リキャップCBの功罪

先週末の当欄では東証による資本コスト経営への対応を開示した企業の公表がスタートした旨を取り上げている。この資本効率改善を目指し各社鋭意取り組んでいるのが代表指標のROEを上げてゆくこと等だが、この辺に絡んでは先週末の日経紙投資情報面で「タダでは済まぬリキャップCB」と題し、この向上の為の手段としてリキャップCBが昨年は一昨年から5倍に増加した旨の記事が出ていた。

このリキャップCBなるもの、当欄でも昨年の春頃にアベノミクス時代に自社株買いの見せかけ実績に多用された旨を書いていたが、企業はコストの最小化を図れるうえにCBも或る程度安定した需要が想定されることでまことに都合の良い手段にも見え当時は実施企業の株価も代表的な指標から軒並みアウトパフォームしたものであった。

ただ年を経るごとに投資家の懸念は潜在的な希薄化の方に移ったこともあり近年では実施企業の株価パフォーマンスが冴えないのも事実。バランスシートの構成を変えることで手っ取り早く資本効率を改善出来るシロモノだが、CBを中心とするアービトラージャーなどの輩がこれを恰好の食い物にしているといった話も聞こえてくるに再度増加の兆しを見せている昨今、企業側の一層の金融リテラシーもどこかで要求されようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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