利上げペースも景気も減速
さて、世界的にインフレが高止まりするなか先週は主要な中央銀行による金融政策発表が目白押しとなったが、注目のFOMCでは0.5%の利上げを決め3月から始まった一連の利上げで初めてペースを減速させた。また英も9会合連続の利上げとなったが前回の0.75%から縮小し0.5%へ、ECBも利上げペースを前回の0.75%から0.5%に縮小させるなど世界各国で事情は違えど利上げペースを落としてきた。
先週に当欄では「~タイムラグをもってこれまでの利上げの影響が出ると考えれば今後の大幅な引き上げは微妙な感じもする~」としたが、FRB議長も記者会見では利上げペース減速の理由について「金融引き締めの累積効果が経済やインフレ率に与える時間差を考慮して0.5ポイントの利上げを決めた。」としている。
とはいえこの利上げ幅引き下げは想定通りだったが、発表されたCPIの連続下振れなどから前回9月時点より0.25%ポイント上昇にとどまると期待されていたドットチャートで示された2023年の政策金利見通しが5.1%となり市場想定よりも高めに出た感。これらから利上げが景気を冷やすと懸念した株売りが止まらず、週末までダウは3日続落しその下げ幅は1200ドル近くに達している。
声明文なども総じてタカ派の内容だったが、米小売売上高も軟調な結果となり今回の会合で併せて示された来年のGDP成長率も大幅に下方修正するなど世界的な景気減速への警戒が高まる。引き続き雇用統計やCPIで一喜一憂する展開が続きそうだが、景気の後退を引き起こすことなく経済を軟着陸させるというハードルは一段と高まっているといえるか。