ステーブルに非ず

さてこのところ低迷していたビットコインも直近で3万ドル大台を回復してきたが、一昨日の日経紙総合面には「仮想通貨1兆ドル消失」と題して、米の利上げなどから金融緩和であふれたマネーが逆回転した事を背景に暗号資産の世界全体の時価総額が1.2兆ドルと昨年末から46%減り1兆ドルが消失した旨が出ていた。

とりわけ今月は米ドルなどの法定通貨と価値が連動するように設計されたステーブルコインのテラUSDの崩壊が市場で話題になった。なんといっても米ドルと1:1で連動していたモノが昨日は驚きの2セント台までの暴落を演じたワケで、やはりステーブルでもこの辺は担保型とは違った無担保型の脆弱性を改めて目の当たりにした感じだったか。

ビットコインは伝統的資産と非連動のデジタルゴールドなどと呼ばれていたものの既にリスク資産と化している現在では株式と同時に下落の軌跡を辿った今回だが、今後分散型金融サービス等への利用期待も高まるなかで斯様な市場環境の変化等で仮想通貨も一括りから選別のステージに入ったといえるか。


優待制度の在り方

さて、各株主には期末の配当金と共に優待カードなどが各企業から送られてくる時期でもあるが、優待と言えば先週末の日経紙・投資情報面には「株主優待の適用拡大」と題して、東急が株主優待制度を改定しこれまで200株以上の株主が対象だった優待適用を100株以上へと基準を引き下げるなど裾野を広げる旨が出ていた。

昨今の物価高の波を受けてふるさと納税と共にこの株主優待も家計を助ける手段として再度注目度が高くなっており、特に外食系で年2回ほど優待カードや商品引換券などを提供するすかいらーくHDや日本マクドナルドは安定した人気を誇っているが、内容を改悪?した吉野家などは最近の失態と相俟って失望の声も多く上がった。

ところで吉野家のような改悪から更に廃止へと方針転換する企業も一方で増加しつつあり、2021年9月末までの1年間で株主優待制度を廃止した企業は75社と過去10年間で最も多くなっている。優待の活用が難しい機関投資家や海外在住投資家は対象外とされている事などから不公平感を無くし公平な利益還元を求める声に対応した格好だ。

また4月の東証の市場再編では株主数の規定が緩和された事で、個人株主の確保策として優待制度の優先度は下がる事になった背景もあるか。一部の入札等も経て金券ショップに並ぶラインナップもこれから減少に向かうのかどうかだが、冒頭の例と照らし合わせ今後株主優待制度の増減は如何に各企業の取組に注目したい。


ルッキズムの是非 

さてここ最近、近大が受験生向けに発行したパンフレットのコーナー「美女図鑑」を巡って学内外から外見至上主義を煽るのは非常に問題で品性を疑うという旨の批判喧しい議論が起きている。これに限らず近年大学の間では斯様なルッキズムに対して敏感になってきており、既に上智大ではミスコンのミスソフィアを廃止している。

また更にこれらに続き、今週は東京女子大学がミスコンを廃止する旨をツィッターにて大体的に表明している。トンジョのミスコンといえば、これまで数々の人気女子アナを輩出してきた大イベントだっただけに時代の流れに衝撃が走っている。賛否両論喧しいが容姿差別といった一般的問題は理解出来るものの、個人的には何を是とするかはそれぞれの価値観と思う。

大学に限らず近年では社会環境の変化もあり企業のコンプライアンスに対する世間の目も厳しくなってきている事で、テレビにおいても芸人やタレントの容姿イジリの表現など特に作り手側も対応を迫られている。近年のテレビ離れがいわれて久しいが、「水清ければ魚棲まず」まさに過渡期を迎えているか。

上記の大学にしても中高の延長線上での学問のみならず社会に出るまでの人間関係の構築や教養を培う場でもあり、全てに多様性が叫ばれているいまニーズに応じた芽を摘んでしまうような風潮ははたして如何なものか?何を以て是とするのかその在り方について改めて考えさせられる案件である。


今度はMARNI

さて、有名デザイナーのジルサンダーとのコラボ商品などで大きな話題を提供してきたユニクロだが今度は伊・ミラノの「MARNI」との初コラボを発表、先週末の20日から発売開始となったがやはりというか初日は店舗に顧客が列をなし公式サイトもアクセス集中により繋がり辛くなるといった現象なども見られた。

9年ぶりにジルサンダーとコラボした前回はディスプレイのマネキンの服まで剥がされ怒号が飛び交う某店舗の光景などがテレビなどで放映されたのが記憶に新しいが、前回のジルサンダー同様にユニクロフリークの中でいったいどれほどの向きがそんなに狂気じみた行動を取るほどこれらのブランドを認知していたのだろうといつも不思議に思う

それはさておき店舗では上記のようなカオスな光景は無くなったものの、相変わらずフリマアプリ等では早々に品切れとなった商品群が早速発売日に6~7倍の値で早速続々と出品されている。一寸考えればこの法外な値をコラボ商品に出すならオリジナルが手に入るワケで値付けする連中の貪欲さには脱帽だが、コロナ禍でECが活況となっているなか最低限のリテラシーは持っておきたいもの。


IPEF発足

本日の日経紙一面には「IPEF、13ヵ国で始動」の見出しが躍っていたが、来日中のバイデン大統領が提唱する新たな経済圏構想IPEF(インド太平洋経済枠組み)の発足会合が昨日都内で開催された。このIPEF、トランプ前大統領が「永久に離脱」とTPPを離脱しアジア経済の存在感が薄まった米が対中を念頭に主導権復活を視野に入れ打ち出したもの。

創設メンバーとしては日本・アメリカはじめRCEPから離脱したインドなど世界のGDPの約40%を占める13か国が参加、今後はサプライチェーンの再構築やクリーンエネルギーなど4項目で連携を図るが、日本もそうであるように上記のTPPやRSEPを含めた三つはオセアニア地域や南米など重層的に被っている。

そういった事で今後はどうIPEFを差別化してゆくのかだが、一部にメリットがないともいわれる所以は米に商品を輸出したい東南アジア諸国などTPPのような関税引き下げ等が伴っていない点。この辺に関してはバイデン大統領も経済枠組みの各項目で合意に至るには多くの困難が待ち受けている事は明らかとして、IPEFの未熟な点を認め改善を約束している。

斯様に中国の脅威に対抗する為に多くの国を呼び込み実効性のある取り組みを打ち出せるのか米の本気度が問われてゆくことになりそうだが、いずれにせよこのインド太平洋経済枠組み発足はまさに米中対立やウクライナ侵攻を受けた地政学リスクの高まりなどを象徴しているものであるとつくづく。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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