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高級酒バブル一服

昨日の日経夕刊の値札の経済学では「国産高級ウイスキー、2割下落」と題し、中国の景気低迷を背景に長らく高騰が続いていた国産ウイスキーの流通価格が昨年の半ばから下落が始まり最盛期から2割近く下がるなど落ち着いてきた旨の記事があった。国産高級ウイスキーはベースに世界的な評価の高まりから原酒不足も加わり、メーカー側の大幅な価格改定も相俟って投機対象に乗り易かった経緯もあった。

ところで高級酒といえば同じく中国の景気低迷を背景に、当の中国を代表する高級白酒を手掛ける「貴州茅台酒」の時価総額も先月末で1兆8000億元と1割強にあたる約2700億元が減少し、同じく白酒を手掛ける老舗の「瀘州老窖」の時価総額も約600億元減少しているという。かつて貴州茅台酒は国内で時価総額トップを誇るトヨタ自動車をも凌ぐ時価総額を誇りその高いROEで海外の機関投資家からも人気だったものだがすっかり色褪せている。

上記の高級酒以外でも同じ投機のテーブルに乗せられていたロレックスも一部人気モデルが大幅な値崩れを起こしている模様だが、考えてみれば本来は身に着けたり飲んでそれらを愛で楽しむものが、違う目的で値を付け投機対象になるのを異常な光景と見て来た向きも多かっただろう。顧客需要に支障をきたす場面も少なくなかった事でメーカー側も希望小売価格から大きく乖離した価格で流通する実態に困惑してきたものだが、図らずも中国の不動産不況がもたらした景気低迷がこれの是正の一助となることになる。


タリフマン砲

本日の日経平均は一転して急反発、トランプ米大統領がカナダとメキシコからの輸入品に対する関税強化策適用を1か月延期すると発表した事を好感してのものだったが、昨日はこの政策発動で世界経済の先行きに対する懸念からザラバで下げ幅が1100円を超える場面があり引けも1052円安と急反落の週明けとなった。日経平均に限らずアジア圏では春節で中国が休場となるなか韓国KOSPIや台湾加権指数なども同様に下落の憂き目に遭っていた。

為替市場も前週まで比較的底堅く推移していたカナダドルやメキシコペソが対米ドルで急落、今後は欧州も対象となり得るとしていたことでユーロまで下落が波及した。東証の個別では関税の影響が大きいとされる特に自動車セクターが直撃され、メキシコに生産工場のあるホンダやマツダが揃って7%を超える急落を演じ、もう一つのトヨタ自動車も5%安となり部品関連でもデンソーが8%を超える急落となっていた。

この政策で関連する国全体のGDPの目減りは年90兆円規模にのぼるといい、米の全輸入額トップのメキシコの実質GDPは関税実施の場合、2032年までに従来の想定から2%押し下げ要因になるとの試算がある一方で、JETROのアジア経済研究所では日本は対象国から米国への輸出が落ち込むなか、これらの国に代って日本から米への自動車関連の輸出が伸び2027年にはGDPが0.2%押し上げられると試算している。いずれにせよ楽観に傾きかけていた局面でもいつ冷や水を浴びせられるかわからなくなってきた事で暫くは身構える動きとなろうか。


恵方巻もシウマイ弁当も

昨日は「節分」であったが、今年は恵方巻が材料であるコメや海苔が去年から約1.2~2倍に高騰しているのを背景に値上げ傾向で、帝国データバンクの調査ではその平均価格今年初めて1000円の大台を超えたという。そういった事で今年の商戦は各社の案内等を見るにクリスマスケーキやおせち料理よろしく予約開始を早くする向きや、ハーフサイズなど通常サイズに幅をもたせるなど各社工夫が見え隠れする。

恵方巻きはそんな感じだが、恒例の今月の帝国データバンクによる主な食品メーカーによる飲食料品の値上げは1656品目、先月に続いての1000品目超えとなっている。今年既に値上げが判明している品目は8800品目にのぼるというが、現在のペースが続いた場合は昨年を大幅に上回ることになるという。ほか、外食では天丼てんやは今月13日から天丼など約60品目を値上げし、崎陽軒も今月からシウマイ弁当など13品目を値上げしている。

これで慣れ親しんだシウマイ弁当も遂に1000円の大台乗せとなったが、外食値上げといえばスタバも今月15日から立地別価格を導入し全国1991店舗のうち東京空港内、大阪市内など約3割の店舗で価格を引き上げる。既に先駆けてガストやマックなどはこれを導入済みで、マックなど昨年夏からその店舗も拡大傾向にある。上記の飲食品値上げの一因には人件費の上昇があるが、この立地別価格も収益性を考慮しこれに対応するもので今後も追随する店舗が拡大してくるのは想像に難くないか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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