倫理観の希薄化

さて、東京証券取引所の職員がインサイダー取引に関与したとして証券取引等監視委員会から金融商品取引法違反容疑で強制調査を受けていた旨が各紙で報じられている。インサイダー取引の疑いといえばつい先週末にも金融庁に出向中の裁判官もまたインサイダー取引容疑で強制調査を受け、同委員会が東京地検特捜部への告発を視野に取引状況等を調べている旨も報じられている。

上記の東証職員の場合、上場部開示業務室に勤め企業の公開前の適宜開示情報を基に親族に株の売買を推奨した疑い。また裁判官の方は上場企業情報開示制度の企画立案他、企業の上場時やTOB、M&Aなどを行う際に提出する開示資料の審査も所管する企業開示課が出向先であった。こちらは堂々と本人名義で取引していたというから素人丸出しだが、双方共に取引を行った輩がこれまでとは毛色が異なるところが異例だ。

数あるインサイダー取引ネタの中でも特にTOBは企業破綻と共に確実性が高くその旨味も大きいだけに、その甘い香りに魅せられ情報を掴んだ多くの向きがインサイダー取引に手を染めてしまう例が多いが、曲がりなりにも市場改革の旗振り役である取引所の内部でインサイダー取引が行われていたのでは洒落にもならない。今後東証へ行政処分が及ぶか否かだが、いずれにせよ早急な信頼回復が求められる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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