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制裁と返り血

さて、一寸前まで個人的な海外送金をする際には送金依頼書に必ずSWIFTナンバーを記入していたものだが、周知の通り欧米はこの国際的な資金決済網であるSWIFTからロシアの大手行排除を実行する事とし日本もこれに追随する方針を示している。SWIFTから排除されるとなると世界で殆どの金融取引が出来なくなることで輸出入が滞りその事業展開能力が損なわれる事になる。

このSWIFT排除、冒頭の送金依頼書にも北朝鮮・イラン関連規制に該当しないかを問うチェック項目があったが、かつてこのイランと北朝鮮に発動された経緯がある。常軌を逸したかのようにも見えるロシア大統領は核戦力を含む核抑止部隊を高度の警戒態勢に置くよう軍司令部に命じた事が報じられていたが、さしずめ金融の世界で核爆弾にも相当するのがこのSWIFT排除か。

これに加えて制裁はロシア中銀にまで及んだ事で外貨準備を使った通貨の買い支えが出来なくなり、通貨防衛の為に出来るのは利上げくらいという事で急遽その政策金利をクリミア併合時の17%を上回る20%にまで引き上げている。しかし国家や通貨そのものの信認が失われつつあり、中銀が斯様に強烈な利上げを行っても通貨価値の維持やインフレ抑制の効果は期待できないだろうか。

いずれにせよこの金融制裁がロシア経済を悪化させるのは想像に難くないが、上記の通りの金融核爆弾を行使した” 返り血”もまた避けられない。ただでさえ昨年から原油や小麦共に上げ続けていたところへ世界輸出の約3割を占める大国への制裁措置は火に油で、直近のWTI先物は約13年半ぶりの高値示現、小麦先物も14年ぶりの高値となっており遠く離れた地に居る我々も今後は更なる身構えが必要になるか。


コロナ禍の疲弊

さて、一昨日は新宿のハイアットリージェンシー東京が身売りを検討しているとの報が入って来た。ロビーの巨大なクリスタルシァンデリアやガラス張りのエレベーターなどが象徴するようにバブルと共に開業し我々の世代ではホテルセンチュリーハイアットと言う方が馴染みがあるが、施設の老朽化やコロナ禍があだとなって小田急電鉄が保有資産の見直しに動く模様だ。

バブル期に欠かせない存在であったホテルといえばこのハイアット以外にも赤坂プリンスホテルや六本木プリンスホテルがあったがいずれも今はその姿を消し、生まれ変わったホテルの一部も直近ではシンガポールの政府系ファンドへ売却する方針を西武側が表明している通り、ここ数年に及ぶコロナ禍で鉄道業界の疲弊の深さがが窺えるというもの。

しかし昨年営業を終了してしまったホテルグランドパレスや上記の赤坂プリンスホテルなど幾つもの名物メニューがありそれらがもう味わえなくなってしまう寂しさがあったものだが、ココも擁するレストランは幸福ならぬ”口福”がコンセプトであったが既に1年前から大半のレストランを閉めていた。つくづくバブル期に馴染のあった施設の身売り話の浮上はやはり感慨深いもの。


弥生もまだ

さて本日から3月入り、毎年恒例の光景といえば首都圏以外では高校生が卒業を迎えたところも多かったと思うが、例年と違う光景といえば年明けからの各種値上げの顕著化か、先月も食品からエネルギーまで幅広く続騰模様となったが、この流れは今月も多くの食品群から主要エネルギーまでまだまだ続く。

食品などザッと挙げてもマルハニチロや日本水産がサバ缶などを約3~20%、ニチレイフーズが家庭用冷凍野菜を約8~15%、日清食品チルド・日清食品冷凍がチルド麺や冷凍麺を6~13%、昭和産業が家庭用油を1キロあたり40円以上値上げ、キューピーや味の素がマヨネーズを約2%~10%、ヤマサ醤油が全製品を約4~10%、それぞれ値上げする。

また値上げの波は日用品にも及び大王製紙がティッシュやトイレットペーパーを15%以上値上げ、更に大手9社の電気料金や大手4社のガス料金の値上がりも続く。最近は昨年の関西スーパーマーケット争奪戦ですっかり有名になったオーケーが、値上げ宣言した花王製品の取り扱いを中止する旨が話題なったが、長い間デフレの中で競争してきた経緯があるだけに企業は価格を上げ難い。世界的なインフレ下でデフレ脱却が叶わぬ日本、ロシアの暴挙が予期せぬ形でこの構図を変える事になるか否か引き続き目が離せない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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