各店の矜持
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さて、街がイルミネーションで彩られる時期になるとショーウインドーも競うように各店で工夫を凝らしたものが街ゆく人たちの目を楽しませるが、先の日曜日の日経紙・The STYLEの頁では「ショーウインドー、銀座を彩る心意気」と題し、日本で最も早くショーウインドーが登場した銀座の百貨店や老舗などのディスプレイにまつわるヒストリーが書かれていた。
同紙の頁で一番初めに出てきたのがまさに銀座の“顔”ともいえる「和光」だが、個人的には「資生堂」が好きだ。此処の5メートル以上はあるかとおもわれる縦に長いウィンドウは最初からショールームを意識して作られたともいわれているが、三年前だったか資生堂の創業150年の年に「生きる地層」が話題を呼んだのを思い出す。“接状剥離”という造形保存技術を用いて実際に本物の地層を剝ぎ取ってディスプレイにしたもので実に圧巻であったなと。
またその翌年には同紙でも出ていたが、伝統工芸が持つ日本古来の美意識をテーマとし京都の職人が手作りした和傘でクリスマスツリーを表現した「在る美」も話題を呼んだ。本来は傘の内側にあり使用者しか見ることのできない竹骨と飾り糸を敢えて露出させたデザインで、これは日本空間デザイン賞でグランプリを取っている。ついつい通り過ぎてしまうショーウインドーだが、たまには気にしてみると思わず心を奪われるモノに出逢ったりするのが実に面白い。