金利のある世界へ
周知のように先週の日銀金融政策決定会合で日銀はマイナス金利政策の解除やETFの買い入れ終了等を決定した。世界で最後まで残ったマイナス金利に幕という歴史的な転換点となるが、早速これを受けて三菱UFJ銀と三井住友銀は同日に普通預金の金利を2007年以来、17年ぶりに引き上げる旨を発表。バブル期以前の金利を知る向きには何の感動も無い数値だが、其れは兎も角も今後は各行で預金獲得競争も激化してくることになろうか。
しかしこの銀行といえばメガバンクはじめ長らく逆境に晒されてきたものだが、金利のある世界の到来は間違いなく追い風になってくる。これを睨んでメガバンク勢では一番乗りで三菱UFJ株が今月に入り14年半ぶりのPBR1倍回復を達成していたが、当面は緩和的な金融環境が継続するとした事で目標達成感が出易いこの1倍から更に上の水準に移行するのは日銀が次に利上げをどうするかという場面というところになろうか。
斯様な緩和的金融環境の継続意向で住宅ローン金利の上昇が足枷になるとみられた大手不動産株などもまた軒並み急騰、三井不動産や東急不動産は上場来の高値を更新している。同様な背景で東証REIT指数も急反発していたがこちらは曲がりなりにも今月上旬に3年4か月ぶりの安値を付けており、今後の金利上昇で不動産価格がどうなってゆくのかその行方と影響については注視しておくことが必要か。
また、結果として企業の起債等にまで影響を及ぼし円を世界最弱通貨に陥れ?たYCCに、約40兆円近くも買い漁り上場企業の約4割で上位10位以内に入る大株主となるなどガバナンスの空洞化を招きかねなかったETF買い入れも廃止となる。今思えば世界の中央銀行の中でも特異な政策であったなとつくづくだが、これら人為的な市場操作の終了で今度はETFの出口戦略等に関心が向かうところでこの辺は今後も折に触れて取り上げてゆきたい。