世界が求めるコンテンツ
周知のように米テレビ業界で最高の栄誉とされる第76回エミー賞の授賞式が日本時間16日に米ロサンゼルスで開かれ、日本の戦国時代を舞台に徳川家康をモデルにした武将の戦いを描いたドラマ「SHOGUN 将軍」がエミー賞では史上最多の計18冠に輝いた。土壌としてアジアでは韓国ドラマが先行して躍進していた事や、多様なコンテンツを求める流れという背景も後押ししたとみられる。
多彩なコンテンツを求めるといえば、最近では6月に米大手投資ファンドのブラックストーンが東証プライム市場に上場している業界首位級漫画配信サイトの「インフォコム」を買収しているが、買収絡みでは今月に入って別の米投資ファンド米フォートレス・インベストメント・グループが東証スタンダード市場に上場している「常磐興産」を買収することが明らかになるなどエンタメの価値を外資が次々と狙う。
ところで過日放映されたテレ東のWBSにて自民党総裁選に立候補した全員にどういった成長戦略を描くのかという質問で、候補の一人の林官房長官はシンプルに「コンテンツ」の文字を掲げる一点張りでコンテンツは日本の基幹産業といってもいいと言っていたのが印象的だったが、政府は上記のプライム上場のインフォコムが米投資ファンドに買収された6月に、アニメや漫画といったコンテンツを海外に売り込む「クールジャパン戦略」を5年ぶりに改定している。
今回の快挙で漸くというか“正しい日本の表現”というものが叶った格好ともいえるが、同時に日本の映像業界に与える影響も大きく上記の戦略にも追い風となって来るのは間違いないところ。外資に次々と買収されるのも複雑な感があるものの、家電や自動車に続く日本のお家芸として33年に約4倍の20兆円に引き上げる目標を目指し今後どうセールスしてゆくのか政府共に舵取りが問われる。