引を繰り返した疑いがあるとして強制調査されている件を取り上げた事があるが、直近で報じられている通りこの事件は東京地検特捜部が同社の幹部ら4人を逮捕する事態にまで発展した。
これと同様の終値関与で事件になった件といえば、リーマンショックの年に今は市場からその姿を消したケイエス冷凍食品のIPOに絡んだ株価操縦で起訴された丸八証券が記憶にあるがこれ以来の事か。とはいえ今回の舞台は大手証券内で行われ、このエクイティ部門の中枢を担っていたのは何れも一流外資系証券出身者との事だが海千山千を潜って来た兵にしては脇が甘かったと言わざるを得ない。
そもそも同社は取引日を提示する特異な形式で空売りを誘発し易い状況を作り出しており、売り手・買い手・胴元の” 一見三方よし”にも見える同取引が公平に機能していたのか疑わしいところ。斯様な大手証券が同取引に対する売買監視部門が機能していない訳は無く、ここで同社側が組織的犯行の立証を回避?すべく個人の犯行として蜥蜴の尻尾切りに動くのか否か、市場の門番として言語道断の行為だけに特捜部の徹底した解明が待たれる。