単元株考
さて、先月末に当欄では東証の株式分布調査で2021年度の延べ個人株主数が8年連続で増加し過去最多となった旨を書いたが、約一週間前の日経紙社説には「1株から日本株を買える制度に改めよ」と題し個人金融資産を投資へと動かすために、政府や取引所、企業は現状で100株からしか買えない日本株の売買制度を1株から買えるように改めるべきとの旨が出ていた。
思えば対面が主流だった一昔前は額面50円銘柄で1000株単位と仕手株に飛び乗る際にも倍々ゲームで膨れ上がる買い付け代金に逡巡したものだが、記憶を辿れば1株単位の銘柄があった当時はそれこそ1株から1000株まで8種類の売買単位が存在し今は市場からその姿を消した誰でも知るところのライブドアなどは1株単位でそれこそ数百円で買えた株であった。
それが今から約4年前に100株に統一されたワケだが、確かに指数への寄与度が高いファーストリテイリングを買うには急反落となった本日の株価でさえ約870万円近くが必要になり、米株では同じく寄与度の高いアップルなど数万円で投資出来るのとは雲泥の差である。文中にもあるようにNISAの啓蒙こそ喧しいものの積立より上限が高い一般でも120万の枠とこの手の銘柄ははるか足元にも及ばない計算になる。
この100株単元に甘んじている背景として考えられるのはそれこそ株主管理コストの負担であったり、はたまた上記のライブドア・ショックの際に見られた東証のシステムダウンのトラウマだったりがあるだろうが、システム障害を経て増強が為されている筈だし来年には総会資料の電子提供制度も始まる。「貯蓄から投資」を標榜するのであれば政府もこの辺にこそメスを入れ、企業側も積極的に歩み寄り協力するところか。