前倒し統合
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さて、2年ほど前だったか当欄ではイオンが9年前にウエルシアHDを子会社化したものの業界再編に関しては会社提案による経営体制の下で協議を進めることが適切と淡々と述べていた旨を書いた際に末尾では「今後も物言う株主の圧力が結果的にイオンの背中を押し更なる再編に向けての動きが起きるかもしれない。」と書いていたが、先週にはウエルシアHDとツルハHDが2025年内の経営統合を決めることとなった。
当初の計画では2027年までの経営統合を目指して協議していたものだったが、この当初計画を2年も前倒しするという事になる。この経営統合によって3年間で500億円のシナジー効果を見込むというが、いずれにせよこれまでドラッグストアの売り上げとして1兆円超えが1~3位まで横並びであったもののこれで業界では一気に2兆円規模のガリバーの誕生となる。
ところでイオンの社長が会見にて大きな競争力を持つドラッグストア云々と言っているくだりで、「唯一無二」を「ゆいいつぶじ」と読んでいたのがどうも気になってしまったが、まあその辺はご愛敬として3位のマツキヨココカラが両社の統合で当時飛躍的な経理効率の上昇がみられたように、この度の統合も圧倒的なスケールメリットを生かしていけるかどうか注目されるところだ。
この前倒し劇の背景の一つには昨年にアマゾンがスマホから処方薬の配送が出来るサービスを開始し楽天やGMOなど他のネット系大手もこの分野に参入してきている危機感等もあろうが、そもそも人口減少が頻繁に報じられるなか今後も市場縮小が顕著になってゆくというベースがあるだけに今後もこのガリバー誕生で業界再編劇が終演することはないだろうか。