脱・脱炭素の波
依然として世界のマーケットを混乱させている米トランプ大統領だが、つい昨日には米国内で石炭の生産と消費の拡大を目的とした4つの大統領令に署名している。相変わらず世界が進めている脱炭素の取り組みに逆行する動きだが、この脱炭素に絡んでは米国のみならずこのところ国内でも金融機関がこれに歩調を合わせて脱退が目立っている。
直近では先週末に「みずほフィナンシャルグループ」が金融機関で作る脱炭素を目指す国際的な枠組みであるNZBA、「ネットゼロ・バンキング・アライアンス」からの脱退を決めているが、みずほFGはむしろ後発組でこれより先に先月には先陣を切って「三井住友フィナンシャルグループ」がこれを脱退、その後に「野村ホールディングス」が続きその後立て続けに「三菱UFJフィナンシャルグループ」が脱退を決定している。
米ではいわずもがな脱炭素に消極的なトランプ政権下で脱炭素を巡る業界横断的な活動への訴訟など法的リスクが浮上している事から、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど大手どころが挙って離脱表明しているが、米国で事業を展開する上記金融機関にとっても重要なリスクとなることでこうした波が邦銀勢にも波及してきているという構図だ。
とはいえ石油採掘ひとつ取っても採掘に要するエネルギーと採掘した石油エネルギーの比率、つまり掘削効率を示す指標はかつて200だったものが最近では20分の1程度にまで低下しているという指摘もあり、この厳しい現状も鑑みるにやはり脱炭素は時代の流れとして不可逆的なものと考えるべきだろう。反DEIよろしく歩調を合わせざるを得ない企業の苦悩も見え隠れするが、社会課題としてこれを見据えた投資支援など継続してもらいたいもの。