飽くなき欲望
今週は何年かぶりで以前行った事のある眼科へ行ったのだが、かつて眼科一辺倒であったそのクリニックはボトックスやらレーザー等の美容医療部門が新設され建物も瀟洒なものに変貌していた。ところで美容医療といえば先週末の日経紙社会面では「美容医療トラブル急増」と題し、脱毛や整形といった美容医療を巡るトラブル健康被害の相談が急増している旨の記事があった。
前々からこの手のトラブルはあったが、国民生活センターによると2023年度の美容医療に関する消費者の相談件数は前年度比で1.6倍の6255件と、比較可能な09年以降で最多となり5年前の3倍にも上っているという。美容施術の後の所謂ダウンタイムにコロナ下の外出自粛期間が“渡りに船” ということもあったのかどうかコロナ禍からの増加が顕著になっている。
美容医療の旨味はなんといっても自由診療にある。患者=客?の単価が圧倒的に高額で、ほぼ保険同様の処置でもクリニック側の設定でガッツリと取れるだけに旨味も大きく、この辺が玉石混交を生み出す背景にもなっている。また医師がインフルエンサー化しているケースもあるなどマーケティング手法も自由度が高く、SNS時代の今は特にこうした美容医療のハードルが以前よりぐんと下がってきている。
そういった事で最近では小・中学生でも脱毛するケースが増加しており、某脱毛クリニックではここ5年で脱毛を希望する中学生が8.3倍に増加しているという。さらには3歳から脱毛出来る子ども向け脱毛サロンもあるというから驚きだ。ルッキズムの捉え方は人それぞれ自由だと思うものの、未成年の若年層までこれを助長させるかのような商業目的のマーケティングを見るにつけこの辺の在り方には釈然としないものを感じるものだ。